Blog201403、賃金の支払の確保等に関する法律 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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Blog201403、賃金の支払の確保等に関する法律

賃金の支払の確保等に関する法律
(昭和51年法律第34号)
最終改正:平成22年3月31日法律第15号

 第1章 総則(第1条・第2条)
 第2章 貯蓄金及び賃金に係る保全措置等(第3条―第6条)
 第3章 未払賃金の立替払事業(第7条―第9条)
 第4章 雑則(第10条―第16条)
 第5章 罰則(第17条―第20条)

   第1章 総則

(目的)
第1条  この法律は、景気の変動、産業構造の変化その他の事情により企業経営が安定を欠くに至った場合及び労働者が事業を退職する場合における賃金の支払等の適正化を図るため、貯蓄金の保全措置及び事業活動に著しい支障を生じたことにより賃金の支払を受けることが困難となった労働者に対する保護措置その他賃金の支払の確保に関する措置を講じ、もって労働者の生活の安定に資することを目的とする。

(定義)
第2条  この法律において「賃金」とは、労働基準法 第11条 に規定する賃金をいう。
2  この法律において「労働者」とは、労働基準法第9条 に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。
 
  第2章 貯蓄金及び賃金に係る保全措置等

(貯蓄金の保全措置)
第3条  事業主(国及び地方公共団体を除く。以下同じ。)は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入れであるときは、厚生労働省令で定める場合を除き、毎年3月31日における受入預金額(当該事業主が受け入れている預金の額をいう。以下この条において同じ。)について、同日後1年間を通ずる貯蓄金の保全措置(労働者ごとの同日における受入預金額につき、その払戻しに係る債務を銀行その他の金融機関において保証することを約する契約の締結その他の当該受入預金額の払戻しの確保に関する措置で厚生労働省令で定めるものをいう。)を講じなければならない。

(貯蓄金の保全措置を講ずることを要しない場合)
施行規則第1条  賃金の支払の確保等に関する法律 (以下「法」という。)第3条 の厚生労働省令で定める場合は、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人又は特別の法律により地方公共団体が設立者となって設立された法人(施行規則第4条において「特殊法人等」という。)が法第3条 に規定する貯蓄金の保全措置を講ずることを要しない旨の厚生労働大臣の指定を受けた場合とする。

(貯蓄金の保全措置)
施行規則第2条  法第3条 の厚生労働省令で定める措置は、次のとおりとする。
一  事業主(国及び地方公共団体を除く。以下同じ。)の労働者に対する預金の払戻しに係る債務を銀行その他の金融機関において保証することを約する契約(当該債務を、一般社団法人又は一般財団法人であって、債務の保証を業とするもののうち厚生労働大臣が指定する法人において保証することを約する契約を含む。)を締結すること。
二  事業主の労働者に対する預金の払戻しに係る債務の額に相当する額につき、預金を行う労働者を受益者とする信託契約を信託会社又は信託業務を営む金融機関(施行規則第5条の2において「信託会社等」という。)と締結すること。
三  労働者の事業主に対する預金の払戻しに係る債権を被担保債権とする質権又は抵当権を設定すること。
四  預金保全委員会を設置し、かつ、労働者の預金を貯蓄金管理勘定として経理することその他適当な措置を講ずること。
2  事業主は、前項第4号の預金保全委員会を設置するときは、次に定めるところによらなければならない。
一  預金保全委員会の構成員の半数については、当該事業主に使用されている労働者であって、労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦を受けたものとすること。
二  預金保全委員会には次に定める事項を行わせること。
イ 事業主から労働者の預金の管理に関する状況について報告を受け、必要に応じ、事業主に対して当該預金の管理につき意見を述べること。
ロ 労働者の預金の管理に関する苦情を処理すること。
三  3月以内ごとに一回、定期に、及び預金保全委員会からの要求の都度、労働者の預金の管理に関する状況について預金保全委員会に対して書面により報告を行うこと。
四  預金保全委員会の開催の都度、遅滞なく、その議事の概要及び預金保全委員会に報告した労働者の預金の管理に関する状況の概要を各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける等の方法によって労働者に周知させること。
五  預金保全委員会における議事で重要なものに係る記録を作成して、これを3年間保存すること。

