「うちの商品ってすごく美味しいから、もっと、なんか、世界中のひとに食べて欲しいですよね~」
ある高校生アルバイトスタッフの言葉です。彼女は、自分達が日頃販売している商品を、もっともっと多くのひとに食べてもらいたいと考えています。そんな彼女も、1年前にこの店でアルバイトを始めたときからすぐにそんなことを考えたり、言っていたりしていたわけではありません。最初は、どこにでもいる普通の高校生。ちょっとひとより目立ちたくて、気にしてもらいたくて、放置されると寂しくなり、ちょっとわがままで自分勝手なところもある、普通に自己中な高校生でした。
そんな彼女が、「世界」を語るようになったのは、他ならぬ店長の口癖が影響していたのです。
「うちの商品はね。材料にこだわり、作り方にこだわり、健康と美味しさの両方にこだわった素晴らしい商品なんだよ。私はこれをたくさんのひとに食べてもらい、そのひと達に幸せになって欲しいんだ。」
店長は、この高校生のお母さんよりもずっと歳上の素敵なマダムです。この店長が毎日語る自社製品への愛情と誇りが、ごく普通の高校生アルバイトの心に少しずつ染み込んでいったのです。
最初、この高校生スタッフは、店長の真摯な姿勢とこだわりに感銘を受け、「この店長のために」という気持ちで一生懸命仕事をし、お客様にもこの商品をお薦めしていました。そして、同じ影響を受けている仲間のスタッフとの間に「共通意識」が生まれ、「この素敵な仲間のために」という気持ちで仕事をするようになりました。
さらに、この高校生スタッフが、仕事を始めてから半年ほどたつと、その気持ちはお客様への気持ちに成長していきました。店長と同じように「この店に来て下さっているお客様」に、もっと喜んでもらいたい、と言う気持ちになって行ったのです。それは、このスタッフの接客態度にも影響が出てきました。店長が強く求めたわけでもなく先輩のスタッフから厳しく指導されたわけでもないのですが、このスタッフのお客様への丁寧かつ親切な接客態度は、どんどん成長していきました。
この頃から、この高校生スタッフの口癖も変化してきました。
「私が、私は、私も」という自分を表現する言葉が、「私たちは」になり、「うちの店は」になってきたのです。話をする時の立ち位置が、自分軸から、お店軸になってきたのです。
そんな頃、この店がある商店街で、夏祭りが行われることになりました。高校生スタッフもお店の夏祭り係としてその夏祭りに参加し、積極的に裏方の仕事に参加していました。彼女は、その明るい性格で商店街の商店主達のアイドルとなったのですが、その時に商店会の会長から言われた言葉が、彼女をさらに大きく成長させることになりました。
「君は、高校生なのにいつも、『私たちは』とか『うちの店は』とか、自分を現す意識が大人以上だね。こういうアルバイトがいたら店長も安心だろうね。すごいね。」
言われた彼女は、きょとんとしていましたが、その言葉は、無意識に彼女の心に深く突き刺さりました。
それ以降、彼女は、商店街や地域にも貢献することの大切さ、貢献すれば自分達もちゃんと認められると言うことを自覚し、発言が「商店街のために、地域のために」という意識に成長していったのです。それは、出勤時でも、商店街の人達に明るい笑顔で挨拶をし、仕事中は、積極的に店頭に出て元気な声で呼び込みをするという行動に現れて行きました。
そして、このお祭りから、半年がたち、彼女は「世界中の人達」に、自分達の商品を食べて欲しい。と言う意識に成長して行ったのです。
さて、こんな素晴らしいスタッフである彼女ですが、よく考えてみると、誰も彼女に特別な指導はしていないのです。ただ、店長が、自分の店の商品に対して、愛情と情熱とこだわりを語り続けただけなのです。その店長の揺るがない姿勢と真摯さが、彼女の素直な気持ちに響き、それが、お客様や商店街の人達に響き、再び彼女に戻ってきたのでしょうね。
何も難しいことではありません。
店長が、自分の店の商品に自信を持ち、その素晴らしさを曇り無く語り続ければ良いだけです。
もちろん、自信の無いいい加減な商品を売っているのならばそんなことは出来ませんけどね。
さてさて、あなたの店はどっちかな?
いつもお読み頂きありがとうございます。
ブログランキングに参加しています。こちらのアイコンをクリックして応援よろしくお願いします!
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
※クリックして人気ブログランキングへ
■松下雅憲の著書について詳しくお知りになりたい方はこちらの画像をクリック!
■松下雅憲への「コンサルティング依頼」「講演・セミナー・研修依頼」についてはの公式ホームページへどうぞ
■松下雅憲が紹介されたページはこちら