上場株式等の譲渡損失の繰越控除と国民健康保険料 - 医療保険・国民健康保険 - 専門家プロファイル

杉浦 恵祐
株式会社OSP 代表取締役
愛知県
ファイナンシャルプランナー

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閲覧数順 2024年04月25日更新

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上場株式等の譲渡損失の繰越控除と国民健康保険料

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 今年の株高等により今年は上場株式等の売却益が出た方も多いと思います。もし、昨年までの上場株式等の売却損を確定申告して繰越控除していれば、今年分の益も確定申告すれば過去の損と相殺でき税負担が減ります。

 その場合、国民健康保険料(税)に対する影響はどうなるでしょうか。

事例  過去3年間申告してきた上場株式等の譲渡損失の繰越 -200万円
     今年の株式売却代金                        500万円
     今年の株式売却代金のうちの取得価額            400万円
     今年の株式売却益                          100万円
     確定申告で相殺後の株式売却益                    0円

 合計所得金額 - 純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除前の次の所得の合計額
    事業所得、不動産所得、(総合課税の)利子所得、(総合課税の)配当所得、給与所得、雑所得、一時所得×1/2、総合課税の短期譲渡所得、総合課税の長期譲渡所得×1/2、分離課税の土地建物等の譲渡所得に金額(特別控除適用前)、分離課税の(申告した)株式等に係る譲渡所得等の金額、分離課税の(申告した)上場株式等に係る配当所得の金額、分離課税の先物取引に係る雑所得等の金額、退職所得、山林所得

 総所得金額等 - 純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除後の次の所得の合計額
  事業所得、不動産所得、(総合課税の)利子所得、(総合課税の)配当所得、給与所得、雑所得、一時所得×1/2、総合課税の短期譲渡所得、総合課税の長期 譲渡所得×1/2、分離課税の土地建物等の譲渡所得に金額(特別控除適用前)、分離課税の(申告した)株式等に係る譲渡所得等の金額(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控後除及び特定株式に係る譲渡損失の繰越控除後)、分離課税の(申告した)上場株式等に係る配当所得の金額(上場株式に係る譲渡損失の損益通算後及び繰越控除後)、分離課税の先物取引 に係る雑所得等の金額(先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除後)、退職所得、山林所得

 結論を言えば、国民健康保険料(税)の所得割額の所得は原則「総所得金額等」なので、事例の場合はほとんどの市町村で国民健康保険料が上がることはありません。

 「合計所得金額」に含まれる株式等に係る譲渡所得等の金額
  繰越損失控除前の金額=100万円

 「総所得金額等」に含まれる株式等に係る譲渡所得等の金額
  繰越損失控除後の金額=0円

http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000044/44151/kaiseitennogoannaia3.pdf#search=%27%E5%90%8D%E5%8F%A4%E5%B1%8B%E5%B8%82+%E5%9B%BD%E6%B0%91%E5%81%A5%E5%BA%B7%E4%BF%9D%E9%99%BA%E6%96%99+%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E8%AD%B2%E6%B8%A1%E6%90%8D%E5%A4%B1%27
(上記の名古屋市のHPの2枚目右上にも、「なお、過去の株式等の譲渡に係る繰越損失と通算して申告した場合や、上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当所得を損益通算して申告した場合には、損益通算後の金額になります。」との記載有り)

 ただし、国民健康保険料の算定方法の詳細はあくまでも各市町村が条例等で定めます。この記述は名古屋市等を例にした一般論ですから、実際に皆さんが検討する際には、それぞれの市町村の条例等で独自規定がないかどうか念のため確認をすることをお勧めします。

その他の影響について参考

 住民税額
 →住民税上も所得税同様、株式譲渡損失の繰越控除が適用されるので、事例では売却益0で課税なし。

 税務上の扶養控除や配偶者控除の要件
 →「合計所得金額」なので、事例では繰越損失前の100万円が所得に加算され要件から外れる。

 社会保険の被扶養者のいわゆる年収130万円
 →原則論では「恒常的な収入」かどうかで判断される。しかし、実際の取扱いは保険者に委ねられているので、被保険者の会社を通じて各保険者(各健康保険組合、協会けんぽ(年金事務所)等)の担当者等に確認が必要。

 なお、余談ですが、将来的にマイナンバー(納税者番号)制度が普及確立すれば、所得、税、社会保障の関係は整理されすっきりしていくと考えます。(それが良いことか悪いことかは別にして)

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