(貯蓄金の保全措置に係る命令)
第4条  労働基準監督署長は、前条の規定に違反して事業主が貯蓄金の保全措置を講じていないときは、厚生労働省令(施行規則3条)で定めるところにより、文書により、当該事業主に対して、期限を指定して、その是正を命ずることができる。

(退職手当の保全措置)
第5条  事業主(中小企業退職金共済法 第2条第3項 に規定する退職金共済契約を締結した事業主その他の厚生労働省令で定める事業主を除く。)は、労働契約又は労働協約、就業規則その他これらに準ずるものにおいて労働者に退職手当を支払うことを明らかにしたときは、当該退職手当の支払に充てるべき額として厚生労働省令で定める額について、第3条の厚生労働省令で定める措置に準ずる措置を講ずるように努めなければならない。

(退職手当の保全措置を講ずることを要しない事業主)
施行規則第4条  法第5条 の厚生労働省令で定める事業主は、次に掲げる事業主とする。
一  次に掲げるいずれかの契約を締結した事業主
イ 中小企業退職金共済法 第2条第3項 に規定する退職金共済契約
ロ 社会福祉施設職員等退職手当共済法 (昭和36年法律第百五十五号)第2条第9項 に規定する退職手当共済契約
ハ 法人税法 附則第20条第3項 に規定する適格退職年金契約
ニ 所得税法施行令 第73条第1項第1号 に規定する退職金共済契約(その相手方が同項 に規定する特定退職金共済団体であるものに限る。)
二  その使用する労働者が厚生年金保険法 第122条 に規定する加入員である事業主
三  その使用する労働者が確定給付企業年金法 (平成13年法律第五十号)第25条第1項 に規定する加入者(次項において「加入者」という。)である事業主
四  法律により直接に設立された法人又は特殊法人等である事業主であって、退職手当の保全措置を講ずることを要しない旨の厚生労働大臣の指定を受けたもの
五  労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者と退職手当の保全措置について第5条の2で定める措置によらない旨の書面による協定をした事業主
2  前項第3号に掲げる事業主であって、確定給付企業年金法第25条第2項 に規定する一定の資格を定めたものは、同項 の規定により加入者としないこととされた労働者に関しては、前項の規定にかかわらず、法第5条 の厚生労働省令で定める事業主に該当しないものとする。

