- 松岡 在丸
- 松岡在丸とハウジング・ワールド
- 東京都
- 建築プロデューサー
対象:住宅設計・構造
新築を買おう、家づくりをしよう、と考え始めるきっかけとして、同僚が家を建てたから、親族に勧められたから、あるいは、消費税が上がるから、といった、いわば周囲の状況に流されるというものがあります。
そのようにして家づくりを初めて考え、急いで家を建てようとすると、多くの場合に失敗します。
一両日中には習得できない
いい家づくりのプランニングや企画というのは、ちょっと勉強したぐらいで習得できるものではありません。建築のことを分かっている建築士であっても、いい家が建てられるわけではありません。また、写真集を数多く見たから家のことが分かるというものでもありません。
建築家のセンスも大切ですが、住む人が家に対するどんな見方や思いがあるのか、ということがその時の交渉の中に反映されてしまいます。
建築業者に一任するにはリスクがありますし、かといって素人が簡単にプランニングできるような代物でもありません。
100軒の家を見よう
3年かけて、100軒の家を観察しましょう。もちろん、実物をです。外から見て、中を想像しましょう。中に入って、ライフスタイルを観察しましょう。
7割はダメな家。3割はいい家。その3割が他とどう違うのか、ということを分析しましょう。
そしてその中から、自分と自分の家族にとって最も大切な考え方は何なのかを探りましょう。
さらに、30年後にもその考え方が変わらないかどうかをじっくり熟考してみましょう。
これぐらいの準備があって初めていい家のプランニングに関われるようになります。地道な学習を、周囲に流されることなくコツコツしている人が成功に近付きます。
業界の変化に惑わされない
2014年に消費税が上がるということを知って、駆け込み需要が増しました。何百万円も上がる前に家を建ててしまおう、という方も増えました。
ということは、増税後は需要が下がるということでしょうか。
実際に私の事務所に相談に来る方の多くは、「消費税が上がるというのはあるけど、それで急いで建ててもいい家にはならないと思って、じっくり勉強しようと思いました」とおっしゃいます。
まさしくその通りです。
安いうちに買おう、安く買おう、というのは「安物買いの銭失い」になりかねません。
業界が変化しても、その同じ業界の中では競争が続いています。逆境をバネにして、いかにユーザーを多く獲得できるかという点で試行錯誤を繰り返します。
増税前は、駆け込み購入の顧客をどのように獲得するか。
増税後は、それでもなるべく安く家づくりしたい人にどう対応して競争力を持つか。
恐らく、住宅購入に対する消費者の見方や考え方は、予算面で大きな変更を強いられたからと言って、プランニングに影響を及ぼすことはありません。
影響を受けるのは設備や仕様であって、間取りや企画ではないからです。
もしも、今、家づくりに焦り始めているとしたら、ちょっと立ち止まって考えてみてください。自分が家を建てようとしているのは、周囲の圧力に負けているからではないだろうか、と。
家族や親族、友人たちにいいところを見せたいという気持ちや、「今こそチャンス」という業界の流行りに流されるのではなく、「私たち家族にとっていい家とは何なのか」ということをシッカリと理解してから、本格的な家づくりに着手しましょう。
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