長期保有対象の株式や投資信託の歴史概観 - 投資相談全般 - 専門家プロファイル

吉野 充巨
オフィスマイエフ・ピー 代表
東京都
ファイナンシャルプランナー

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閲覧数順 2024年04月23日更新

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長期保有対象の株式や投資信託の歴史概観

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資産運用の原則 資産配分(アセットアロケーション)

前回、新ファミリー一族の長期投資に耐えうる商品として、投資信託やETFをお勧めしました。
本来は株式を紹介したいのですが、色々な本やネットで調べますと、企業の盛時の継続期間が30年に満たないという短いことが分かってまいりました。

前回も紹介しましたが、100年以上の老舗企業は日本が全世界でダントツに多いのです。
例えば、2006年までは世界で一番古い企業としてギネスに登録されていたのは、日本の金剛組(578年創業)でした。
2006年に経営破綻して、他企業の傘下に入ったため、現在世界で一番古い企業は山梨県 西山温泉 慶運館 (705年創業)のようです。ギネスブックにも世界で一番古い温泉旅館として登録されています。
ただし、老舗企業の多くは上場企業ではありませんから、だれでもが次世代に資産として伝えるわけにはいきません。

そこで、上場企業として日本で一番古い株式会社を挙げるますと、法的な観点から、『国立銀行条例』(1872年)に基づいて1873年に渋沢栄一によって設立された、「第一国立銀行」と言われています。この第一国立銀行は幾多の合併を経て、現在はみずほ銀行として事業を継続しています。

1878年に日本で最初の株式取引所として開設された「東京株式取引所」(現在の東京証券取引所)において、「東京株式取引所」に次いで上場した株式会社としても有名です。
存続会社としては東京証券取引所(現日本証券取引所)の登録一号は日本取引所グループになります。

一方、商法に基づいて設立された最初の企業は、岩崎弥太郎が設立した、日本郵船で、ここが実質的に日本での株式会社の最初とされています。

国立第一銀行、東京株式取引所、日本郵船の3社は、明治から存続していますので、持ち株として長期の保有に耐えたのですが、日本郵船の現在の株価は、301円(2014.08.21終値)で、2007年の高値1200円の4分の1になっています。みずほ銀行も、メカバンクとしての株価は2014.08.21の株価は198.5円で、2006年の1,000円に対して5分の1です。
近々10年の中で比較しても、このように企業の価値≒時価総額(株価ョ×発行株式数)が激しく変わってしまいます>

前回述べました通り、日経ビジネス誌の唱えるように企業の盛衰で最盛期は30年、中興の時期があっても100年の盛時は無いように思えます。

海外を見ると、皆様ご存知の、米国NYSEの指標としてNYダウ工業株30種平均に採用されている30社の中で、現在一文字ティッカーの企業は、AT&T(T)一社で、このAT&T社も前身のAT&Tとは異なる会社です。
いかに企業の盛衰が激しいかが分かります。従って、企業の株式を保有して次世代に残すことは、有利な方法とはなりません。

個別株を保有するのであれば、保有期間は5年~10年程度、都度夫々の企業の業績を点検の上、盛期が過ぎたと判断された場合には売却し、別な企業の株式を保有されることの繰り返しになろうかと考えます。

当然それだけの期間を保有しても良いと考えた理由をどこかにメモされる様お勧めします。ネットや本では、投資日記をつけることを薦めています。1冊のノートでも良いし、文書をフォルダーに入れておくのも宜しいかと思います。
私は、フォルダー派です。理由は、都度気が付いたときに書いて、PCで記載しているからです。ワード、エクセル、ニュースや記事などはPDFで取ってあるからで、定期的にO/Pしてファイリング・フォルター投入しています。

それよりも長期間であれば、上場投資信託ETFを含む、投資信託に託すことが賢明かと思います。
図にありますように、MMF、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)も投資信託の一種です。

140824投資信託の種類

そこで、複数の企業を選別して束ねた、投資信託の歴史をたどると、世界で最初の投資信託は1868年(明治元年)にイギリスで開発されています。
当時のイギリスは、産業革命を経て繁栄の絶頂にあり、国内では有望な投資先が少なくなったため、植民地政府証券(7つの海を制覇する過程)など海外投資が盛んになりました。
ところが海外投資は専門家を雇うことが出来る大資本家に限られていたため、中流階級でも投資が出来るようにと、インベストメント・トラストという英国の信託を利用した「投資信託」という仕組みが開発し顧客を集めました。
ただし、このインベストメント・トラストは1879年の訴訟事件の判決で違法とされ、全て会社法に準拠する投資会社に転換いたしました。

この英国の信託型のインベストメント・トラストは1930 年代に米国で固定的単位型投資信託(Fixed Unit Trust=ユニットトラスト)として復活して、英国に里帰りしています。
理由は、会社法の規程変更により、信託型が許されたためです。

このユニット・インベストメント・トラストが日本に導入されて、日本では、証券投資信託法が1951年に施行され、株式投信が始まりました。今から63年前です。
公社債投信は1961年が発売され、株式投信にはリスクの面で二の足を踏む一般投資家も購入し、購入層の拡大が進みました。

このように導入された投資信託は、日本経済の成長とともに盛衰を繰り返しながら、成長してきて、昭和30年代には高度成長期の好景気を背景に、銀行預金よりはるかに高収益が得られた株式投信が人気を呼び、投信の購入増加が株式の需要を喚起し、株価の上昇をもたらすという好循環が続きました。
その後不動産バブルの崩壊により、株式市場が停滞期に入ると投信も資金流出が続きました。

