MBOを意識している経営トップは、部下が展開しやすいように、組織の方向性を明確に示そうとします。その際、損益目標だけでなく、いくつかの中長期的な目標を掲げます。逆に、MBOを経営管理ツールとして認識できていない経営者は、抽象的なスローガン、あるいは損益目標だけを方針として掲げます。
その他にも、目標設定面談を上司と部下、二人だけのブラックボックスで決定していると、社員相互に「自分だけが難しい目標を立てているのではないか」という疑心暗鬼が起こります。放っておくと、いつの間にか相互不信を募らせる制度になってしまうことがあります。これは、一人ひとりの目標を組織としてオープンにしていないことが原因です。面談の手順を変えることで、組織内で各自がどのような目標を持ち、自分はその中でどのように位置づけられるのか、を明確に知ることができるようになります。
どのような制度であっても、理解不足や運用に問題があればうまく機能させることはできません。人事考課制度の中でMBOを活用するには、こうした注意点を踏まえて運用していただくことをお勧めします。
次回は、MBO以外の評価制度について考えてみたいと思います。
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