『重要判例とともに読み解く 個別行政法』、要約など(その1) - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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対象:民事家事・生活トラブル

田中 圭吾
田中 圭吾
(行政書士)
村田 英幸
(弁護士)

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『重要判例とともに読み解く 個別行政法』、要約など(その1)

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  1. 暮らしと法律
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相続

亘理格・北村喜宣編著 『重要判例とともに読み解く 個別行政法』有斐閣(2013年4月)
各種の行政法分野の法律の概要、最高裁判例が簡便にわかる。
行政訴訟においては、原告適格、処分性、訴えの利益、損失補償の要否、国家賠償請求などが重要論点となる。
第1章 行政組織法・行政手続法
「行政手続法」
行政処分に理由付記が必要とされているのは、処分理由の合理性の担保、行政庁の恣意抑制、申請者などの不服申立の便宜の3つの観点からである(最高裁昭和47・12・5、大分税務署長法人税増額更正事件参照。行政法・租税法の通説)。なお、『重要判例とともに読み解く 個別行政法』31頁が理由付記の制度趣旨を2つと説明しているのは、明らかに相当ではない。
処分理由の差し替え
最高裁平成11・11・19、逗子市池子弾薬庫情報公開条例事件
  一 いわゆる池子弾薬庫跡地内に所在する逗子市所有地の管理又は国への移転登記に関し必要な措置を講ずべきこと等を求める住民監査請求につき逗子市監査委員が横浜防衛施設局職員から事情聴取をした内容を記録した文書は、全国の未登記土地に関する国と所有名義人との間における民事上の紛争の処理の仕方、手法についての供述や、国の民事訴訟解決の手の内が示されているのであれば、逗子市情報公開条例において公文書の非公開事由を定めた5条(2)ウにいう「争訟の方針に関する情報」に当たらないとはいえない。
 二 公文書の非公開事由を定めた逗子市情報公開条例(平成二年逗子市条例第6号)5条(2)ウに該当することを理由として付記してされた公文書の非公開決定の取消訴訟において、実施機関が、右決定が適法であることの根拠として、当該公文書が同条(2)アに該当すると主張することは、許される。
 三 いわゆる池子弾薬庫跡地内に所在する逗子市所有地の管理又は国への移転登記に関し必要な措置を講ずべきこと等を求める住民監査請求につき逗子市監査委員が右登記事務に関係した同市職員、横浜防衛施設局職員等の関係行政機関の職員から事情聴取をした内容を記載した文書は、同監査委員限りで参考にすることにとどめ公開しないことを前提として提供された機密にわたる情報が含まれているのであれば、逗子市情報公開条例において公文書の非公開事由を定めた5条(2)アにより非公開とすることができる文書に当たらないとはいえない。
処分理由付記の程度
最高裁平成23・6・7、一級建築士免許取消事件
建築士法(平成18年改正前のもの)10条1項2号及び3号に基づいてされた一級建築士免許取消処分の通知書において,処分の理由として,名宛人が,複数の建築物の設計者として,建築基準法令に定める構造基準に適合しない設計を行い,それにより耐震性等の不足する構造上危険な建築物を現出させ,又は構造計算書に偽装が見られる不適切な設計を行ったという処分の原因となる事実と,同項2号及び3号という処分の根拠法条が示されているのみで,同項所定の複数の懲戒処分の中から処分内容を選択するための基準として多様な事例に対応すべくかなり複雑な内容を定めて公にされていた当時の建設省住宅局長通知による処分基準の適用関係が全く示されていないなど判示の事情の下では,名宛人において,いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることができず,上記取消処分は,行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法である。
個人タクシー許可と公正手続
最高裁昭和46・10・28
