- 中舎 重之
- 建築家
対象:住宅設計・構造
通し柱の話です。
通常、通し柱は4隅に入れます。 吹抜や階段等の床が貼られない所では、
通し柱を入れる方が良いとは考えています。
通し柱の寸法は120mm角です。 此処に2方向から2階の梁が取り付きます。
梁を取り付ける為に柱を切り欠きます。 これが断面欠損と成り、柱材を弱くします。
素材の断面を100とすると、2方向から2階の梁での仕口部の断面は50になります。
これが木造での最大の弱点になります。
人によっては、通し柱ではなく1階と2階に管柱を設けて金物補強にて、
緊結するのが良いさえ言います。
通し柱が120角の場合、層間変形角1/90にて破壊するとのデータもあります。
耐力壁(スジカイ45x90、構造用合板)が地震時に働きだすのが層間変形角1/60との事ですので、
耐力壁の効果が出ると同時に通し柱にも損傷が出始めます。
此の損傷を最小限に止める方法として、
通し柱の2方向に構造用合板を貼り、柱と一体化させる事が考えられます。
それにより、二次的効果として壁配置のバランスも良くなります。
柱の長さ(階の高さ)の話です。
柱材に長さ3mを使用する場合、採用する構造用合板のサイズに合わせるのも良いでしょう。
構造用合板3x9版(910x2730mm)ですと、土台の天端より2階の梁天端まで2650mmとなります。
構造用合板3x10版(910x3030mm)ならば、同じく2980mmとなり、
これもコストダウンの一助にはなります。
梁(横架材)の話です。
梁のサイズ(断面)を決める時の目安を記します。
木材は、ヤング係数が低く、変形量(タワミ)が大きくなる材料です。
さらに含水率による影響も受ける事で、設計者の判断を狂わせています。
梁のタワミは屋根や外壁からの雨漏り、床の傾斜と床鳴り、建具の開閉の不具合などと、
居住性に多大な悪影響を及ぼします。
建築基準法での規定では、変形角=(変形量/スパン)=1/300以下かつ変形量2cm以下
と決められています。
変形量が2cmもあると、それだけで住む人を不安にさせます。
変形角1/300で、張間3間(540cm)での変形量を計算します。
変形量=540x(1/300)=1.8cmになります。
このコラムに類似したコラム
強い家造り 15 中舎 重之 - 建築家(2014/08/18 10:57)
強い家造り 16 中舎 重之 - 建築家(2014/08/18 10:53)
強い家造り 17 中舎 重之 - 建築家(2014/08/18 10:49)
東京の世田谷区成城で起きた土砂崩れの原因は何か? 寺岡 孝 - お金と住まいの専門家(2023/02/16 10:00)
建築基準法と確認申請 2021 齋藤 進一 - 建築家(2021/09/22 18:00)