- 鈴木 克彦
- 株式会社マクス 代表取締役
- 建築家
対象:住宅設計・構造
富士市のティンバーフレームの現場にて、大工工事の一コマをご紹介します。
写真は大工がロフトの手すりを加工しているところです。
木と木の接合部分(仕口:しくち)を見て下さい。
さて、この写真をご紹介しようと思っても、仕口の名前が分からない。
建具屋に聞いても、
「兜巾(ときん)とか剣先(けんさき)で大体合ってると思うんだけど…」
と言う返事。
そもそも、仕口は、職人が、
いかにキレイに…
いかに見せたくない部分を隠して…
そしていかに強く…
と考えながら、場所や材種や用途によって考えてきた物なので、多くの亜種が存在する物です。
古い神社仏閣に見られる柱を継いだ補修跡などでは、最近までどの様な加工なのか分からなかったものもあります。
京都の古い神社仏閣などに見られる、組上がると編んだ様に見える千鳥格子(ちどりこうし)等もそうですが、昔は見る人が見ないと分からない様な部分に、職人は手間をかけ、そんな中に、ほとんど遊び心というか、粋を感じたのではないでしょうか。
悪く言えば自己満足でしょうが、遙か後世で自分のやった仕事にみんなが頭をひねっているのをあの世から見て、仕事をした職人はきっとほくそ笑んでいるでしょうね。
現在では、「手間受け」と言って、一つの現場を幾らでやれ、みたいに職人の手間賃も叩かれているので、そんな余裕は職人にはなくなってしまい、どんどん技術が廃れていってしまうのでしょう。
やや話が脱線しました。
私は、文献をひっくり返して調べましたが、やはりこの仕口は見つからず、
「剣先三枚柄(けんさき さんまいほぞ)」
と言うことにしました。
なお、ティンバーフレームについては、こちらもご覧下さい。