道路運送法3条2項3号に定める一般乗用旅客自動車運送事業である一人一車制の個人タクシー事業の免許にあたり、多数の申請人のうちから少数特定の者を具体的個別的事実関係に基づき選択してその免許申請の許否を決しようとするときには、同法6条の規定の趣旨にそう具体的審査基準を設定してこれを公正かつ合理的に適用すべく、右基準の内容が微妙、高度の認定を要するものである等の場合は、右基準の適用上必要とされる事項について聴聞その他適切な方法により申請人に対しその主張と証拠提出の機会を与えるべきであり、これに反する審査手続により免許申請を却下したときは、公正な手続によって免許申請の許否につき判定を受けるべき申請人の法的利益を侵害したものとして、右却下処分は違法となるものと解すべきである。
公聴会と手続の公正
最高裁昭和50・5・29、群馬中央バス事件
 一、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関し運輸審議会の公聴会が開催された場合には、陸運局長の聴聞手続の瑕疵は、免許の許否に関する運輸大臣の処分の適法性に影響を与えない。
二、諮問の経由を必要とする行政処分が諮問を経てされた場合においても、当該諮問機関の審理、決定(答申)の過程に重大な法規違反があることなどによりその決定(答申)自体に法が右諮問機関に対する諮問を経ることを要求した趣旨に反すると認められるような瑕疵があるときは、右行政処分は、違法として取消を免れない。
三、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関する運輸審議会の公聴会における審理手続は、運輸審議会の客観性のある適正かつ公正な決定(答申)の保障のために公聴会審理を要求する法の趣旨に従い、申請者その他の利害関係人に対し決定(答申)の基礎となる諸事項に関する諸般の証拠その他の賃料と意見を10分に提出してこれを運輸審議会の決定(答申)に反映させることを実質的に可能ならしめるようなものでなければならない。
四、一般乗合旅客自動車運送事業の免許に関し諮問を受けた運輸審議会の公聴会における審理手続に申請計画の問題点につき申請者に主張・立証の機会を10分に与えなかったという瑕疵がある場合においても、仮に運輸審議会がこのような機会を与えたとしても申請者において運輸審議会の認定判断を左右するに足りる資料及び意見を提出しうる可能性があったとは認め難い判示のような事情があるときは、右瑕疵は、右諮問を経てされた運輸大臣の免許の拒否処分を違法として取り消す事由とはならない。
第2章 地方自治法
地方自治法
条例と法律の関係
最高裁大法廷昭和50・9・10、徳島市公安条例事件
一 道路交通法77条1項4号は、その対象となる道路の特別使用行為等につき、各地方公共団体が、条例により地方公共の安寧と秩序の維持のための規制を施すにあたり、その一環として、これらの行為に対し、道路交通法による規制とは別個に、交通秩序維持の見地から一定の規制を施すことを排斥する趣旨を含むものではなく、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和二七年徳島市条例)3条3号の規制と道路交通法77条及びこれに基づく徳島県道路交通施行細則による規制とが一部重複しても、道路交通法による規制は条例の規制の及ばない範囲においてのみ適用されるものと解すべく、右条例3条3号、5条の規定が、道路交通法77条1項4号、3項、119条1項13号、徳島県道路交通施行細則11条3号に違反するものではない。
二 刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法31条に違反するかどうかは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによってこれを決定すべきである。
三 集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和二七年徳島市条例)3条3号が、集団行進等についての遵守事項の一として「交通秩序を維持すること」を掲げているのは、道路における集団行進等が一般的に秩序正しく平穏に行われる場合にこれに随伴する交通秩序阻害の程度を超えた、殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為を避止すべきことを命じているものと解され、このように解釈した場合、右規定は右条例5条の犯罪構成要件の内容をなすものとして憲法31条に違反するような不明確性を有するものではない。
