
- 小林 裕美子
- ストゥーディオ ステラ 一級建築士事務所
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
友人から築40年のコンクリートの建物をどうしようか?と相談されました。
確かにかなり古くて迷う築年数です。皆さんの中にも、技術的な根拠が
無いまま、現在の家をどうしようか迷われている方が多いのではないでしょうか?
勿論私も一概に「こうしなさい」と言うアドヴァイスは出来ません。
ただしこの時代プロとして言える事は、古いものを壊すばかりではなくて
リニューアルで新築より建築費用も倹約しながら、構造や断熱を補強して
全く新しい外観や内装にできること。古い家を現在の状況にフィットした
美しく快適な住宅にして、大切に住み続ける選択肢もあることを
考慮して欲しいと言う事です。
私が長年住んでいたミラノ市街で一番高級と言われる住宅街は、
大体1900年前後の築約100年位の建築物が並ぶ街並みで、
今ではもう出来ない優雅なレリーフや鍛造の美しいディテールを大切に
維持補修したものでした。
地震国である日本では100年はなかなか難しい事ですが、一般的な
耐用年数として鉄筋コンクリート住宅は65年くらい、鉄骨住宅で40年くらい、
木造住宅で2~30年くらいと言われています。
これは建築物の質にも関係が有る事なのであくまで目安です。
例えば鉄筋コンクリートはコンクリートの質と鉄筋のかぶり厚が良ければ
100年は大丈夫とも言われています。木造建築だって築100年の
古民家など無いわけではありません。
ただし、この年数保つ為にはひび割れや鉄の錆、屋根の壊れ、
配管の劣化など問題が起こったら、その都度きちんと補修工事をして
いなければなりません。放りっぱなしでは目安の年数ほども保ちません。
建築物の状態が良い場合にのみリニューアルのメリットは発揮されます。
リニューアルのメリットとは総工費が新築より割安な事、10㎡以内の
増築を含んでも確認申請を提出しなくても良い事。何より愛着ある建物に
住み続けられる事、街並みを無国籍で趣の無いものにしなくて済むこと、
捨てないECOであることなどなどです。
また、建築当時と法規が変わって、建蔽率、容積率などが減少している
場合も多く、新築の建物は既存のものより小さくなる可能性があることも
多々あります。同じく、既存住宅と隣家との距離が非常に近い場合なども、
新築の場合法規的、技術的に床面積が減少することになります。
リニューアルの場合、こうした面積の減少を回避して、現在の家の大きさを
維持できる事も大きなメリットです。
100年近く前の家に綺麗にペイントした60年代のキッチンセット
このコラムに類似したコラム
【ホームページTOP】をリニューアル スマートフォン向けにも対応可能 西島 正樹 - 建築家(2020/02/04 15:52)
昨日は、宅地建物取引士実務講習へ 野瀬 有紀子 - 一級建築士 インテリアコーディネーター(2017/02/02 12:07)
ホームページのリニューアル 松永 隆文 - 建築家(2015/03/23 20:37)
【本駒込の家】HPリニューアルしました 西島 正樹 - 建築家(2013/06/25 19:44)
【登り梁の家】HPリニューアルしました 西島 正樹 - 建築家(2013/06/22 19:25)