(退職手当の保全措置を講ずべき額)
施行規則第5条  法第5条 の厚生労働省令で定める額は、次に掲げるいずれかの額以上の額とする。
一  労働者の全員が自己の都合により退職するものと仮定して計算した場合に退職手当として支払うべき金額の見積り額の4分の1に相当する額
二  労働者が昭和52年4月1日以後において当該事業主に継続して使用されている期間の月数を中小企業退職金共済法第10条第1項 に規定する掛金納付月数とみなした場合において、次のイからヘまでに掲げる労働者の区分に応じ、当該イからヘまでに定める額を労働者の全員について合算した額
イ 昭和55年11月30日以前から当該事業主に継続して使用されている労働者 掛金納付月数に応じ中小企業退職金共済法施行令 の一部を改正する政令(平成3年政令第14号。以下「平成3年改正中退令」という。)附則別表の第2欄に定める金額の30分の8の金額、昭和56年12月1日以後の期間に係る掛金納付月数に応じ同表の第2欄に定める金額の30分の4の金額、平成3年12月1日以後の期間に係る掛金納付月数に応じ同表の第2欄に定める金額の30分の18の金額及び平成5年12月1日以後の期間に係る掛金納付月数に応じ同表の第2欄に定める金額の30分の10の金額を合算した額
ロ 昭和55年12月1日から昭和61年11月30日までの間において当該事業主に継続して使用されることとなった労働者 掛金納付月数に応じ平成3年改正中退令附則別表の第2欄に定める金額の30分の12の金額、平成3年12月1日以後の期間に係る掛金納付月数に応じ同表の第2欄に定める金額の30分の18の金額及び平成5年12月1日以後の期間に係る掛金納付月数に応じ同表の第2欄に定める金額の30分の10の金額を合算した額
ハ 昭和61年12月1日から平成3年11月30日までの間において当該事業主に継続して使用されることとなった労働者(ヘに掲げる労働者を除く。) 掛金納付月数に応じ平成3年改正中退令附則別表の第2欄に定める金額及び平成5年12月1日以後の期間に係る掛金納付月数に応じ同表の第2欄に定める金額の30分の10の金額を合算した額
ニ 平成3年12月1日から平成7年年11月30日までの間において当該事業主に継続して使用されることとなった労働者(ヘに掲げる労働者を除く。) 掛金納付月数に応じ平成3年改正中退令附則別表の第2欄に定める金額の30分の40の金額(当該掛金納付月数が24未満である労働者については、四千円に当該掛金納付月数を乗じて得た額)
ホ 平成7年12月1日以後において当該事業主に継続して使用されることとなった労働者(ヘに掲げる労働者を除く。) 掛金納付月数に応じ平成3年改正中退令附則別表の第2欄に定める金額の30分の50の金額(当該掛金納付月数が24未満である労働者については、五千円に当該掛金納付月数を乗じて得た額)
ヘ 平成3年4月1日以後において当該事業主に継続して使用されることとなった労働者であって、中小企業退職金共済法施行規則 (昭和34年労働省令第23号)第2条第1号 に規定する短時間労働者に該当するもの 掛金納付月数に応じ平成3年改正中退令附則別表の第2欄に定める金額の30分の20の金額(当該掛金納付月数が24未満である労働者については、二千円に当該掛金納付月数を乗じて得た額)
三  労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者と書面により協定した額

(退職手当の保全措置)
施行規則第5条の2  法第5条 の厚生労働省令で定める措置に準ずる措置は、次のとおりとする。
一  事業主の労働者に対する退職手当の支払に係る債務を銀行その他の金融機関において前条各号に掲げるいずれかの額以上の額に相当する額(以下この項において「要保全額」という。)につき保証することを約する契約(当該債務を施行規則第2条第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣によって指定された法人において要保全額につき保証することを約する契約を含む。)を締結すること。
二  要保全額につき、労働者を受益者とする信託契約を信託会社等と締結すること。
三  労働者の事業主に対する退職手当の支払に係る債権を被担保債権とする質権又は抵当権を要保全額につき設定すること。
四  退職手当保全委員会を設置すること。
2  第2条第2項の規定は、前項第4号の退職手当保全委員会の設置について準用する。この場合において、第2条第2項中「労働者の預金の管理」とあるのは「退職手当の支払の準備」と、「当該預金の管理」とあるのは「当該退職手当の支払の準備」と、「3月以内ごとに一回」とあるのは「少なくとも1年に一回」と、「3年間」とあるのは「5年間」と読み替えるものとする。

(退職労働者の賃金に係る遅延利息)
第6条  事業主は、その事業を退職した労働者に係る賃金(退職手当を除く。以下この条において同じ。)の全部又は一部をその退職の日(退職の日後に支払期日が到来する賃金にあっては、当該支払期日。以下この条において同じ。)までに支払わなかった場合には、当該労働者に対し、当該退職の日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該退職の日の経過後まだ支払われていない賃金の額に年14・6パーセント(施行令第1条)を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。
2  前項の規定は、賃金の支払の遅滞が天災地変その他のやむを得ない事由で厚生労働省令で定めるものによるものである場合には、その事由の存する期間について適用しない。

(遅延利息に係るやむを得ない事由)
施行規則第6条  法第6条第2項 の厚生労働省令で定める事由は、次に掲げるとおりとする。
一  天災地変
二  事業主が破産手続開始の決定を受け、又は賃金の支払の確保等に関する法律施行令 (以下「令」という。)第2条第1項 各号に掲げる事由のいずれかに該当することとなったこと。
三  法令の制約により賃金の支払に充てるべき資金の確保が困難であること。
四  支払が遅滞している賃金の全部又は一部の存否に係る事項に関し、合理的な理由により、裁判所又は労働委員会で争っていること。
五  その他前各号に掲げる事由に準ずる事由