四 被告人が、先頭集団直近の隊列外に位置して、だ行進をしたり、笛を吹いたり、両腕を前後に振って合図する等して、集団行進者にだ行進をさせるよう刺激を与え、集団行進者がだ行進をするようせん動した場合において、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和二七年徳島市条例)3条3号、5条の集団行進者が交通秩序の維持に反する行為をするようにせん動した所為と、道路交通法77条1項4号、3項、119条1項13号、徳島県道路交通施行細則11条3号の警察署長の付した道路使用許可条件に違反してだ行進をした所為とは、観念的競合の関係にある。
公共施設の設置・管理の条例主義と条例の処分性
最高裁平成21・11・26
市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為は,当該保育所の利用関係が保護者の選択に基づき保育所及び保育の実施期間を定めて設定されるものであり,現に保育を受けている児童及びその保護者は当該保育所において保育の実施期間が満了するまでの間保育を受けることを期待し得る法的地位を有すること,同条例が,他に行政庁の処分を待つことなくその施行により当該保育所廃止の効果を発生させ,入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して,直接,上記法的地位を奪う結果を生じさせるものであることなど判示の事情の下では,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
最高裁大法廷平成8・8・28
一 土地収用法36条5項所定の署名等代行事務は、都道府県知事に機関委任された国の事務である。
二 駐留軍用地特措法3条の規定による土地等の使用又は収用に関して適用される場合における土地収用法36条5項所定の署名等代行事務の主務大臣は、内閣総理大臣である。
三 地方自治法151条の2第3項の規定による職務執行命令訴訟においては、裁判所は、主務大臣の発した職務執行命令がその適法要件を充足しているか否かを客観的に審理判断すべきである。
四 駐留軍用地特措法は、憲法前文、9条、13条、29条3項に違反しない。
五 内閣総理大臣の適法な裁量判断の下に沖縄県内の土地に駐留軍用地特措法を適用することがすべて許されないとまでいうことはできず、同法の同県内での適用が憲法前文、9条、13条、14条、29条3項、92条に違反するということはできない。
六 使用認定が無効である場合には、駐留軍用地特措法14条、土地収用法36条5項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることは違法である。
七 使用認定に取り消し得べき瑕疵があるとしても、駐留軍用地特措法14条、土地収用法36条5項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることは適法である。
八 駐留軍の用に供するためにされた使用認定の対象となった沖縄県内の土地が、沖縄復帰時において駐留軍の用に供することが日米両国間で合意された土地であり、その後における駐留軍の用に供された施設及び区域の整備縮小のための交渉によっても返還の合意に至らず、駐留軍基地の各種施設の敷地等として他の多くの土地と一体となって有機的に機能しており、駐留軍基地から派生する問題の軽減のための対策も講じられてきたなど判示の事実関係の下においては、同県に駐留軍基地が集中している現状や右各土地の使用状況等について沖縄県知事が主張する諸事情を考慮しても、右各土地の使用認定にこれを当然に無効とする瑕疵があるとはいえない。
九 土地収用法36条2項は、土地調書及び物件調書が有効に成立する段階で、調書を土地所有者及び関係人に現実に提示し、記載事項の内容を周知させることを求めているものと解される。
一〇 駐留軍用地特措法3条の規定により沖縄県内の土地を使用する手続において、沖縄県知事が同法14条、土地収用法36条5項に基づく署名等代行事務の執行を懈怠していることを放置することは、これにより著しく公益を害することが明らかである。
(注)機関委任事務は廃止された後、法定受託事務とされた。
法定受託事務に関する地方自治法上の代執行の手続
大臣による是正の要求(地方自治法第245条の5)
都道府県による市町村に対する是正の勧告(第245条の6)
大臣による都道府県に対する是正の指示(第245条の7)
代執行等(第245条の8)
行政権の主体としての地方公共団体の出訴資格
最高裁平成14・7・9、宝塚パチンコ店規制条例事件
1 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は,不適法である。
