新人店長は「新人スタッフが辞めない店」を作ろう

「この店凄いね・・・新人の初期退職ってまったくいないんだね。だから、年間の募集費用も低めに抑えられているし、売上も伸び続けているんだね。素晴らしいね。」

４月から新しくこの店の担当になったエリアマネジャーが、スタッフの退職動向リストを見て驚きの声を上げました。（退職動向リストとは、このチェーンで行っている、採用と退職の期間に関して店毎に分析しているレポートのことです。）

それもそのはず、この会社では多くの店がいつも人手不足で、年がら年中アルバイトの募集をしています。中には、フェアやキャンペーンのポスターよりもアルバイト募集のポスターやチラシの方が目立っているような店も少なくはありませんでした。しかし、その原因は、せっかく採用したスタッフがすぐに辞めてしまうこと、すぐにではなくても１年以内にほぼ全員が辞めてしまうことでした。

こう言う店のQSC（品質・サービス・清潔さ）はそのチェーン店の基準を下回ることが多く、その為、お客様の満足度も高まらず、再来店頻度も下がり、売上は徐々に低下していきます。売上低下は、店長の人材育成への投資意欲が下がり、常に目の前のコストだけを考えたギリギリのスタッフ数で店を回すため、お客様の立場から見ていても辛そうに仕事をしている様子が伺えるようになります。そんな様子を見たら、「この店で働きたいな」と思うような人はいなくなります。

一方で、この店のようにアルバイト募集をまったくしてない店とは、いつもスタッフが充足していると言うことです。同時に彼らの表情は一様に楽しそうな気持ちがあふれ出ています。もちろん動きもキビキビして、余裕があるためお客様との気の利いた会話も生まれます。QSCが高いレベルで安定しているのは言うまでもありません。そんな店を利用しているお客様の再来店頻度は自然と高くなります。これが売れ続ける店なのです。そんな活気あふれる店には「この店で働きたい」という希望者がひっきりなしに問い合わせをして来ます。つまり募集広告などまったく不要なのです。

スタッフ充足→QSC→売上→利益、の４つは密接に関連しています。
スタッフを適正に充足させると、利益が増えるのです。
しかし、多くの店長や経営者は、利益を確保する為に、スタッフ充足が低下しても手を付けないか、対策が後手に回ります。人手不足がどうにもこうにも行かなくなってから補充するのです。そんな状態では、新人に対して十分なケアとトレーニングは出来ません。スタッフの充足が安定している店は、新人の育成に十分な時間をかけることが出来ます。その為、QSCも安定することが出来るのです。

そんな「スタッフ充足と利益の関係」について、まったくその意味が理解出来ない人がいます。そのひと達は、この考え方を「理想論」だと言います。理解不足も甚だしいのですが、まあ、そう思う人はいつまでたっても逆サイクルを回して苦しめば良いのです(笑)

とは言え突き放しても誰も幸せになりませんね。
なので、ひとつ、キーポイントをお教えしましょう。
このサイクルを正しく回すコツは、冒頭の店のように「アルバイトの退職率を減らす」ことにあります。特に、「新人アルバイトの初期退職をゼロ」にするのです。そこに注力すれば、このサイクルは必ず回り始めます。

売上が厳しくQSCが不安定な店は、ほぼ例外なく新人の初期退職率が高いのです。採用してもすぐに辞めてしまうのは、すぐに辞めたくなる理由があるからなのです。それを解決することが、正しいサービスプロフィットチェーン（ES→CS→SALES→PROFIT）をまわす基本です。

「売上を伸ばし続ける店は、新人の初期退職がゼロ」

さて、あなたの店の新人は、長く働き続けてくれていますか？
すぐに辞める新人がひとりでもいるようならば、もう一度採用基準と受け入れ体制の見直しを図りましょう。それが、QSCの安定した売れ続ける店への第一歩なのですよ。