   第3章 未払賃金の立替払事業

(未払賃金の立替払)
第7条  政府は、労働者災害補償保険の適用事業に該当する事業(労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第8条 の規定の適用を受ける事業にあっては、同条 の規定の適用がないものとした場合における事業をいう。以下この条において同じ。)の事業主(厚生労働省令で定める期間以上の期間(事業活動に係る期間は1年。施行規則第7条。)にわたって当該事業を行っていたものに限る。)が破産手続開始の決定を受け、その他政令で定める事由に該当することとなった場合において、当該事業に従事する労働者で政令で定める期間内に当該事業を退職したものに係る未払賃金(支払期日の経過後まだ支払われていない賃金をいう。以下この条及び次条において同じ。)があるときは、民法 第474条第1項 ただし書及び第2項 の規定にかかわらず、当該労働者(厚生労働省令で定める者にあっては、厚生労働省令で定めるところにより、未払賃金の額その他の事項について労働基準監督署長の確認を受けた者に限る。)の請求に基づき、当該未払賃金に係る債務のうち政令で定める範囲内のものを当該事業主に代わって弁済するものとする。

(立替払の事由)
施行令第2条  法第7条 の政令で定める事由は、次に掲げる事由(第4号に掲げる事由にあっては、中小企業事業主に係るものに限る。)とする。
一  特別清算開始の命令を受けたこと。
二  再生手続開始の決定があったこと。
三  更生手続開始の決定があったこと。
四  前三号に掲げるもののほか、事業主(法第7条 の事業主をいう。以下同じ。)が事業活動に著しい支障を生じたことにより労働者に賃金を支払うことができない状態として厚生労働省令で定める状態(事業活動等の状態、施行規則第8条。  施行令第2条第1項第4号 の厚生労働省令で定める状態は、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、かつ、賃金支払能力がないこととする。)になったことについて、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業主に係る事業(同条 の事業をいう。以下同じ。)を退職した者の申請に基づき、労働基準監督署長の認定があったこと。
2  前項の「中小企業事業主」とは、事業活動に著しい支障を生ずるに至った時前の時であって、厚生労働省令で定める時(中小企業事業主の判定時、施行規則第10条。  施行令第2条第2項 の厚生労働省令で定める時は、事業活動に著しい支障を生ずるに至った時のおおむね6月前の時とする。)において次の各号のいずれかに該当する事業主をいう。
一  資本金の額又は出資の総額が三億円以下の法人である事業主及び常時使用する労働者の数が三百人以下の事業主であって、次号から第4号までに掲げる業種以外の業種に属する事業を主たる事業として営むもの
二  資本金の額又は出資の総額が一億円以下の法人である事業主及び常時使用する労働者の数が百人以下の事業主であって、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの
三  資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の法人である事業主及び常時使用する労働者の数が百人以下の事業主であって、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの
四  資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の法人である事業主及び常時使用する労働者の数が五十人以下の事業主であって、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの

(退職の時期)
施行令第3条  法第7条 の政令で定める期間は、次に掲げる日(事業主が前条第1項第4号に掲げる事由に該当した日以後、破産手続開始の決定を受け、又は同項第1号から第3号までに掲げる事由のいずれかに該当することとなった場合には、第2号に掲げる日)の6月前の日から2年間とする。
一  事業主が破産手続開始の決定を受け、又は前条第1項第1号から第3号までに掲げる事由のいずれかに該当することとなった場合には、当該事業主につきされた破産手続開始等の申立て(破産手続開始、特別清算開始、再生手続開始又は更生手続開始の申立てであって、当該破産手続開始の決定又は該当することとなった事由の基礎となった事実に係るものをいう。以下この号において同じ。)のうち最初の破産手続開始等の申立てがあった日(破産手続開始等の申立てがなかった場合において、裁判所が職権で破産手続開始の決定をしたときは、当該決定があった日とする。)
二  事業主が前条第1項第4号に掲げる事由に該当することとなった場合には、同号の認定の基礎となった事実に係る同号の申請のうち最初の申請があった日

