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仮通常実施権制度の創設

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仮通常実施権制度の創設
〜特許成立前のライセンスの保護〜  河野特許事務所 
2008年7月9日 弁理士 廣田 由利


 特許成立前に、特許を受ける権利者が他者とライセンス(実施許諾)契約を結ぶことがあります。この場合のライセンスを保護する制度として、仮通常実施権制度が創設され、発明の早期の活用が図られることになりました(施行日は未定ですが、遅くとも平成21年4月までには施行されます。)

☆現状の問題点
 特許成立前に、特許を受ける権利が1.譲渡されることがよくあります。また、特許を受ける権利者が2.破産する場合もあります。上述のライセンスを受けていたライセンシーは、移転理由が2.の場合、新権利者から契約解除を要求されます。1.の場合でライセンシーが事業を継続しているとき、特許成立前の実施については、補償金(他者の出願中の発明を実施した者が、特許成立後に請求される債権)を、特許成立後の実施については差止・損害賠償を新権利者から請求されるおそれがあります。

☆仮通常実施権制度
 特許を受ける権利者は、出願段階で他者に仮通常実施権を許諾することができるようになります。これにより、ライセンシーは、出願段階から発明を実施することができます。特許が成立した場合には、現行の通常実施権が許諾されたものとみなされます。

☆仮通常実施権に係る登録制度
 仮通常実施権の許諾について、特許庁の登録原簿に登録した場合、特許を受ける権利等をその後に取得した第三者に対して効力を有します。すなわち、上述の2.の場合に、契約解除を要求されることがなく(破産法56条)、1.の場合で特許が成立したときに、新権利者から補償金を請求されることがなく、事業を継続しても、差止・損害賠償を請求されることはありません。
 また、登録記載事項のうち、(i)ライセンシーの氏名、(ii)通常実施権の範囲については一定の利害関係人にしか開示されないことになり、ライセンシーの保護が図られることになります。同様に、特許成立後の通常実施権も開示が制限されるようになります。

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