- 田原 洋樹
- 株式会社オフィスたはら 代表取締役 人材育成コンサルタント
- 東京都
- 人材育成コンサルタント
対象:ビジネススキル
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若年社員の早期離職を防ぐために、上司が気を付けておきたいことは?(第13回)
「職場内の諸課題を解決できるような人材を育てて欲しい」企業の人事担当者からはよくこのような要望を頂くのですが、果たして、本当にこのような人材が必要なのでしょうか?
今むしろ求められているのは・・・。
課題を安易に与えるのは思考停止状態を創り出す
正解がない時代、マニュアルが通じない時代と言われます。
職場を取り巻く環境は大きく変化し、顧客のニーズも目まぐるしく変わります。
そのような中、一体何が問題で、何について取り組めばよいのか?
日々状況が変化する中において、上司が都度、部下に対して「課題」を提示し、それを処理(解決)させることは困難な時代になってきました。
仮に、そのような「課題提示型」のマネジメントを行ったとしても、長い目で見て、その部下は常に「指示待ち」社員と化し、やがて思考停止状態に陥ってしまうのです。
サッカー選手はピッチに立てば、指揮官(監督)の声がほとんど届かず、結果的に選手達が主体的に意思決定し、行動を起こさなければ、試合をつくれません。それゆえ、非常にクレバーさが求められるスポーツの一つであると聞いたことがあります。
いちいち、ベンチのサインを見て、指示を仰いでいては、他の選手のスピードに付いて行くことは困難になります。
今求められる課題抽出型人材
今の職場環境もこのサッカーのピッチ上と同じ状況と言えます。
指揮官(マネジャー)の指示を待っていては、刻一刻と変化する状況について行けず
絶好の決定機を逃してしまうのです。
求められるのは、自ら課題を見つけ出し、その課題解決に向かって走り出す人材です。
言わば、「課題抽出型人材」とも呼びましょうか。
時には、指揮官(マネジャー)や、顧客すらも考えもしなかった、潜在課題を抽出し、それに取り組んでいくのような人材。
これこそが、今本当に企業に必要な人材なのではないでしょうか?
課題抽出簡単トレーニング法
では一体どうやって、そのような人材を育めば良いのでしょうか?
今すぐできる、簡単トレーニング法をお伝えします。
まず、課題の抽出スキームとして ①現状分析→②目標(ありたい姿)の設定→③問題(課題)の整理と取り組みます。 ①と②のギャップが問題であり、その問題を解決していこうと取り組むテーマを挙げることが課題の整理と繋がっていきます。
また現状を分析するには、SWOTや3Cなどのフレームを使うことも良いでしょう。
目標(ありたい姿)も設定は、ベンチマークすべきライバルを想定することも効果的です。
そして、前提として求められるのは、相手本位のスタンスです。
相手、つまり顧客や周囲の関係者の目線に立って、物事の本質をつかむ姿勢。
決して一朝一夕で育まれるものではありません。
このスタンスこそ、職場内で中長期にじっくりと醸成していくべきものなのです。