(立替払の対象となる未払賃金の範囲)
施行令第4条  法第7条 の政令で定める範囲内の未払賃金に係る債務は、同条 の未払賃金に係る債務のうち、同条 の請求をする者に係る未払賃金総額(その額が、次の各号に掲げる同条 の請求をする者の区分に応じ、当該各号に定める額を超えるときは、当該各号に定める額)の100分の80に相当する額に対応する部分の債務とする。
一  基準退職日(前条に規定する期間内にした当該事業からの退職(当該退職前の労働に対する労働基準法 第24条第2項 本文の賃金又は当該退職に係る退職手当がこれらの支払期日の経過後まだ支払われていない場合の退職に限る。)の日をいうものとし、当該退職が二以上ある場合には、これらのうち最初の退職の日をいうものとする。以下同じ。)において30歳未満である者 百十万円
二  基準退職日において30歳以上45歳未満である者 二百二十万円
三  基準退職日において45歳以上である者 三百七十万円
2  前項の「未払賃金総額」とは、基準退職日以前の労働に対する労働基準法第24条第2項 本文の賃金及び基準退職日にした退職に係る退職手当であって、基準退職日の6月前の日から法第7条 の請求の日の前日までの間に支払期日が到来し、当該支払期日後まだ支払われていないものの額(当該額に不相当に高額な部分の額として厚生労働省令で定める額がある場合には、当該厚生労働省令で定める額を控除した額)の総額をいうものとし、当該総額が二万円未満であるものを除くものとする。

(認定の申請)
施行規則第9条  令第2条第1項第4号 の労働基準監督署長の認定(以下「認定」という。)は、事業主(法第7条 の事業主をいう。以下同じ。)が前条に規定する状態に該当することとなった場合(当該認定の基礎となる事実と同一の事実に基づき、当該事業主が破産手続開始の決定を受け、又は同項第1号 から第3号 までに掲げる事由のいずれかに該当することとなった場合を除く。)に、行うものとする。
2  認定を申請しようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を、当該申請に係る事業主の事業(法第7条 の事業をいう。以下同じ。)からの退職の日においてその者が使用されていた事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して、当該事業主の住所地を管轄する労働基準監督署長に提出しなければならない。
一  申請者の氏名及び住所
二  事業主の氏名又は名称及び住所
三  事業場の名称及び所在地
四  退職の日
五  事業主の事業活動の停止の状況及び再開の見込み並びに賃金支払能力に関する事項
3  前項の申請書には、同項第5号に掲げる事項を明らかにすることができる資料を添付しなければならない。ただし、前項の事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長がやむを得ない事情があると認める場合には、この限りでない。
4  第2項の申請書の提出は、退職の日の翌日から起算して6月以内に行わなければならない。

(認定の通知)
施行規則第11条  労働基準監督署長は、認定に関する処分を行ったときは、遅滞なく、その内容を明らかにした通知書を申請者に交付しなければならない。

(確認を必要とする者)
施行規則第12条  法第7条 の厚生労働省令で定める者は、次のとおりとする。
一  破産手続開始の決定を受け、又は令第2条第1項第1号 から第3号 までに掲げる事由のいずれかに該当することとなった事業主(同項第4号 に掲げる事由に該当した日以後、当該破産手続開始の決定を受け、又は同項第1号 から第3号 までに掲げる事由のいずれかに該当することとなった事業主を除く。)の事業を退職した者であって、次に掲げる事項について、裁判所の証明書又は当該事業主について破産手続開始の決定があった場合にあっては破産管財人、特別清算開始の命令があった場合にあっては清算人、再生手続開始の決定があった場合にあっては再生債務者等、更生手続開始の決定があった場合にあっては管財人の証明書(以下「裁判所等の証明書」という。)の交付を受けることができなかったもの
イ 破産手続開始の決定又は令第2条第1項第1号 から第3号 までに掲げる事由以下この号において「立替払の事由」という。)のうち当該事業主が該当することとなった事由(当該事由の基礎となった事実と同一の事実に基づき二以上の立替払の事由に該当することとなった場合には、最初に該当することとなった事由)及び当該事業主が当該事由に該当することとなった日
ロ 令第3条第1号 に掲げる日
ハ 当該事業主が1年以上の期間にわたって当該事業を行っていたことの事実
ニ 令第4条第1項第1号 に規定する基準退職日(以下「基準退職日」という。)(更生手続開始の決定があった事業主の事業から退職した者にあっては、基準退職日及び当該退職の事由)
ホ 基準退職日における当該退職した者の年齢
ヘ 令第4条第2項 に規定する支払期日後まだ支払われていない賃金について、労働基準法 第24条第2項 本文の賃金及び基準退職日にした退職に係る退職手当ごとの支払期日並びに当該支払期日ごとの支払われるべき額
二  令第2条第1項第4号 に掲げる事由に該当することとなった事業主の事業を退職した者

