- 釜口 博
- BYSプランニング ファイナンシャルプランナー
- ファイナンシャルプランナー
対象:年金・社会保険
ファイナンシャルプランナーが天職!
BYSプランニングの釜口です。
今回は、「100年安心」を謳った公的年金が本当に信用できるのか
についてお伝えいたします。
厚生労働省は、3月6日に開いた社会保障審議会で、公的年金
積立金の運用利回り目標などを、5年に1度検証するための
経済前提を示しました。
その利回り想定は、
標準シナリオが4.2%、上限が6%、下限が3%。
年金積立金の自主運用を始めた2001年~2012年の
平均利回りは、2.2%。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)設立後の2006年~
2012年の平均は、1.5%。
今回の想定利回りの下限にも届いていないのが現状なのです。
2012年の年金支払い額は49.8兆円に対して、保険料収入は
30兆円にすぎません。
残りは税金と約129兆円ある積立金の取り崩しで補っているのが
現状。
2009年の前回の検証では、保険料収入の減り具合と年金支払額
の増加を補うために、利回り目標を2004年の3.2%から4.1%
に修正。
政府は国民にしっかりした告知もせずに、運用益想定をかさ上げし、
「100年安心」のシナリオの帳尻を合わせました。
学習院大学の鈴木教授が出した財政試算では、2012年11月以降
の株高を勘案したとしても、公的年金の積立金は、2038年~40年
に枯渇してしまうとのことです。
この試算では、想定利回り2.5%、物価上昇率1%という
非常に現実的な条件です。
社会保障審議会は、高い利回りを実現するため、国内外の株式、
物価連動国債、不動産投資信託(REIT)などに投資対象を
広げるようにGPIFに求めています。
これらリスク性資産の比率を高めれば、当然相場変動による損失
リスクが高くなります。
2012年度はアベノミクスによる株高の影響で、GPIFの運用利回りは
9.5%を実現しましたが、リーマンショックが起きた2008年度は、
▲6.8%に落ち込んだこともあり、3~6%の利回りを安定的に
確保するのは、至難の業だと思わざるをえません。
自国の老後の年金が当てにならない可能性は、しっかり理解しながら、
日本国民として、考えなければいけないことは、ありきたりの言葉
ですが、「自己責任」であることは間違いありません。
ご質問やご不明な点がありましたら、
お気軽にご連絡下さい。
メール:waku@bys-planning.com
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