指針の中の「適切で効果的な中学生期のスポーツ活動に向けて」ではいくつかの項目に渡って細かく記されています。
この項目の全体を見渡してみると以下の3つのことに抽象化することができます。
・学校教育の一環としておこなわれている部活動の充実
・社会体育活動と連携しながら児童・生徒を地域で育てていく
・現在はスポーツ活動の環境が学校から地域へと移行している時
このことを踏まえながら学校の中の部活動について話しを続けます。
前回のコラムでは部活動と競技力について述べました。
競技力向上のためとはいえ一部に見られる勝利至上主義については一度は耳にしたことがあると思います。
今回勉強してみて初めて知ったのですが、勝つことのみに重きをおいた指導をおこなわないよう「過度な活動とならないように」ということについては1948年に文部省通達で出されていたということです。
第二次世界大戦の終戦後わずか3年後に既に通達されていますが今日までの宿題となっています。
さて、指針の中で部活動の顧問(指導者)についても述べられています。
今回の指針の中で私は以下のことに焦点をあてて考えてみました。
・部活動顧問の60パーセントが専門外担当
・指導研修会など部顧問を支える体制づくり
・外部指導者との連携のあり方についての検討が必要
顧問の先生について別の角度から見てみて以下のことも課題であると考えます。
県内では部活動の活動時間は平日・休日とも勤務時間を超えておこなわれているというのが実態です。
このことは労働関係の法律に触れるのではないでしょうか。
時間外の指導といっても生徒が学校内で活動している時に顧問が不在ということは指導や万が一の時の責任が果たせなくなります。
もちろん生徒と一緒に汗をかきながら活動をしたいという思いが一番強いでしょう。
「生徒のために。」という思いではいるものの、一部にはボランティア的な活動だという声もあります。(手当ては出ますが小額)
「生徒のためだから。」このことがタブーとなり声を上げづらいということかもしれません。
次に、顧問の先生の転勤により実質的に指導者不在状態となり、継続的な指導がおこなえないという点です。
活動が停滞し、それによる部員減少、そして廃部、ということも考えられるのです。
部員減少については少子化ということも重なり現在より更に深刻な問題となっていくでしょう。
「人数が少なくとも活動はできるのでは?」と思われるかもしれませんが、例えば野球部員が8人ということになればチームが組めなくなり試合もおこなうことができません。
このことが充実した活動であると言えるのでしょうか。
活動する人数が少ないことで廃部になり生徒がやりたいと思ったスポーツができないという環境は大人だったらやむを得ないと渋々諦められるかもしれませんが、このことが児童生徒にとって望ましい環境だとは思えません。
スポーツを学校内の部活動だけでおこなおうとすることには厳しい時代が予測されます。
逆に言えば地域の中で総合型地域スポーツクラブのような受け皿があれば児童生徒が望む種目のスポーツをおこなうことができるということです。
次回はこれからの吹奏楽活動、学校の部活動と社会教育活動との連携などについて話しを続けます。
このコラムの執筆専門家
- 成澤 利幸
- (長野県 / 音楽家、打楽器奏者)
- 成澤打楽器音楽教室
音楽はみんなのもの
楽器の演奏は専門家からのちょっとしたアドバイスによりスムーズに上達したり音楽の奥深さに触れることがあります。ドラムやマリンバ、いろいろな打楽器のレッスンを通して皆さんのお力になれればと思います。
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