(確認を必要とする事項)
施行規則第13条  法第7条 の労働基準監督署長の確認(以下「確認」という。)を受けるべき事項は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項とする。
一  前条第1号に掲げる者 同号イからヘまでに掲げる事項のうち裁判所等の証明書の交付を受けることができなかった事項
二  前条第2号に掲げる者 当該事業主について認定があった日、令第3条第2号 に掲げる日及び前条第1号ハからヘまでに掲げる事項

(確認の申請)
施行規則第14条  確認を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を、その者が基準退職日において使用されていた事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に提出しなければならない。
一  申請者の氏名及び住所
二  事業主の氏名又は名称及び住所
三  事業場の名称及び所在地
四  確認を受けようとする事項
2  前項の申請書には、同項第4号に掲げる事項を証明することができる資料を添付しなければならない。ただし、所轄労働基準監督署長がやむを得ない事情があると認める場合には、この限りでない。

(確認の通知)
施行規則第15条  所轄労働基準監督署長は、確認に関する処分を行ったときは、遅滞なく、その内容を明らかにした通知書を申請者に交付しなければならない。

(不相当に高額な部分の額)
施行規則第16条  令第4条第2項 の厚生労働省令で定める額は、事業主が通常支払っていた賃金(労働基準法第24条第2項 本文の賃金及び退職手当に限る。)の額、当該事業主と同種の事業を営む事業主でその事業規模が類似のものが支払っている当該賃金の額等に照らし、不当に高額であると認められる額とする。

(立替払賃金の請求)
施行規則第17条  法第7条 の請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した請求書を独立行政法人労働者健康福祉機構に提出しなければならない。
一  請求者の氏名及び住所
二  事業主の氏名又は名称及び住所
三  事業場の名称及び所在地
四  第12条第1号に規定する事業主の事業を退職した者にあっては、同号イからヘまでに掲げる事項
五  第12条第2号に掲げる者にあっては、事業主について認定があった日、令第3条第2号 に掲げる日及び第12条第1号 ハからヘまでに掲げる事項
六  令第4条 の規定により算定した弁済を受けることができる額
七  厚生労働大臣が指定する金融機関の預金又は貯金への振込みの方法によって、法第7条 の未払賃金に係る債務につき同条 の規定により弁済を受ける立替払賃金(次条において「立替払賃金」という。)の払渡しを受けようとする者にあっては、当該払渡しを受けることを希望する金融機関の名称及び当該払渡しに係る預金通帳又は貯金通帳の記号番号
2  前項の請求書には、同項第4号に掲げる事項を証明する裁判所等の証明書若しくは第15条の通知書又は同項第5号に掲げる事項を証明する同条の通知書を添付しなければならない。
3  第1項の請求書の提出は、第12条第1号に規定する事業主の事業を退職した者にあっては同号イに規定する日の翌日から起算して2年以内に、同条第2号に掲げる者にあっては事業主について認定があった日の翌日から起算して2年以内に行わなければならない。

(立替払賃金の支給に関する処分の通知)
施行規則第18条  独立行政法人労働者健康福祉機構は、立替払賃金の支給に関する処分を行ったときは、遅滞なく、その内容を明らかにした通知書を請求者に交付しなければならない。

