- 中舎 重之
- 建築家
対象:老後・セカンドライフ
木造建築の話
木造建築の設計技術が落ち、施工する大工の腕も落ちて、
建物が悪くなったのは江戸時代からと言われています。
悪くなった理由のひとつは、規矩術と言われる部材の規格化が進んだこと、
それとマニアルが出来たからだそうです。
部材の規格化とマニアルが、大工さんから「自分の頭で建物を考える」と言う必要性を奪いました。
二つ目は古代・中世と大工の道具が飛躍的に発達して、丸太を割り、木材を造り出して、
荒削りから仕上げまでの手作業が大幅に減少した事によります。
いわゆる、手間を掛ける習慣がなくなったことも原因としては大きいでしょう。
三つ目は、「請け負い」の事です。
「予算はこの位で、このぐらいの建物を」とお客様が無理な注文を大工に押しつける事です。
本来なら、「このぐらいの建物なら、予算はいくらですか」とお話をして戴きたいものです。
まずは予算が先では、大工さんは利益の為に手間と材料を惜しむようになります。
木造建築が持つ特有の美しくて、丈夫な建物を造るには、それなりの木材を使い、
その材料が持つ美しさを引き出す技術(大工の腕)と丁寧な仕事(手間)が必要なのです。
お客様は予算内で出来る範囲を見極めて我慢をして、大工さんに無理な注文はしないで下さい。
大工さんもお客様の我慢を見て、それ以上の痩せ我慢をして、手間を惜しまないで下さい。
建築の仕事を頼む方も、その仕事を頼まれる側も、
それぞれが我慢くらべが出来る信頼関係が生まれるのであれば、
こんにちでも、美しく、丈夫で、長持ちする建物を造ることが出来ます。
今日は、「痩せ我慢」をお薦めするお話でした。
中 舎 重 之
綜合企画設計工務 一級建築士事務所
FAX:046-263-9324
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