建築の単位時間。 - 住宅設計・構造全般 - 専門家プロファイル

杉浦 繁
Atelier繁建築設計事務所 代表
愛知県
建築家

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対象:住宅設計・構造

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建築の単位時間。

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知って建て知って住むということ・・1

 

 

 


また広島でたいへんな災害が発生してしまいました。

亡くなられた方々には心よりお悔やみ申し上げます。

 


広島という地域は過去に何度も土砂崩れや土石流の発生している大学の防災学などでも必ず勉強するような土砂災害の危険地域です。

これにはマサ土という特有の地質が関係していると言われていますが・・

山岳島国であるこの国ではどこで発生してもおかしくないことでもあるのかもしれません。

 


なぜこんなことになったのか、誰が悪いのか、などというのはTVなどでさんざん専門家の方達が言われていますのでここではおいておきますが、少し建築をつづけている者として考えるところをのべてみようかと思います。

 

 


住宅という物を考えるときにその単位時間をどう考えるのか・・

ということは非常に重要なことです。

 


我々は住宅をつくる際には数十年を単位に考えて設計し建築します。

その時間の最低単位が一般的なローン期間である30年とか40年でさらには100年もつ住宅ということになります。

その建てた家には100年住むかもしれないから・・

少なくとも何かない限りは100年たってもそこに建っています。

 


なので・・

TVのリフォーム番組などで出てくるような数年もすれば壊れてしまうような家具などは絶対につくりません。

また通常は2~3年長くても5年程度が単位時間で改装することを前提に作られる店舗などの店舗用建材なども絶対に使いません。

 


そして・・

これは家自体に関してだけのことではありません。

 


自然災害も人災も建築の関わる全ての事象がどのくらいの時間単位で起こる可能性があるのか?

ということです。

 


どういうことか?

ここ数十年は土砂崩れがなかったから大丈夫?

ではないということです。

 


数十年間なかった、つまり過去には何度もあった数十年前にはあったことは・・

その家が建っている間、つまりあなたがそこに住んでいる間には必ず起こることだということ。

 


であれば・・

そうなるであろうと想定してその家は建てなければなりません。

住む方はそのことを知ってそこにその家に住まなければならないのです。

 


これは何も自然災害に限ったことではありません。

家の前に大きな道路があればいつかは車が突っ込んで来るかもしれません。

家の隣が大きな化学工場ならいつかは爆発するかもしれません。

家の横が川ならいつかは溢れるかもしれません。

ここ東海地方などは絶対に東海・東南海地震が起こると言われているのです。

どこでも誰でも何かしらは起こりうることです。

 


ならばそんなとこには住まなければいい?

いえいえ、どこであっても同じことです・・

どんな場所でもどんな土地でも何かしら違った形で何かが起こりえます。

全部駄目などと言っていたら住めるところなど日本中どこにもありはしません。

 

 

人の考える時間と自然などに流れる時間は違います。

そして建築にとってもその単位時間は違う・・

人間にとっては20年も前のことははるか昔のことですが・・

自然にとってはついこの間のことであり・・

建築にとっては建っている間に何度かおこりうること。

 


それを知って住宅は建てなければなりませんし、住む人はそれを知ってそこに住まなければなりません。

いつか予測される何かが起きて・・

まさかここが!

初めて知ったなんてことは絶対にあってはならない。

 

 


ここ東海地方も東海地震・東南海地震が必ずいつか発生します。

過去にあればまた起きる可能性がある。

それを知ってそこに住まなければなりません。

 


最も大切なことは命を守ることで・・

そのために知っていること。

その心構えだけで大きく違います。

建てる者も住む者も・・

 

 

 


 



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