信用取引(金融商品取引法) - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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鈴木 祥平
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閲覧数順 2017年08月20日更新

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信用取引(金融商品取引法)

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信用取引(金融商品取引法)

現行の金融商品取引法では、信用取引において、金融商品取引業者等またはその役員等は、顧客の信用取引を、自己の計算においてする買付け・売付け(取引一任契約の場合も含む)と対当させ、かつ、金銭・有価証券の受け渡しを伴わない方法により成立させた場合において、当該買付け・売付けに係る未決済の勘定を決済するため、これと対当する売付け・買付けをすることが禁止されている(金融商品取引法38条7号、金融商品取引業等に関する内閣府令117条1項24号)。

 したがって、後掲・最高裁昭和62年判決とは、状況が違うことに注意しなければならない。

最高裁判所第1小法廷判決昭和62年4月2日、株券返還請求事件

裁判集民事150号557頁、判例タイムズ639号120頁、金融商品取引法判例百選31事件

【判決要旨】 株式の信用取引において顧客が証券会社に対して特定の株式の売付委託をしたことがないと主張していたなど原判示のような事情がある場合に、右顧客が更に書面で同旨の告知をしたときは、右告知によって清算の意思が表示されたものとして、証券会社は、右株式について手仕舞をすべき義務がある。

【参照条文】 証券取引法49条、証券取引法130条 、民法415条

 判例は、顧客が信用取引に関して証券会社に対して委託保証金を預託することを怠る場合には、顧客が証券会社に対して当該信用取引に関する売買取引につき反対売買の委託をしても、証券会社は決済義務はないと解している(最3小判昭50・7・15裁判集民事115号419頁)。

 本件では、Xは、Yとの間で株式の信用取引を行ってきたが、その後Yに対して、未決済の信用取引がなかったとして信用取引を中止する旨を告げて、委託保証金代用有価証券として預託してあった株券の返還を求めた。

しかし、Yは、当時Xから株式の売付の委託を受けていたとしてこれに応じないで、かえって右株式の値上りによる委託保証金の追加差入(追証)を要求するとともに、後になって右売付を執行したために差損金を生じることになったが、その差損金に右預託株券を充当した。

そこで、Xは、Yに対して、右株券の返還を、予備的にXの主張した時に清算しなかったことによる損害の増額分の支払を求めた。

本件は、結局、XがYに対して株式の手仕舞の意思を明らかにしたか否か、さらには、Xのした中止の意思表示を手仕舞の意思と解しうるかどうかに帰することになる。

判決は、XがYとの間の未決済の信用取引は一切なく以後取引は中止するので、預託中の株式を返還するなどして清算して欲しい旨申し入れしているなどの経緯をふまえて、意思表示の内容からXが信用取引による売買取引の委託のなかったことを確定的に主張する段階で当該信用取引を維持する意思を有しないことが明らかになったと判断したものと思われる。

 なお、信用取引において顧客が委託保証金の預託を怠る場合には、①委託証拠金は証券会社の債権担保のものであること、②旧・証券取引法の下で許容されていた証券会社の反対売買権は証券会社の損失防止のために認められていること、③顧客は、証券会社に対して反対売買の委託をして有価証券の市場価格が自己に不利に変動することによる危険を回避することができるのであるから、商品の市場価格の変動による損失自体は委託者がみずから防衛すべきであること等を理由に、市場の変動による損失を受託者たる仲買人に負担させることはできないというのが判例・通説である(鈴木竹雄ほか『証券取引法』255頁、鴻常夫・法協86年3号394頁、竹内昭夫・商事判例研究昭和34年度152頁、同『証券商品取引判例百選』150頁、神崎克郎・民商59巻2号329頁)。

 なお、最高裁判例は、商品先物取引についても、旧法の下で許容されていた反対売買権は商品取引会社の権利であって、委託建玉の処分義務を課すものではないと解している(最3小判昭43・2・20民集22巻2号257頁、最1小判昭44・2・13民集23巻2号336頁、最1小判昭49・4・25裁判集民事111号599頁、最3小判昭57・10・26裁判集民事137号413頁)。