2 宝塚市が,宝塚市パチンコ店等,ゲームセンター及びラブホテルの建築等の規制に関する条例(昭和58年宝塚市条例)8条に基づき同市長が発した建築工事の中止命令の名宛人に対し,同工事を続行してはならない旨の裁判を求める訴えは,不適法である。
直接解職請求(リコール)
最高裁大法廷平成21・11・18
地方自治法施行令115条,113条,108条2項及び109条の各規定のうち,公職選挙法89条1項を準用することにより,公務員につき議員の解職請求代表者となることを禁止している部分は,その資格制限が解職の請求手続にまで及ぼされる限りで,同法中の選挙に関する規定を解職の投票に準用する地方自治法85条1項に基づく政令の定めとして許される範囲を超え,無効である。
住民訴訟
最高裁大法廷昭和52・7・13、津地鎮祭事件
一、憲法の政教分離原則は、国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが、国家が宗教とのかかわり合いをもつことを全く許さないとするものではなく、宗教とのかかわり合いをもたらす行為目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合いがわが国の社会的・文化的諸条件に照らし信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものである。
二、憲法20条3項にいう宗教的活動とは、国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいう。
三、市が主催し神式に則り挙行された市体育館の起工式は、宗教とかかわり合いをもつものであることを否定することはできないが、その目的が建築着工に際し土地の平安堅固、工事の無事安全を願い、社会の一般的慣習に従った儀礼を行うという専ら世俗的なものと認められ、その効果が神道を援助、助長、促進し又は他の宗教に圧迫、干渉を加えるものとは認められない判示の事情のもとにおいては、憲法20条3項にいう宗教的活動にあたらない。
最高裁平成4・12・15、1日校長事件
一 地方自治法242条の2第1項4号の規定に基づく代位請求に係る当該職員に対する損害賠償請求訴訟において、右職員に損害賠償責任を問うことができるのは、先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても、右原因行為を前提としてされた右職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られる。
二 教育委員会が公立学校の教頭で勧奨退職に応じた者を校長に任命して昇給させるとともに同日退職を承認する処分をした場合において、右処分が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するものといえないときは、知事がした右の者の昇給後の号給を基礎とする退職手当の支出決定は、財務会計法規上の義務に違反する違法なものとはいえない。
最高裁平成15・1・17、徳島県議会野球大会旅費日当宿泊料等返還請求事件
1 全国都道府県議会議員軟式野球大会に県議会議員が参加することは,同大会の内容が単に議員が野球の対抗試合を行って優勝を競うものにすぎず,他の都道府県議会議員との意見交換や相互交流等の機会は設けられておらず,競技施設の視察等の公式行事も予定されていなかったなど原判示の事実関係の下においては,議員としての職務であるとはいえず,同大会に参加した議員は,県に対し,支給を受けた旅費相当額の不当利得返還義務を負う。
2 県議会議長が平成9年開催の全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加する議員に対し発した旅行命令が違法である場合において,同命令を前提として知事の補助職員がした議員に対する旅費の支出負担行為及び支出命令は,同大会が,昭和24年以降,国民体育大会に協賛する趣旨で毎年その時期に合わせて開催され,昭和62年にはすべての都道府県議会が参加するようになったという歴史を有し,平成9年開催の国民体育大会に協賛するとともに,議員相互の親睦とスポーツ精神の高揚を図り,地方自治の発展に寄与する旨の目的の下に開催されたものであり,全国47都道府県議会から議員1400人余りがこれに参加したなど原判示の事実関係の下においては,財務会計法規上の義務に違反する違法なものということはできない。
3 県議会において全国都道府県議会議員軟式野球大会に議員を派遣することが決定されたことを受けて,県議会事務局職員に対し,議員に随行して実行委員会本部との調整,用具の運搬管理,記録その他の補助業務に当たらせるために,職務命令である旅行命令が発せられたという事実関係の下においては,同命令に重大かつ明白な瑕疵があったとはいえず,同命令に従って議員に随行した職員は,県に対し,支給を受けた旅費相当額の不当利得返還義務を負わない。