(返還等)
第8条  偽りその他不正の行為により前条の規定による未払賃金に係る債務の弁済を受けた者がある場合には、政府は、その者に対し、弁済を受けた金額の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、当該偽りその他不正の行為により弁済を受けた金額に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。
2  前項の場合において、事業主が偽りの報告又は証明をしたため当該未払賃金に係る債務が弁済されたものであるときは、政府は、その事業主に対し、当該未払賃金に係る債務の弁済を受けた者と連帯して、同項の規定による返還又は納付を命ぜられた金額の納付を命ずることができる。
3  労働保険の保険料の徴収等に関する法律第27条 及び第41条 の規定は、前二項の規定により返還又は納付を命ぜられた金額について準用する。
4  政府は、第1項又は第2項の規定により返還又は納付を命ぜられた金額の返還又は納付に係る事務の実施に関して必要な限度において、厚生労働省令で定めるところにより、第1項の規定に該当する者(同項の規定に該当すると認められる者を含む。)又は事業主に対し、未払賃金の額、賃金の支払状況その他の事項についての報告又は文書の提出を命ずることができる。

(返還等)
施行規則第19条  法第8条第1項 又は第2項 の規定による返還又は納付の命令は、事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長が行うものとする。
2  法第8条第1項 又は第2項 の規定により返還又は納付を命ぜられた金額の返還又は納付は、日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店をいう。)又は都道府県労働局若しくは労働基準監督署に行わなければならない。

施行規則第20条  法第8条第4項 の規定による命令は、事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長又は所轄労働基準監督署長が文書により行うものとする。


(労働者災害補償保険法 との関係)
第9条  この章に規定する事業は、労働者災害補償保険法 第29条第1項第3号 に掲げる事業として行う。


   第4章 雑則

(労働基準監督署長及び労働基準監督官)
第10条  労働基準監督署長及び労働基準監督官は、厚生労働省令で定めるところにより、この法律の施行に関する事務をつかさどる。

第11条  労働基準監督官は、この法律の規定に違反する罪について、刑事訴訟法 の規定による司法警察員の職務を行う。

(報告等)
第12条  都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官は、別に定めるものを除くほか、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業主、労働者その他の関係者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

(資料の提供等)
第12条の2  都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官は、この法律の施行に関し、関係行政機関又は公私の団体に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。
2  前項の規定による協力を求められた関係行政機関又は公私の団体は、できるだけその求めに応じなければならない。

(立入検査)
第13条  労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業場に立ち入り、関係者に質問し、又は帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
2  労働基準監督署長は、第7条の確認をするため必要があると認めるときは、その職員に同条の事業主の事業場に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿、書類その他の物件の検査をさせることができる。
3  前二項の場合において、労働基準監督官及び前項の職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4  第1項及び第2項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(労働者の申告)
第14条  労働者は、事業主にこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができる。
2  事業主は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(厚生労働省令への委任)
第15条  この法律に定めるもののほか、第7条の請求の手続その他この法律の施行に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(船員に関する特例)
第16条  船員法 (昭和二十2年法律第百号)の適用を受ける船員に関しては、この法律に規定する都道府県労働局長若しくは労働基準監督署長又は労働基準監督官の権限に属する事項は、地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)又は船員労務官が行うものとし、この法律(第7条、第8条第4項及び前条の規定を除く。)中「厚生労働省令」とあるのは「国土交通省令」と、第7条中「厚生労働省令で定める者」とあるのは「厚生労働省令・国土交通省令で定める者」と、「厚生労働省令で定めるところにより」とあるのは「厚生労働省令・国土交通省令で定めるところにより」と、前条中「厚生労働省令」とあるのは「国土交通省令(前章に規定する事項については、厚生労働省令)」とする。

   第5章 罰則

第17条  事業主が第14条第2項の規定に違反したときは、6月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

第18条  事業主が第4条の規定による命令に違反したときは、30万円以下の罰金に処する。

第19条  次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一  第8条第4項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は文書を提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出した者
二  第12条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかった者
三  第13条第1項又は第2項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

第20条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第17条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。