階段はバリアフリーになりません。 - 住宅設計・構造全般 - 専門家プロファイル

杉浦 繁
Atelier繁建築設計事務所 代表
愛知県
建築家

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対象:住宅設計・構造

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階段はバリアフリーになりません。

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たかが階段されど階段・・6

 




昨今は猫も杓子もバリアフリー全盛の世の中です。


バリアフリーでなければ建築ではないなんて言う方もたくさんいらっしゃるようです。




玄関に上がり框のない住宅なんてのも当たり前になってきました。


いやはや・・

なんだかおかしな世の中です。




建築の基本を無視して機能や構造の基本を無視して今現在必要性の全くないバリアフリーを最優先ってどうかとも思っています。



あ・・

誤解のないようにここで言っておきますが・・


私の父は重度の障害者です。

バリアフリーの必要性やありがたさは嫌っっていうほどわかっていますので・・





それでもなんでもとにかくバリアフリーな世の中です。




残念なことに、そのバリアフリーに階段という構造物はまったくなりません。


間違いなく・・





そこで平屋を建てられる広大な土地をお持ちの方以外は・・


バリアフリー住宅にはエレベーターをつけなければなりません。

ホームEVなんてたかだか200万もあればつけられます。

EVさえあればばっちりバリアフリーになるのです。





本当にそれでいいのでしょうか?





そろそろ老後を考え始めた方のお宅ならばそれはその通りです。

ご家族に障害のある方がいらっしゃるのであれば絶対に必要です。

3階建てならばそれもありかもしれません。


 


世の中の住宅の99%は2階建て・・


2階に上がったり下りたりにエレベーターを使う人いますか?

階段の方がはるかに早い。


 

エレベーターは電気で動きます。

この電力不足の時代に五体満足な若い人がたかだか2階に上がるために毎日電気を使うのですか?


それなのに原発は反対なのでしょうか?




ホームEVは200万もあればつけることが出来ます。


が・・

その保守管理費用は年に平均10万弱ほどかかります。


ロープやバッテリーやモーターなどは経年で交換が必要ですからその時期にはさらにかかります。




たまに荷物を上げるだけのために使いもしないEVに毎月払い続けなければなりません。




お子さんのため?

ならば是非とも階段を。


毎日の階段での運動が心身を自然に鍛えてくれます。

EVがあればお子さんはそれに乗ってしまうでしょう、楽ですから・・




ただ・・

将来必要になる時が来るかもしれない。

そのことを忘れてはいけません。


年をとったらその時にEVを200万円でつけられるようにしておかなければいけない。

もしかしたら今よりずっと高性能で安くなっているかもしれません。




その時にバリアフリーです。

場所がなければつけられません。




まだまだお若いご家族にEVが必要ですか?


将来のため?

それは何年先のことですか?





将来のためにつけておくのではなく・・

将来つけられるようにしておきましょう。






そうそう・・


設置したEVの維持管理費がもったいないと保守管理をやらない方もいらっしゃるようです。

地域によっては法的には必要のない地域もあるようですが・・




EVは止まったら閉じ込められます。


停電時バッテリーがあってもその交換をしていなければ電気はたまっていません。

ロープが切れたら動きません。

地震でガイドレールが曲がってしまえば絶対に動きません。




確かに・・

今時の日本製のEVはめったなことで故障したりしません。




でもそういうことではない、いざという時・・

命に関わります。


きちんと保守管理契約をされることを強くお勧めします。









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