- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
Blog201404、金融商品取引法
・金融法の読んだ本
・ジュリスト2012年8月号「特集 金融商品取引法 施行5年の軌跡と展望」
・上柳敏郎、石戸谷豊、桜井健夫『新・金融商品取引法ハンドブック』
・インサイダー取引のバスケット条項(証券取引法違反被告事件)日本商事・新薬副作用事件 、最高裁判所第3小法廷判決平成11年2月16日
・インサイダー取引の「公開買付け等を行うことについての決定」の意義 (村上ファンド事件)最高裁判所第1小法廷決定平成23年6月6日 刑集65巻4号385頁、証券取引法違反被告事件、『金融商品取引法判例百選』62事件
・インサイダー取引の「契約の履行に関し知ったとき」最高裁平成15年12月3日 証券取引法違反被告事件、『金融商品取引法判例百選』57事件
・相場操縦、仮装取引・安定操作 最高裁判所第1小法廷決定平成19年7月12日、証券取引法違反被告事件 刑集61巻5号456頁、『金融商品取引法判例百選』53事件
・株価操縦(協同飼料事件)最高裁判所第3小法廷決定平成6年7月20日、刑集48巻5号201頁、証券取引法違反、商法違反被告事件、『金融商品取引法判例百選』54事件
ジュリスト2012年8月号「特集 金融商品取引法 施行5年の軌跡と展望」
改正法や新法ができると解説本が多数出版されるが、金融商品取引法のように毎年改正されている法律について、その後の改正をフォローするのは難しい。法律改正を簡便に知ることができる点で、有益な雑誌である。
上記書籍のうち、以下の部分を読みました。
「近年の金融商品取引法に関する改正の概要」
旧・証券取引法が平成18年に金融商品取引法に改正され、平成19年に全面施行された後の平成20年~23年の改正の概要がまとめられている。
「ディスクロージャー制度」
「近時の裁判例から見た民事責任」
不実記載、金融商品取引法21条の2、民法709条
取締役の会社法に対する責任、会社法423条
短期売買差益返還請求、金融商品取引法164条
「不公取引規制」
課徴金
インサイダー取引
相場操縦(金融商品取引法157条)、虚偽風説流布・偽計・暴行脅迫の禁止(金融商品取引法158条)、空売り禁止(金融商品取引法162条)
金融商品取引業者に対する規制、自己の計算取引等の禁止(金融商品取引法161条)、信用取引の規制(金融商品取引法161条の2)、無免許市場における取引禁止(金融商品取引法167条の2)、無登録業者による未公開有価証券の売付け等の禁止(金融商品取引法171条の2)
「公開買付規制」
カネボウ種類株式最高裁判決
「デリバティブ取引規制」
「取引所法制」
上柳敏郎、石戸谷豊、桜井健夫『新・金融商品取引法ハンドブック』
日本評論社、2007年
執筆者は消費者問題に詳しい弁護士による共著である。
消費者の立場からみた金商法・金販法と関連法の解説
金融商品取引法、金融商品の販売等に関する法律、投資信託及び投資法人に関する法律、銀行業法、保険業法などが取り上げられている。
消費者の立場から、解説している。
インサイダー取引のバスケット条項
(証券取引法違反被告事件)日本商事・新薬副作用事件
最高裁判所第3小法廷判決平成11年2月16日
刑集53巻2号1頁、『金融商品取引法判例百選』60事件
【判示事項】 新薬に関する副作用症例の発生が証券取引法(平5法44号改正前)166条2項2号イに該当し得る面を有していてもなお同項4号に該当する余地が否定されないとされた事例
【判決要旨】 新薬発売直後の死亡例を含む重篤な副作用症例の発生は、当該新薬が医薬品の卸販売では高い業績を挙げていたものの製薬業者としての評価が低かった会社において多額の資金を投じ実質上初めて開発し、有力製品として期待していたものである上、同社の株価の高値維持にも寄与していたものであるなどの事情の下では、証券取引法(平5法44号改正前)166条2項2号イ所定の損害の発生に該当し得る面のほか、右新薬に大きな問題があることを疑わせて、今後その販売に支障を来たすのみならず、同社の特に製薬業者としての信用を更に低下させて、今後の業務の展開及び財産状態等に重要な影響を及ぼし得るという、同号イによっては包摂・評価され得ない面をも有する事実であって、これにつき同項4号の該当性を問題にすることが可能であり、前者の面があるとしてもそのために同号に該当する余地がなくなるものではない。
インサイダー取引の「公開買付け等を行うことについての決定」の意義 (村上ファンド事件)
最高裁判所第1小法廷決定平成23年6月6日
刑集65巻4号385頁、証券取引法違反被告事件、『金融商品取引法判例百選』62事件
【判示事項】 証券取引法(平成18年法律第65号による改正前のもの)167条2項にいう「公開買付け等を行うことについての決定」の意義
【判決要旨】 証券取引法(平成18年法律第65号による改正前のもの)167条2項にいう「公開買付け等を行うことについての決定」をしたというためには、同項にいう「業務執行を決定する機関」において、公開買付け等の実現を意図して、公開買付け等またはそれに向けた作業等を会社の業務として行う旨の決定がされれば足り、公開買付け等の実現可能性があることが具体的に認められることは要しない。
インサイダー取引の「契約の履行に関し知ったとき」
最高裁平成15年12月3日
証券取引法違反被告事件、『金融商品取引法判例百選』57事件
判例タイムズ1141号150頁
相場操縦、仮装取引・安定操作
最高裁判所第1小法廷決定平成19年7月12日、証券取引法違反被告事件
刑集61巻5号456頁、『金融商品取引法判例百選』53事件
【判決要旨】
1 出来高に関し他人に誤解を生じさせる目的は,価格操作・相場操縦の目的を伴わない場合でも,証券取引法(平成12年法律第96号による改正前のもの)159条1項柱書きにいう「取引が繁盛に行われていると誤解させる等これらの取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的」に当たる
2 いわゆる自己両建ての有価証券オプション取引は,証券取引法(平成12年法律第96号による改正前のもの)159条1項3号にいう「オプションの付与又は取得を目的としない仮装の有価証券オプション取引」に当たる
株価操縦(協同飼料事件)
最高裁判所第3小法廷決定平成6年7月20日、刑集48巻5号201頁
証券取引法違反、商法違反被告事件、『金融商品取引法判例百選』54事件
【判決要旨】
1 証券取引法(昭和63年法律第75号による改正前のもの)125条2項1号後段は、有価証券の相場を変動させるべき一連の売買取引等のすべてを違法とするものではなく、人為的な操作を加えて相場を変動させるにもかかわらず、投資者にその相場が自然の需給関係により形成されるものであると誤認させて有価証券市場における有価証券の売買取引に誘い込む目的をもってする、相場を変動させる可能性のある売買取引等を禁止するものである。
2 証券取引法(昭和63年法律第75号による改正前のもの)125条2項1号後段違反の罪及び同条3項違反の罪は、刑法65条1項にいう身分によって構成すべき犯罪ではない。