地方自治法の会計法令違反の公共契約の私法上の効力
最高裁昭和62・5・19
一 普通地方公共団体が随意契約の制限に関する法令(地方自治法234条)に違反して締結した契約は、地方自治法施行令167条の2第1項の掲げる事由のいずれにも当たらないことが何人の目にも明らかである場合や契約の相手方において随意契約の方法によることが許されないことを知り又は知り得べかりし場合など当該契約を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える法令の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り、私法上無効となる。
二 普通地方公共団体が随意契約の制限に関する法令に違反して締結した契約が無効といえない場合には、地方自治法242条の2第1項1号に基づいて右契約の履行行為の差止めを請求することはできない。
公共契約における行政裁量
最高裁平成18・10・26
村の発注する公共工事の指名競争入札に昭和60年ころから平成10年度まで指名を受けて継続的に参加し工事を受注してきていた建設業者に対し,村が,村外業者に当たること等を理由に,平成12年度以降全く指名せず入札に参加させない措置を採った場合において,(1)村内業者で対応できる工事の指名競争入札では村内業者のみを指名するという実際の運用基準は村の要綱等に明定されておらず,村内業者であるか否かの客観的で具体的な判定基準も明らかにされていなかったこと,(2)上記業者は,平成6年に代表者らが同村から県内の他の町へ転居した後も,登記簿上の本店所在地を同村内とし,同所に代表者の母である監査役が居住し,上記業者の看板を掲げるなどしており,平成10年度までは指名を受け,受注した工事において施工上の支障を生じさせたこともうかがわれないことなど判示の事情の下では,指名についての上記運用及び上記業者が村外業者に当たるという判断が合理的であるとし,そのことのみを理由として,村の上記措置が違法であるとはいえないとした原審の判断には違法がある。
第3章 行政情報法
「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」
教育情報(指導要録)の本人開示
東京都大田区の小学校児童指導要録の裏面のうち「各教科の学習の記録」欄中の「所見」欄,「特別活動の記録」欄及び「行動及び性格の記録」欄には,担任教師が,児童,保護者等に開示することを予定せずに,自らの言葉で,児童の良い面,悪い面を問わず,ありのまま児童の学習意欲,学習態度等に関する全体的評価又は人物評価を記載していたなど判示の事情の下においては,上記各欄に記録された情報は,東京都大田区公文書開示条例(昭和60年東京都大田区条例第51号。平成10年改正前のもの)10条2号の非開示情報に当たるが,同指導要録の裏面のうち「各教科の学習の記録」欄中の「観点別学習状況」欄及び「評定」欄には,児童の日常的学習の結果に基づく学習の到達段階が3段階又は5段階に分類して記載されていたにすぎず,「標準検査の記録」欄には,知能検査の結果等客観的な事実が記載されていたなど判示の事情の下においては,上記各欄に記録された情報は,上記非開示情報に当たらない。
最判平成23・10・14
エネルギーの使用の合理化に関する法律(平成17年改正前のもの)11条の規定により製造業の事業者が経済産業局長に提出した定期報告書に記載された工場単位の各種の燃料等及び電気の使用量等の各数値を示す情報が次の(1)及び(2)のようなものであったという事実関係の下では,当該情報は,情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に当たる。
(1) 当該事業者の内部において管理される情報としての性質を有し,製造業者としての事業活動に係る技術上又は営業上の事項等と密接に関係する。
(2) 総合的に分析することによって,当該工場におけるエネルギーコスト,製造原価及び省エネルギーの技術水準並びにこれらの経年的推移等についてより精度の高い推計を行うことが可能となり,当該事業者の競業者は自らの設備や技術の改善計画等に,当該工場の製品の需要者又は燃料等の供給者は価格交渉の材料等に,それぞれ有益な情報として用いることができる。
「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」
「住民基本台帳法」
