- 辻 良史
- 筑波大学発ベンチャー(株)サイバー・ヨガ研究所 代表取締役
- 東京都
- 博士(体育科学)
火の呼吸で一生負けない脳をつくる無敗脳ヨガ道場の辻です.
本日発売の『月刊 秘伝6月号』にて日野晃先生の身体武術理論の“同調現象”部門を監修させていただきました.
日野先生は,著名な武術家ですが,中でも特徴的な動きとして,相手と同時に動くことができる“同調現象”があります.
これにより相手が攻撃しようとする意思を感知し,未然に攻撃を防ぐことが可能になってきます.
宮本武蔵も「五輪書」で,こういった動き,意識作用のことを「枕をおさえる」という言葉で端的に述べています.
つまり昔の剣豪にとって,当然必要になってくる要素だったことが伺えます.
対してスポーツ格闘技の場合,相手の攻撃を目で見て反応し,受けて返すということが行われます.
この場合,動体視力,筋力の影響を受けることになり,当然若い頃しかうまく攻防が行えなくなってくるという現象が起きてきます.
しかし,武術の達人と称された方々は年老いてもなお若い武術家たちをも寄せ付けない実力を備えていたことは多くの文献でも明記されています.
もしそうであるならば,年齢に左右されない部分で達人が備えていたテクニックがあると考えるの妥当といえます.
格闘技のように,相手の攻撃が発生してから攻撃を捌いていたのでは間に合わず,“意識”レベルの話になってきます.
つまり,相手が攻撃をしようとしたする意思を感知し,実際の攻撃が発動する前に抑えてしまう行為です.
あくまでも推測の域を脱しませんが,科学的には,相手の脳内の神経発火による磁場の変化を感知しているのかもしれません.
今回,日野先生の特集が組まれるにあたり,この“同調現象”について「月刊 秘伝」編集部の方から
そのメカニズムを解明したいというご依頼をいただきました.
そこで見た目には現れない要素つまり,攻防時の脳内の活動を捉える必要性が出てきました.
しかし,脳波測定は,身体の動き(特に頭部)が大きくなるにつれ,正しい測定が困難になります.
そこで,身体をあまり動かさない条件で,脳内の“同調現象”を検証する必要がありました.
そして,いわゆるアルファ波やベータ波などの普通の脳波(自然脳波,背景脳波)を測定しても
このメカニズムは何も浮かび上がってこないと直感的に感じ,ある脳波の測定が頭に浮かび上がりました.
続いて,相手の攻撃するという意識をどうやって日野先生に与えるか,
そしてどの時点でその攻撃を感知・認識したのかという測定が必要になりました.
このようにたくさんの実験課題がありました.
今回は,様々な制約がある中で今考えられる最もベストな方法での測定ができたと自負しております.
実際の測定方法や実験結果については,『月刊 秘伝 6月号』をどうぞご一読ください.
私の監修部分以外にも日野先生の「胸骨操作」などアスリートの方々にはとても役立つ情報がたくさん載っております.
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