所得税法の退職所得 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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対象:民事家事・生活トラブル

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給与所得と退職所得との区別

10年退職金事件、判例百選41事件

源泉徴収納付義務告知処分取消等請求事件

昭和58126 最高裁第3小法廷 判決

破棄差戻し、裁判集民事 第140589

【判示事項】

所得税法301項にいう退職所得にあたるかどうかの認定判断につき法令の解釈適用の誤り及び審理不尽の違法があるとされた事例

【裁判要旨】

従業員が満55歳又は勤続満10年に達したときに定年となる旨の就業規則の定め及び退職金規程に基づき、勤続満10年に達したことを理由として退職金名義の金員の支給を受けた従業員の大部分が、その役職、給与、有給休暇の日数の算定等の労働条件に変化がないまま引き続き勤務しているなど判示のような事実関係があるときは、右就業規則の客観的な運用として従業員が勤続満10年に達したときは退職するのを原則的取扱いとしており、その後継続している勤務関係が単なる従前の勤務関係の延長ではなく新たな雇用契約に基づくものであるとの実質を有すること、又は右金員が定年延長若しくは退職年金制度の採用等の合理的な理由による退職金支給制度の実質的改変により精算の必要があって支給されたものであること、若しくは継続している勤務関係がその性質内容、労働条件等において重大な変動を受け実質的には単なる従前の勤務関係の延長とはみられないこと等の特別の事実関係がないにもかかわらず、右金員を所得税法301項にいう退職所得にあたると認定判断することには、法令の解釈適用の誤り及び審理不尽の違法がある。

【参照法条】

所得税法301項,民訴法394

(注)なお、5年退職金事件も同旨。

所得税法は、退職所得について、退職所得の金額から退職所得控除を控除した残額の1/2の額とする(所得税法30条2項)。退職所得控除は、勤続年数に応じて増加する(同条3項)。

課税額が給与所得より少なくするようにしている。また、他の所得と分離して累進税率を適用される(所得税法22条1項、201条。分離課税)。

この判例は、退職所得の税負担軽減措置の立法趣旨は、①退職金は、長期間勤続してきたことに対する報償の後払いの累積としての性質、②退職金は、受給者の退職後の生活(おおむね老後)の保障であり、生活の糧となることにあるからとする。

退職所得は(1)退職すなわち勤務関係の終了によって初めて支給されること、(2)従来の継続的勤務の報償ないし労務の対価の後払いとしての性質、(3)一時金としてしはらわれること、の3要件が必要である。