選挙目的による住所の移転
最高裁平成9・8・25
丙市の市議会議員選挙の当選人甲が、当選人の告示後、議員としての任期が開始する前に丁市への転出の届出をしたが、甲は、従前丙市に生活の本拠としての住所を有しており、右告示の後、当選を辞退し次点者の乙を当選人とすることを目的として、急きょ右転出の届出をしたものであり、甲が単身転出したとする先は父の部下一家が居住する社宅であった上、その後、わずかの間に丁市内で二度にわたり転居の届出をしているなど判示の事実関係の下においては、甲が住所を移転させる強固な目的で転出の届出をした上、現実に右社宅で起居し、議員としての任期開始後最後に転居の届出をした丁市内の住所がそのまま生活の本拠となっているとしても、甲は、議員としての身分を取得する前に被選挙権の要件としての丙市の住所を失ったとはいえない。
公園内に設置されたテントが住所といえるか
最高裁平成20・10・3
Xが,都市公園法に違反して,都市公園内に不法に設置されたキャンプ用テントを起居の場所とし,公園施設である水道設備等を利用して日常生活を営んでいるなど原判示の事実関係の下においては,Xは,上記テントの所在地に住所を有するものとはいえないXが,都市公園法に違反して,都市公園内に不法に設置されたキャンプ用テントを起居の場所とし,公園施設である水道設備等を利用して日常生活を営んでいるなど原判示の事実関係の下においては,Xは,上記テントの所在地に住所を有するものとはいえない。
住民票記載の申出に対する応答の処分性
最高裁平成21・4・17
 1 出生した子につき住民票の記載を求める親からの申出に対し特別区の区長がした上記記載をしない旨の応答は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
2 母がその戸籍に入る子につき適法な出生届を提出していない場合において,特別区の区長が住民である当該子につき上記母の世帯に属する者として住民票の記載をしていないことは,(1)上記母が出生届の提出をけ怠していることにやむを得ない合理的な理由があるとはいえないこと,(2)住民票の記載がされないことにより当該子に看過し難い不利益が生じているとはうかがわれないことなど判示の事情の下では,住民基本台帳法上違法ということはできず,国家賠償法上も違法ではない。
住民基本台帳ネットワークシステムの合憲性
最高裁平成20・3・6
住民基本台帳ネットワークシステムにより行政機関が住民の本人確認情報を収集,管理又は利用する行為は,当該住民がこれに同意していないとしても,憲法13条の保障する個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではない。
従来、在日外国人について、外国人登録法が適用されていたが、同法は廃止され、一定の在日外国人については、住民基本台帳法が適用されることとなった(住民基本台帳法30条の45以下)。改正法は2012年7月から施行されている。
第4章 財政・租税法
「会計法」
最高裁昭和35・7・12
納税のため物納された土地を大蔵大臣が払い下げる処分は、私法上の売買であって行政処分ではない。
最高裁昭和41年11月1日
国の普通財産売払代金債権は、会計法第3〇条に規定する5年の消滅時効期間に服さない。
最高裁昭和45年7月15日
一、弁済供託における供託金取戻請求が供託官により却下された場合には、供託官を被告として却下処分の取消の訴を提起することができる。
二、弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効は、供託の基礎となった債務について紛争の解決などによってその不存在が確定するなど、供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時から進行し、10年をもって完成する。
最高裁昭和50年2月25日
 一、国は、国家公務員に対し、その公務遂行のための場所、施設若しくは器具等の設置管理又はその遂行する公務の管理にあたって、国家公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っているものと解すべきである。
二、国の安全配慮義務違背を理由とする国家公務員の国に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は、会計法30条が適用されず、民法167条1項により、10年と解すべきである。
最高裁昭和44年11月6日
 労働者災害補償保険法20条1項の規定によって国が取得する損害賠償債権は、会計法31条1項の規定する時効の利益を放棄することができない旨の制限に服しない。
