クラウドサービスを活用した業務改善方法 その1 非効率な経費精算業務からの脱却 - 会計・経理システム - 専門家プロファイル

清水 圭一
日本クラウドコンピューティング株式会社 
東京都
IT経営コンサルタント

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閲覧数順 2024年04月24日更新

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クラウドサービスを活用した業務改善方法 その1 非効率な経費精算業務からの脱却

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中小企業経営にクラウドコンピューティングを活用

 「業務改善」は企業が成長して行くためには必要不可欠なテーマですが、外部のコンサルタントを入れて現状分析を行ったり、また、その後の業務改善が定着化するまでには、多大な時間やコストがかかったりと、なかなか敷居の高い経営課題となっています。しかし、今日ではクラウドサービスの普及によって、ITが一番得意とする「業務改善の仕組み化」を簡単に、安価に、迅速に導入することが出来る様になり、共通業務については、これらを活用する企業が増えています。

 今後、3回に渡り、どの会社でも共通業務である、「経理」「営業」「人事」の3つに絞って、クラウドサービスを活用した業務改善を紹介したいと思います。


非効率な経費精算業務からの脱却
 移動や出張が多い営業担当者にとっては、交通費、接待費などの経費精算業務は、煩雑な業務の一つであり、売上には直結しない非生産業務の一つになっています。弊社が顧客企業にヒアリングしたところ、外出の多い営業担当社員が経費精算業務に費やしている時間は、交通費請求伝票に手書き、もしくはExcelなどでの提出の場合、月平均90分となっています。従業員の給与を時給換算額が2000円とすれば、90分で3000円、労務管理費など考慮すれば、月に4000円程度が一人に掛かっている計算になります。一名あたりは微々たる金額ですが、30名程度の営業担当社員がいる場合、月に12万円、年間144万円の人件費が経費精算のために使われていることになるのです。

 経費精算業務はこれだけでは終わりません。経理担当者も従業員から提出される経費精算書を一枚ずつチェックを行い、自社の交通費や接待費などの経理規定に則って使われているか、間違いや不正はないか、一つ一つの支出のチェックを行い、科目毎に仕分けをして総勘定元帳に入力し、各従業員の銀行口座に支払い業務を行わなくてはならないのです。

 また、交通費や接待費などの経費は、経営的な観点からも大きな影響を及ぼします。例えば、トラブルなどで多くの従業員が深夜残業になりタクシー帰宅を余儀なくされた日が続いたり、重要な商談を纏めるために多額の接待交際費が使われたりした場合、中小企業などは運転資金計画などが狂い出したり、緊急の借入金などが必要になるケースも多く発生します。

 このような事態を改善するためには、経費精算システムのクラウドサービスを導入することにより業務改善を行うことができます。

 例えば、交通費を精算する際には、多くの従業員はスケジュール帳から、自分が電車を乗車した区間の運賃をWebサービスなどで調べて、それをExcelなどで作成した経費精算シートなどに入力をするかと思いますが、その必要がありません。従業員はまず最初にパソコンから、クラウド上にある経費精算システムにアクセスをして、パソコンに接続したICカードリーダーに自分の交通系ICカード(SuicaやPasumoなど)をセットすると、自動的に経費精算システムに乗車区間や運賃が読み込まれます。これによって乗車区間と運賃の入力の手間が大幅に減らす事が出来るのです。後は、実際に乗った区間が正しいか確認をしたり、訪問した客先名などを入力するだけになります。

 また、経費精算の多い営業社員には事前にコーポレイトカードなどを渡しておいて、それで全ての経費を支払うようにようにします。そうすれば、接待費やタクシー代、出張に関わる航空チケットやホテル代なども、クレジットカードのWeb明細サービスと連動をして、すべて経費精算システムに読み込まれて来ますので、入力項目の数を減らせますので、後は接待先や出張目的といった追加事項を入力するだけになります。

 経理担当者の立場からすると、このクラウド型の経費精算システムを使う事によって、従業員の経費精算項目のチェックを減らせるという点にあります。例えば、社内規定で5000円以上のタクシー代の申請は事前承認が必要という規定があった場合、タクシー代で5000円以上の金額が入力された場合は、入力画面に「事前承認を得た時のメールを添付して下さい」などの表示が出たり、事前承認の申請がされていないと5000円以上の金額入力自体が出来ないようにしたり出来るので、人手によるチェック項目の数を減らす事が出来るのです。

 経営的な観点からも経費精算業務の導入により、運転資金や借入金などの計画を立てやすくなります。従来ですと、変動費である従業員から出される経費精算額は、従業員から経費精算書が提出されて、経理部門が総勘定元帳に入力するまで把握する事が出来なかったのですが、経費精算業務をクラウド型のサービスを使って行うことにより、システム上で従業員が事前承認申請をした時点や入力完了した時点で経費額を把握する事が出来ますし、自社の拠点がいくつかある場合も、リアルタイムで経費額を把握、予測し、高額な経費は事前承認をすることによって抑制し、無駄のない資金計画を立てることが出来るのです。

 こういった経費精算システムのクラウドサービスを導入することによって、当社のコンサルティング先企業平均で、営業社員の月間経費精算時間は90分から19分へ、経費支出も11パーセント減という結果も出ています。

代表的な経費精算のクラウドサービス
コンカー(https://www.concur.com/ja-jp
経費君(http://sfdc.mjs.co.jp/keihikun-info.html

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