Blog201401-借地借家法 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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田中 圭吾
田中 圭吾
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村田 英幸
(弁護士)

閲覧数順 2017年11月18日更新

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Blog201401-借地借家法

今月(2014年1月)は、保険法、独占禁止法、借地借家法、宅地建物取引業法、労働法、金融商品取引法、金融法、会社法、会社非訟、商標法、意匠法、不正競争防止法、信託法、破産法、土壌汚染対策法、行政法などに関するテーマを中心に、以下のコラムを作りamebro(アメーバ・ブログ)とAllAbout(専門家プロファイル)に掲載しました。

借地の形状変更

本件は、借地人が借地上に建物を建築する際に地下駐車場を作るため掘削工事をして湧水を生じ、地盤を軟弱化させたことが、土地の形状変更禁止の特約に違反し、土地賃貸借契約の解除事由となるとされたケースである。

土地明渡請求事件

東京地方裁判所判決平成6年1月25日・判例タイムズ872号229頁

 地主であるXと借地人のYは、土地賃貸借契約を結んでいたが、借地人Yは、建物新築工事を開始して、地下駐車場を作るために、地主Xの承諾を得ることなく、土地のほぼ全域を深さ2メートル以上まで掘り下げたため、湧水を生じ、近隣の土地に亀裂が入り、家が傾く等の被害が発生した。

その上、土地を埋戻しても、地盤軟弱化のため建物建築には一定の補強が必要な状態となってしまった。

そこで、Xが、本件賃貸借契約には地主の同意なくして土地の形状を変更してはならない等の用法に関する特約があったのにもかかわらず、Yは用法違反をしたものであるとして、これを理由として本件契約を解除して土地明渡及び賃料相当損害金を求めたのが、本件訴訟である。

 本判決は、本件掘削工事は、建物建築のために必要不可欠な掘削を超え、土地の形状を著しく変更するもので、約定に違反することは明らかであり、信頼関係を破壊しない特段の事情があるということはできないから、本件解除は有効であると判示した。

 本件は、借地人が借地上に建物を建築する際に地下駐車場を作るため掘削工事をして湧水を生じ、地盤を軟弱化させたことが、土地の形状変更禁止の特約に違反し、土地賃貸借契約の解除事由となるとされたケースである。

 借地人に用法違反がある場合、原則として、貸主に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは貸主は契約を解除できない(最高裁判決昭和36・7・21民集15巻7号1939頁)が、例外的に、用法違反が賃貸借契約の継続を著しく困難ならしめる不信行為であれば無催告解除をすることができる(最高裁判決昭和47・11・16民集26巻9号1603頁)。

本判決も、この判例理論に従って判断しているが、用法違反が地下駐車場を作るための土地掘削という行為であるという点に事例的意義がある。

(注)土地の形状変更の場合、全ての事例で解除が認められるわけではなく、湧水・地盤軟化・家が傾くような重大な場合に限って、解除が認められると思われる。

なお、この事案の場合、誰が見ても、あまりにもひどい事案であったので、催告なしで解除が認められた。通常であれば、原状回復すべしと催告の上、原状回復しない場合に限って、解除する。

また、借地人が軟弱地盤を改善するなどの正当な目的がある場合には、借地借家法では、借地非訟手続により、地主の承諾に代わる裁判所の許可を得て、土地の形状変更の工事を行うことも可能と解される。

 また、土地の形質を変更する行為は、建築基準法、宅地造成等規制法などの不動産に関する行政法規で許可を必要があるが、地主・借地人の間の民事上の紛争とは、一応別の問題である。

澤野順彦『不動産法の理論と実務(改訂版)』(商事法務、2006年)

本文約448頁。

上記書籍のうち、以下の部分を読みました。

第6章 不動産の利用借地・借家-

第1節 借地・借家法の沿革

第2節 借地権

第3節 借家権

第12章 不動産紛争

第1節 紛争解決の諸手続

第2節 不動産紛争の諸類型

第13章 不動産の有効活用・環境・都市開発

第1節 土地信託

第2節 不動産の証券化

第3節 PFI

第4節 大深度地下利用

第5節 土地区画整理事業

第6節 市街地再開発事業

第7節 土壌汚染

借地借家法

澤野順彦『判例にみる借地借家の用法違反・賃借権の無断譲渡転貸』(新日本法規、平成24年)

 著者は、不動産取引に関して著名な弁護士・不動産鑑定士・法科大学院教授である。

借家のペット飼育禁止特約に違反している場合、賃貸借契約を解除できるかについて、肯定すべきである。

内田勝一・山崎敏彦『借地・借家の裁判例(第3版)』(2010年、有斐閣)

借地借家法に関する裁判例を比較的網羅している。

内田教授が居住権などの研究業績があるせいか、賃借人寄りの論述の立場であり、裁判例の取捨選択・解説にもそれが反映しているのが、若干気になった。この点は、澤野・前掲書と比較すると、明らかである。