- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
それはかつての日本における当たり前の家であり、日本という高温多湿の環境にあって、いかに構造体である木を腐らせない様にするか、ということは、いかに構造体の中に湿気を溜めない様にするか、ということでしたから、日本の木造技術はまさに湿気を溜めないための技術であったと言っても過言ではありません。
しかし、戦後の急速な経済復興の中で、住宅需要と石油化学工業の発達が、日本の家作りの基本を忘れさせてしまいました。
「新建材」と呼ばれた石油化学建材は見た目奇麗で、掃除やメンテナンスが楽なため消費者に歓迎され、施工者にとっても高度な技術がいらず、楽に早く作業ができるので、急速に普及しました。
結果として気密性の高い、湿気の抜けない家となり、家の寿命はわずか25年という耐久消費財になってしまったのです。
これからの家づくりは、まず、そうした間違いを正すことから始めなければなりません。