- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:会計・経理
平成20年4月1日以後に締結されるリース契約について、
リース資産の賃貸人から賃借人への引渡しのときに、
そのリース資産の売買があったものとして取り扱われることになっています。
これは、平成19年3月30日に公表された
企業会計基準13号「リース取引に関する会計基準」
企業会計基準適用指針16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」
に対応して、法人税法においても、
従来、賃貸借処理が認められていた
所有権移転外ファイナンスリース取引についても
売買処理に変更されたのである。
会計基準の変更は、企業会計の比較可能性確保のためには、当然の措置といえよう。
例えば、航空機の所有に関して、自社保有を中心とする日本航空と
リース物件を多く保有する他社との財務諸表を比較しようにも、
リース物件が資産計上されていない以上、
膨大な注記情報からリース資産・負債を取り出し、
オンバランス化して、比較検証することを、
プロフェッショナルであるアナリストならいざしらず、素人に不可能だからである。
また、国際的なイコールフッティングを考えれば、
リース資産・負債をオンバランス化せず、リース料として費用計上を認める
わが国の基準が少数派なのである。
しかし、税法まで会計基準の国際的調和の波に飲み込まれていいのであろうか。
わが国の文化・伝統に根付き、予測可能性を担保してきた制度を
それも税調での議論でもつい最近出てきた議論が
いきなりいとも簡単に改正されていいのであろうか。
中小企業会計基準にしてもそうである。
中小企業の実態を全く反映しない制度が、国際的な調和を旗印に
どんどん改正されていくことが本当に日本経済の復活のためになるのであろうか。
税法の改正は、わが国の実情を踏まえた慎重な議論に基づいて
実施してもらいたいものである。