- 上村 美智夫
- PAO建築設計 代表
- 東京都
- 建築家
対象:リフォーム・増改築
- 木下 泰徳
- (アップライフデザイナー)
- 溝部 公寛
- (建築家)
時々相談を受けることのある、建替えにするべきか、それともリフォームの方が良いの
かの判断について、改めて考えてみたいと思う。
これまでは、相談を受け、その時のそれぞれ個別の内容で、その都度可能な限り総合
的な観点から、回答していたように思う。
そのような場面で、何か客観的な物差し・判断基準のような、一定の確かさのようなもの
を備えているツールは、無いものだろうかと思う。
相談する側からすれば、リフォームを専門とするようなところに相談すれば、「リフォーム
でいきましょう」等と勧められ、建物の耐久性等にかかわる重要な部分(基礎、土台、柱、
屋根等)に多少の問題があっても、あまり重要視はされず、見える所だけを美しく仕上げて
終わるのではないか。そういう事でその後20年、50年レベルの耐久性は維持できるのだろ
うかと不安にもなるだろう。
また、一方で新築を得意とするような工務店等では、「柱が傷んでいるので、建替えた方が
より安心できますよ。」等と勧められ、本当は少々の補修で十分なところが、建替えとなった
りはしないだろうかと、これもやはり心配にもなるだろう。
これらの不安は、建築の設計事務所(建築家)に相談する場合であっても、概ね似たもの
ではないだろうか。
そこで思い当たったのが、多くの行政で行っている、建物の耐震診断である。現在では、
一般的にその診断費用については、多少の補助も期待できる。これらはリフォーム工事等
には直接は関係しない、公正中立な、独立した第三者機関の判断と思ってよいだろう。
この耐震診断の結果を見れば、耐震補強(リフォーム)程度で済むのか、あるいは、この際
建替えた方が費用的にも合理的なのか等の判断がある程度可能となると思われる。
その耐震診断の結果と、自分たちが希望するリフォームの内容をプラスした時に、建替えの方
が良いのかリフォームで済ませた方が良いのかの判断もおのずと見えてくるのではないだろうか。
耐震診断の結果は、評点という数値で示され、その危険レベルの判定や今後の対策につい
ては、概略以下のように表現されるようである。
評点=1.0以上~1.5未満 → 一応安全だと思われるが、念のため専門家に診てもらいましょう。
評点=0.7以上~1.0未満 → やや危険です、専門家による診断をうけてください。
評点=0.7未満 → 倒壊又は大破壊の危険があります、ぜひ専門家と補強について相談してください。
耐震補強の工事とはその低かった評点を、新たに、筋かいの追加等の各種の耐震補強を行う
ことで、その結果として、評点を1.0以上まで引き上げることを意味している。もちろん、評点をより
高くして、より高い安全性を求めることも可能であるが、それには更なる工事費の増加を伴う。
まずはこの公正中立な耐震診断の結果を確認して、それをベースにして、建替えかリフォームかを
考えてみるというのが、最も安心できるひとつの方法ではないだろうか。
現在、耐震診断等については、何らかの行政の補助(助成)が用意されているようである。
その補助とは耐震診断の費用の3分の2とか、耐震改修費用の2分の1等ですが、その具体的な
内容は、それぞれの行政で若干の違いがあるようです。
ネット検索で、「○○○市役所 耐震診断 補助」等で情報は見つかると思います。
可能であれば、補助金等も上手に活用したいものである。
・リフォームについて(PAO建築設計ホームページ)
リフォームにおける大切なポイントや「住宅の劣化の進行」グラフも掲載しています。
http://www2.gol.com/users/paoarchi/jilei-reform/jilei-reform.html
上村 美智夫 / Michio Kamimura
PAO建築設計
http://www2.gol.com/users/paoarchi/ E-mail paoarchi@gol.com
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