最高裁昭和46・11・30
一、土地区画整理事業の施行者が、仮換地を指定し、その使用開始の日を別に定めることなく、従前の土地の使用を禁止した場合において、施行者が土地区画整理法七7条に基づき仮換地上に存在する第3者所有の建物を移転しまたは除却する権限を行使せず、土地所有者が長期間にわたり仮換地を現実に使用することができないため損害を被ったときは、施行者は、右建物の移転または除去を怠った違法な不作為により、土地所有者に右損害を与えたものであって、これを賠償する義務を負うものと解すべきである。
二、国家賠償法に基づく普通地方公共団体に対する損害賠償請求権の消滅時効については、民法145条の適用がある。
最高裁平成17・11・21
公立病院における診療に関する債権は、その本質が私法上の債権と解されるから、その消滅時効期間は,民法170条1号により、3年と解すべきである
最高裁昭和53年3月17日
国が私人から承継取得した私法上の債権(求償金債権)についてされる「納入の告知」についても会計法32条の適用がある。
国との契約書に記載なき特約の存否と経験則
最高裁昭和47年3月2日
 国と私人との間に、私人を売主として成立した土地売買契約において、目的土地の利用方法に関する特約は、当事者にとって極めて重要な特約であるから、右契約につき予算決算及び会計令(昭和二七年改正前)68条に基づき契約書が作成された以上、かかる特約の趣旨は契約者に記載されるのが通常の事態であり、これに記載されていないときは、特段の事情のないかぎり、かかる特約は存在しないものと認めるべきである。
「国有財産法」
最高裁昭和35・7・12
納税のため物納された土地を大蔵大臣が払い下げる処分は、私法上の売買であって行政処分ではない。
最高裁昭和41年11月1日
国の普通財産売払代金債権は、会計法第30条に規定する5年の消滅時効期間に服さない。
最高裁昭和41年12月15日
行政財産の貸付については、貸付について定められた使用許可条項と国有財産法が適用される。
訴えの利益
最高裁昭和28・12・23、皇居外苑メーデー使用不許可事件
昭和二七年五月一日のメーデーのための皇居外苑使用不許可処分の取消を求める訴は、右期日の経過により判決を求める法律上の利益を喪失する。
損失補償の要否
最高裁昭和49年2月5日
 都有行政財産である土地について建物所有を目的とし期間の定めなくされた使用許可が当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向って取り消されたときは、使用権者は、特別の事情のないかぎり、右取消による土地使用権喪失についての補償を求めることはできない。
最高裁平成22年2月23日
市営と畜場の廃止に当たり市が利用業者等に対してした支援金の支出は,当該と畜場の利用資格に制限がなく,利用業者等と市との間に委託契約等の継続的契約関係はない上,当該と畜場は関係法令の改正等に伴い必要となる施設の新築が実現困難であるためにやむなく廃止されたという事実関係の下においては,利用業者等が当該と畜場を事実上独占的に使用する状況が継続していたとしても,国有財産法19条,24条2項の類推適用又は憲法29条3項に基づく損失補償金の支出として適法なものであるとはいえない。
使用許可
最高裁昭和57・10・7
郵政省庁舎管理規程(昭和四〇年一1月二〇日公達第7六号)6条に定める庁舎管理者による郵便局の庁舎等における広告物等の掲示の許可は、庁舎等における広告物等の掲示等の方法によってする情報、意見等の伝達、表明等の一般的禁止を特定の場合について解除する処分であって、許可を受けた者に対し右のような伝達、表明等の行為のために指定された場所を使用するなんらかの公法上又は私法上の権利を設定、付与するものではなく、また、国有財産法18条3項(現6項)にいう行政財産の目的外使用の許可にもあたらない。
国有財産と取得時効
最高裁昭和51・12・24
公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されることもなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、右公共用財産について、黙示的に公用が廃止されたものとして、取得時効の成立を妨げない。
最高裁昭和33・9・10
厚生大臣の許可を受けないで物品(アイスクリーム)販売の目的をもって国民公園皇居外苑に立ち入ることは、軽犯罪法第1条第3二号前段にいう「入ることを禁じた場所に正当な理由がなくて入った」罪を構成する。
「国税通則法、国税徴収法、国税犯則取締法」
