前回・前々回はバレエの歴史や作品の内容から「白鳥の湖」の魅力についてお話しさせて頂きました。
「このバレエは、何故いつの時代もこんなに人々を魅了してやまないのか?」という事の答えに、"鳥" をテーマにしたという事があると思います。
その台本の素晴らしさと、天才振付家が編み出した新たなバレエスタイル。
つまりそれまで足の動きが主だったバレエを、バレリーナが上半身・腕の動きを最大限使って表現する "鳥" の仕草の "形式美" が生まれた事による所が大きいでしょう!
では今回は番外編として、「白鳥の湖」のストーリーの由来なるものをお話ししてみようと思います ♫ (^^✿
"鳥" というのは古今東西「神様のお使い」として、良く神話や伝説などのシンボルにもなったり、又 "白" という色も同様、神様や神様にお仕えするもののイメージカラーとしても定番で有名ですね! (^^☆
ですので "白鳥" という鳥の優美さは高尚さを感じさせ、神様に近い存在であるというイメージを昔から持たれています。
「白鳥の湖」のストーリーの元になったのは、ドイツの作家ムゼウスの幻想童話「白鳥の湖」でした。
チャイコフスキーがそれを題材にしたバレエを作りたいと提案した事で、当時のボリショイ劇場の支配人べギシェフが喜び、総監督のゲルツァーと共同でバレエ台本の制作に着手しました。
台本を作るに当たり、その中でもう一つゲルツァーが影響を受けたものがありました。
それは1841年に、オベールの音楽でロンドンで初演されていた「妖精の湖」というハイネの詩から生まれたロマンティック・バレエのストーリーでした。(その物語もムゼウスの「白鳥の湖」が元になっていました)
その「妖精物語」のストーリーは・・・
「ある夜、一人の青年が、湖に舞い降りた鳥が羽毛を脱いで美しい乙女に変わるのを見て、彼女に恋心を抱きます。 そして乙女は彼にお守りとして一枚の羽毛を与える・・・」というものです。☆彡
それにムゼウスの「白鳥の湖」のストーリーが加わります。それは・・・
「湖の辺りに住む老人ベンノは、青春時代にかつて住んでいた島がありました。
その島の、悪魔の統治者の遠縁であったゾヤという娘に彼は恋をしてしまい、その二人の恋は悪魔の怒りを招きました。
その為、湖畔に追い払われたベンノは、白鳥に姿を変えた心優しい恋人ゾヤの訪問を受ける様になりました。
長い年月が経って、ある日ベンノは青年騎士のフリードベルトに出会い、この白鳥の湖の話を彼に物語ります。
そしてそのフリードベルトは、ゾヤの娘で白鳥の女王ロリストに恋心を抱く様になり、彼は不滅の愛を彼女に誓い、彼女が再び飛べなくなる様に翼を隠してしまうのです。
彼女は騎士の手から逃れようとするのですが、結局は彼に見つかり、二人はやがて結婚するのでした」
というものです。☆彡
この二つの素敵なストーリが合体して脚本がなされ、現在上演されている「白鳥の湖」の魅力的なストーリーが生まれたのですねぇ!《゚Д゚》♡
こうして色々なアイディアを生かしながら、新たに生み出されたストーリーの素晴らしさが骨格として作品の根底にあるから、
今日まで伝統が受け継がれ、まさに金字塔となっているバレエ「白鳥の湖」に成ったという事も、又見逃せない事実なのであります。 ☆☆☆♔☆☆☆
それにしても昔の芸術家の方達は、美しいものにとても敏感で情熱的であり、又才能に溢れた天才達が本当に多かったのですねぇ!(しみじみ・・・)
☆_(_☆_)_☆
(この絵も私の自宅に飾られているものです♫ 綺麗でしょう?☆彡)
このコラムの執筆専門家
- 大園 エリカ
- (東京都 / クラシックバレエ教師・振付家)
- 舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
natural & elegance
長年プリマとして国内外で活躍。現役引退後は後進の指導とバレエ作品の振付けに専念。バレエ衣裳や頭飾りを作り続けて得たセンスを生かし、自由な発想でのオリジナルデザインの洋服や小物等を作る事と読書が趣味。著書に「人生の奥行き」(文芸社) 2003年