- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:会計・経理
平成20年7月10日、午後1時15分、
東京高等裁判所第808号法廷において、
軽油引取税更正決定処分取消請求訴訟の判決がありました。
平成19年(行コ)第11号 軽油引取税更正・決定処分取消請求控訴事件
(原審 東京地裁平成16年(行ウ)第493号)
主文
1 原判決を取り消す
2 被控訴人が控訴人に対し平成16年6月25日付でした軽油引取税更正・決定処分を取り消す
3 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする
全部取消の逆転判決でした。
この事件は、
ある人物(A・B)に唆されて、休眠状態に陥っていた会社(K社)を持つ原告(X)が、
Aらが行う軽油取引にK社の名義を使うことを了承し、
また、X自身もAらの連絡役として、当該取引に関わってしまったことから、
Xのみに対して課された、軽油引取税の無申告に伴う更正決定処分に対して
その取消を要求して争われた事件である。
この事件においては、取引に使用された名義はK社だけではなく、
Bと苗字の読み方が同じCが主催する個人事業P商会の名義も使われています。
税額が3億円を超える課税処分でありながら、重課もなく、
脱税犯としての刑事告発も行われないという実におかしな処分がなされているだけでなく、
主犯格のA、Bには一切課税されず、Xが仮に税を支払ったとしても、
A、Bへの求償権の行使さえできない、不当極まりない処分であった。
弁護士は、民事法分野においては非常に優秀な方なんですが、
残念ながら税法は専門外でした。
そのためか、東京地裁では、主張が認められず、敗訴。
地裁では、Xは軽油を製造も販売もしていないという点から主張立証しました。
地裁敗訴を受けて、Xからの依頼を受けて、
私が税理士補佐人として関わることになりました。
原告は私の父の友人です。
高裁では、地裁の敗訴を受け、
Aらが主導した本件取引はXを含めたAグループが行ったものであるとすると、
1 納税義務者が法律上の名義人であるK社及びP商会ではなく、なぜXなのか
2 Xが納税義務者だとした場合、Xのみではなく、Aらとの連帯責任ではないのか
3 3億円を超える課税処分にも関わらず、なぜ刑事訴追されないのか
の3点を中心に、逆転勝訴への論陣を張りました。
Xのような手伝っただけ、という方の場合、
平成16年の地方税法改正において、
軽油引取税の課税対象者として規定されましたが、
取引が行われた平成13年当時は、規定がありませんでした。
その点についても、遡及適用ではないのか、と主張しました。
鑑定意見書は、私の師匠である国士舘大学法学部の西野教授にお願いしました。
ただ、師匠の鑑定意見書はちょっとあせりました。
途中まで「裏切られた」と思うほど、課税をするための根拠を意見として書いていたからです。
師匠らしいといえばらしいのですが・・・
結果的には、最高の鑑定意見だったのかもしれません。
最初に相談を受けてから約2年、正式に関わってから1年8ヶ月かかりましたが、
本日、冒頭のように、全部取消の逆転勝訴を勝ち取ったわけです。
納税者の権利が守られ、司法の良心が生きていることを実感しています。
万歳!!