
- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
できるだけ石油化学製品を使わない建材を吟味して選ばなくてはなりません。
生産エネルギーの大きな建材は勿論、石油化学から生まれた新建材だけではありません。例えば、住宅建材の中にはアルミサッシに代表されるアルミ製品が数多くあります。
アルミニウムは電気分解によって精錬されるため、「電気の缶詰」と呼ばれるほどその製造過程で多量の電力を必要とする金属であり、さらに製品にする為にもまた多大なエネルギーが投入されます。
また、石油もそうですが、アルミの原材料であるボーキサイトは日本では全く産出されない鉱物ですから、100%海外からの輸入に頼っています。
こうした輸送にかかるエネルギーもきちんと評価しなくてはいけません。
これを例えば木製サッシにすれば相当小さなエネルギーで済むことになります。
勿論、この木製サッシを海外から輸入するのではやはり多大な輸送エネルギーを消費することになってしまいますから、国内で、それもできれば地場で造られるものを使用したいものです。
最近は、自然素材ブームに乗って、自然系の断熱材が日本市場に入って来る様になりました。羊毛断熱材はオーストラリアやニュージーランドから、炭化コルクはポルトガルから、フラックス繊維やハンフ繊維といった植物系の断熱材はドイツから、と言った様に世界各地から入って来ます。それぞれ環境にも優しく,優れた断熱材ですが、断熱材は非常に軽く、しかもかさばるものです。こういうものをわざわざ地球の裏から多量のCO2を排出しながら船で運んで来る意味があるのでしょうか?
こうした考えはグローバルスタンダードが叫ばれているこの時代に逆行しているように思われるかもしれません。
しかし、現実には世界がグローバル化してゆく一方で、地域のアイデンティティを取り戻そうという動きが益々強まっているのも事実です。
家づくりをそうした視点からも見てゆかねばなりません。