50歳からは人生を楽しむ家づくり  6 - 住宅イメージ - 専門家プロファイル

小林 裕美子
ストゥーディオ ステラ 一級建築士事務所 
東京都
建築家

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対象:住宅設計・構造

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50歳からは人生を楽しむ家づくり  6

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 基本的な家のプラン

  「家事楽・住楽 1」

  この章では「如何に家事を楽にして、楽しく住まうか」というテーマでお話しします。

  家事を楽にと言っても、最新の設備の話ではありません。家事を楽にするプラニングの基本を、

  皆さんに考えていただきたいと思います。たとえ家事をすること事自体が趣味であっても、

  古い家を改装して住む場合でも、楽に掃除ができるというベーシックな考え方は共通です。

  毎日のルーティーンな仕事に成る可く余分なエネルギーと時間をかけないで、その時間を

  好きなことに集中して生活できる様に考えてみましょう。


  先ずは何と言っても掃除を楽にする事です。その秘訣は、設計上複雑なディテールを

  作らない事、いわゆる「出隅、入り隅が少ない事」に尽きます。

  例えば、掃除機が入らない程少ししか空いていない靴入れや棚を作らない。

  高い所に埃だまりを作らない。

  細い格子やブラインド等、掃除が面倒な部分を作らない。

  掃除機やモップが入らない曲がりや、隙間を作らない・・・等々です。


  判断の基準としては、自分が掃除機を使う事などを想像してみることです。そんなことばかり

  考えていては素敵な空間が作れない、と思うのは早計です。掃除を楽にする設計は実は

  そんなに難しい事ではありません。

  例えば、玄関の靴入れを床から浮かせて作りたければ、靴入れの下の空間を簡単に

  掃除機が差し入れられるくらい沢山とって下さい。

  物入れや戸棚は適当な高さで止めずに天井まで造り付にして、不要な隙間は無くした

  設計にして下さい。

  要は、掃除機やモップや雑巾で表面をササッとなでれば綺麗になる様に、出来るだけ

  凸凹を少なくする事です。




  次に、外部からの埃や雨水などを入り難くする事も大切です。

  例えば、掃き出し窓のすぐ外が土の庭では風で土埃が入りやすいのです。タイル張りの

  テラスや濡れ縁を作って埃を防ぎましょう。

  窓に網戸をつけるのは勿論ですが、サッシのレールも掃除し易い物を選びましょう。

  レールの掃除は結構大変なものです。また、FIXの窓等は、安全に外からガラスの掃除が

  出来るように、窓の外に掃除の足場になるバルコニーの様な物をつけましょう。

  最初はいくら素敵でも汚れたガラスはいただけません。


  今流行の庇の無い窓もNGです。外観はすっきり素敵に見えるかもしれませんが、雨の多い

  日本の気候には合いません。空気を入れ換えようと少しだけ窓を開けて出掛けたら、

  急に雨が降って雨で床が水浸しなどよくある話です。家に居たって窓を閉めるまでに吹き

  込んだ雨でさえ床や壁を早く傷めます。また、床を拭く雑巾がけも一仕事です。

  庇があれば、そんな被害を防げますし、庇をつけてもいくらでも素敵なデザインは出来ます。

  どんなに少しでも庇をつけましょう。

  電気のコンセントなどは出来るだけ沢山四方八方につけましょう。その方が便利なのは

  勿論ですが、電気製品のコードが床上を這い回っていると歩行にも危険ですし、埃だまり

  にもなりやすく掃除も面倒です。

  シャンデリアなどの照明器具もどうしても気に入った物以外は、デザインが素敵で簡単に

  掃除が出来る形の物を選びましょう。


  これらのことは一つ一つは小さな事ですが、全てが合わさると大きな家事楽につながります。

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