一方、アクティブ型ファンド(当初は全てファンド・マネジャーが銘柄選択)の弊害(高コスト、リスクの高い銘柄選択など)、また、基本的に投資家は購入時に将来運用が良いファンドを選択できない(現時点でも同じ)ので、インデックスに連動する投資信託が開発されました。


140824シャープのリターンの関係


図に例示しました通り、アクティブ・ファンドは長期的にはインデックスに及ばないという学説も広く知られていましたので、バンガード・グループ創業者のジョン・ボーグル氏により、1975年12月31日に初めてのインデックス・ファンドが設定されました。名称は「バンガード500インデックス・ファンド」で対象とするインデックスはS&P500です。このファンドは39年後の現在も運用中です。

140824投資家のりぇくが決まるイメージ

最初に上場された上場投資信託(ETF)は、カナダのトロント証券取引所に機関投資家向けとして上場された、TIPS35(Toronto-35 Index Participation Units)とされています。その後さまざまな変遷を経て、現在ではこの指数も同ETFも運用されていません。

日本のETFは、1995年に日経300連動型上場投資信託が最初です。その後、日経225連動型、TOPIX連動型などが導入され、現在ではETNも加え200銘柄になっています。
日本人として残念なことですが、日本のETF市場は銘柄の多様性も小さく、規模・取引額で見劣りがします。というより、周回遅れの現況です。
現在東京証券取引所に上場されているETFとETNは合わせた200本です。
日本株19本、日本株規模別21本、日本株業種別38本、日本株テーマ型10本、エンハンスト型3本
レバレッジ・インバース型11本、REIT6本、外国株31本、外国債券3本、商品・商品指数11本、商品(外国投資法人)17本、ETN23本。
例えば、現在販売量が多い、多分配型投資信託などは、長期保有適したETFに保有を変えると、信託報酬が安く、その構造上保有銘柄の配当金はコストを引いたのちに、投資家に配当しますので、債券のパフォーマンスに連動するETFは多分配型の投資信託より有利なものと判断しています。

このように日本のETFが遅れているのは、一般投資家の不勉強さもありますが、投資信託と異なり証券取引所での取引で売買が終わるため、証券会社は売買手数料しか入らないことから、積極的にお客様に紹介していないことが、発展を遅らせていると考えています。
銀行には何も入りませんから、取扱い商品になっていません。

日本はこのような状態ですので、一般投資家としてはETFの購入は米国市場に頼らざるを得ず、この点からも世界に遅れる原因かと思います。
とても残念なことですが、銘柄選択の幅が圧倒的に少なく、あっても売買量が極端に少ないものもあり、私が保有するETF数は東証上場のものの8倍をNYSEアルカ市場で購入しています。

株式指数、債券のパフォーマンス、商品等の価格に連動するETFは、扱いが縮小したりして償還されることはありますが、個別株と異なり倒産はありません。また、市場全体の浮き沈みと連動しますが、個別のリスクが吸収され相対的にリスクが抑えられます。下図は、銘柄数が増えることによる、個別リスクの現象イメージです。

140824銘柄数とリスクの関係

ただ、ETFは株と同じように売買単位が決まっており、毎月積み立てには、馴染まないものです(累投銘柄もありますがコストが高くなります)
毎月一定額の投資をされるのであれば、インデックス投信でコストの安い物(買付手数料なしのノーロードで、信託報酬が低く、売却時の信託財産留保額がない)で、指数との連動性が強く、信託財産の大きなものを採用されては如何でしょう。

以上でETFの概観は終えますが

もし、ご興味があれば、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーの宣伝臭がありますが下記をお読みになると世界最大のETFの誕生過程がお分かりになろうかと思います。(蛇足ながら、私はSPYを保有しているだけで、ステート ストリートグローバル アドバイザー社との関わりはありません)
SPDR S&P 500 ETF:ETF誕生のアイデア
http://www.spdrs.jp/education/files/SPY_The_Idea_That_Spawned_An_Industry.pdf

新ファミリー・一族は私の造語で、昭和20年生まれを初代とする一家(ファミリー)を指します。その属性は、前回の図に示す通りで、ほぼ準富裕層以上の世帯相当になります。

140810新ファミリー一族の属性

文責
FP学会会員
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー
オフィス マイ エフ・ピー 代表 吉野 充巨

【保有資格】
ファイナンシャル・プランナー:日本FP協会認定CFP®
日本証券アナリスト協会認定 プライマリー プライベート・バンカー
宅地建物取引主任者 (東京)第188140号
ロングステイ財団登録ロングステイアドバイザー&登録講師
ホームページアドレス
http://www.officemyfp.com/

独立系顧問料制アドバイザーとは
http://profile.allabout.co.jp/w/c-64005/
http://mbp-tokyo.com/officemyfp/column/12298/
http://www.officemyfp.com/komonryouseiadviser.html

『このコラムは、投資判断の参考となります情報の提供を目的としたものであり、有価証券の取引その他の取引の勧誘を目的としたものではありません。
投資による損益はすべて読者・ご相談者ご自身に帰属いたします。投資にあたりましては正規の目論見書、説明書等をご覧いただいたうえで、読者・相談者ご自身での最終的なご判断をお願いいたします。
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