「お~い大丈夫か・・・もう、だから言ったじゃあないか!なんで気を付けなかったんだ!はあ~」
店長は、油だらけになったアルバイトスタッフの足もとを見ながらため息をつきました。スタッフは、ただ呆然・・・・実は、これはある店長が体験したキッチンでのトラブルとその後の苦い思い出のお話しです。彼は、フライヤーの油を交換した後の廃油を移動するときに、重たくてすべりやすいから気を付けるようにスタッフには口うるさく注意していました。しかし、その日スタッフは、廃油の缶を誤ってひっくり返してしまい、キッチン中を油だらけにしてしまったのです。
彼の苦い思い出とは、その時に言った彼のひと言で、スタッフが落ち込んでしまい、その後店に来なくなってしまったことでした。彼からすれば、口を酸っぱくしていつも注意をしていたことです。何で落ち込まなきゃいけないんだ、という思いもあったのですが、缶をひっくり返したスタッフからすれば、充分に気を付けて扱ったつもりだったのに、手を滑らせてしまった。油は冷めていたので火傷をすることはありませんでしたが、ユニフォームは油だらけ、さらに手を滑らせた弾みで少し指も切ってしまっていました。しかし、店長はため息をついて自分を責めるばかり・・・スタッフは、辛くなってそのままアルバイトに来なくなってしまったのです。
さて、彼の発言には、大きく2つの問題点があるのですが、どう言う点かおわかりでしょうか?
ひとつは、「だから言ったじゃあないか」という言葉です。この言葉、相手を叱っていると言うよりも「自分の責任を逃れようとしている」発言なのです。無責任、他責任な発言と言うことですね。「自分は、いつも注意をしている。それでも事故が起こったならばそれは自分の責任では無い。」と言うことを言っているのです。これは、リーダーとしてはとても恥ずかしい言葉ですよね。
もうひとつは、彼の発言の元になっている「いつも口を酸っぱくして注意している指導方法」についての問題です。店長がスタッフに行う指示は、「仕事の内容」「仕事の方法」「仕事の基準」「仕事のゴール」「仕事の期間」「仕事の予算」「仕事の目的」の7つが必要なのです。しかし、彼の指示には、スタッフが事故を起こさないような「方法」「基準」が不明確だったのです。その為、スタッフは「自分なりに店長の言うとおりに気を付けて作業」をしていたのですが、「事故を起こさない方法とその運用基準」のレベルが低かったため事故が起きてしまったのです。
この事故から数年、今ではエリアのリーダー店長まで成長した彼は、この時のことを振り返ってこのように私に話してくれました。「あの頃は、指示をすれば良いんだと思って仕事をしていました。結果、その指示は上手く伝わらず、伝わっても違うことをするスタッフがいたり、低いレベルで仕事してしまうスタッフがいたりして、何度も同じ事を繰り返しているという状態でした。なので、評価は最低(笑)。でも、あの事故で私に大切なことを気づかせてくれたスタッフのお陰で、指示はただ伝えるだけではだめなんだと言うことを学びました。いくら自分が口を酸っぱくして注意していても、事故が起こったのは私の伝え方とその徹底性が原因なんです。ただ言っているだけの無責任な店長が、成果なんて上げられるわけはありませんからね。」
さて、あなたにはこう言うことはありませんか?
「いつも言っているんだけど・・・なかなか部下が動かない。」
「詳細に伝えているつもりなんだけど、部下の仕事のレベルが低い。」
これは、100%あなたの伝え方の問題なのです。
さあ、もう一度自分の伝え方を見直しましょう。
そして、伝わるだけではなく、その基準まで合意をしていきましょう!
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