上記は租税手続法である。
税額の確定(国税通則法15条~26条)
更正の請求(国税通則法23条)ができる場合(最高裁平成15・4・25は否定、最高裁平成21・7・10は肯定)
申請などの拒否処分・不利益処分の理由附記(改正後の国税通則法74条の14第1項により、行政手続法8条(申請に対する処分理由の提示)・14条(不利益処分の理由の提示)が適用される。)
国税に対する不服申立前置主義(国税通則法75条3項、115条)(最高裁昭和57年12月21日、最高裁昭和59年6月28日、最高裁平成18・1・19)
国税の徴収
国税の徴収について、国税通則法36条以下が定めている。
納税の告知、第36条
督促、第37条
繰上請求、第38条
強制換価の場合の消費税等の徴収の特例、第39条
滞納処分、第40条
第三者の納付及びその代位、第41条
租税債権者についての債権者代位権・詐害行為取消権の準用、第42条
国税通則法26条
最高裁平成16・9・7、認定賞与と源泉徴収義務・納税の告知
 会社がその代表者に代わって同人の借入金の利息を支払ったことにより,その経済的利益に相当する同人に対する給与等(賞与)の支払があったことになって会社に源泉徴収による所得税の納税義務が客観的に成立したが,実際にされた納税の告知は,会社が同人に上記利息相当額を無利息で貸し付け,この貸付けに係る得べかりし利息相当額の経済的利益に相当する同人に対する給与等(役員報酬)の支払があったものとしてされたという場合につき,客観的に成立した納税義務及び自動的に確定していた税額の内容は会社に自明であったこと,強制調査に際して会社から要請があったため,上記賞与に当たる経済的利益のうち上記得べかりし利息相当額の限度で納税義務の履行を請求するものとして上記納税の告知がされたものであること,上記納税の告知により請求された金額は,納税義務が客観的に成立し自動的に確定していた税額に包含されるものであり,納税告知書に記載された所得の種類に食い違いがみられないことなど判示の事実関係の下においては,上記納税の告知は,適法である。
国税通則法65条4項の「正当な理由」
最高裁平成16・7・20、最高裁平成18・4・20、最高裁平成24・1・16は「正当な理由」を否定。
最高裁平成18・4・25(税理士の不正による事件)、最高裁平成18・10・24(外国親会社ストック・オプション事件)(同旨、最高裁平成18・11・16、最高裁平成19・7・6)は「正当な理由」を肯定。
更正の請求の排他的管轄(最高裁昭和39・10・22)
賦課課税方式を取る地方税について、国家賠償法による救済(最高裁平成22・6・3は肯定)
自動確定方式を取る国税(登録免許税)についての救済方法(最高裁平成17・4・14)
最高裁昭和45・12・24、源泉徴収所得税の「納税の告知」
一、源泉徴収による所得税についての「納税の告知」は、徴収処分であって課税処分ではない。
二、支払者は、源泉徴収による所得税の徴収・納付義務の存否または範囲を争って、納税の告知(徴収処分)に対する抗告訴訟を提起することができ、また、これにあわせてまたはこれと別個に、右徴収・納付義務の存否または範囲を訴訟上確定させるため、右義務の全部または一部の不存在確認の訴を提起することができる。
三、受給者は、源泉徴収による所得税を税務署長から徴収されまたは期限後に納付した支払者から、その税額に相当する金額につき求償権の行使を受けたときは、自己の負担すべき源泉納税義務の存否または範囲を争って、支払者の請求を拒むことができる。
四、源泉徴収による所得税を税務署長から徴収されまたは期限後に納付した支払者の受給者に対する求償権は、右所得税の本税相当額についてのみ行使することができ、附帯税相当額には及ばない。
青色申告の更正処分の理由附記の制度趣旨(最高裁昭和45・4・25)
青色申告の理由附記の程度(最高裁昭和60・4・23)
青色申告の更正処分の理由の差し替えの可否(最高裁昭和56・7・14は肯定)
「所得税法」
課税処分の無効(最高裁昭和48・4・26)
 都市計画法と租税特別措置法の関係(最高裁平成22・4・13)
第5章 警察法
「道路交通法」
交通反則金の納付の通告の処分性(否定、最高裁昭和7・7・15)
刑事事件判決により反則処分が当然に無効とはならない(最高裁昭和63・10・28)
道路の使用許可と集団行進(最高裁昭和57・11・16、最高裁昭和50・9・10)
優良運転者の記載のある運転免許証の交付を受ける更新処分についての訴えの利益(肯定、最高裁平成21・2・27)
「風俗営業法」
風俗営業の許可取消訴訟の原告適格(肯定例として最高裁平成6・9・27、否定例として最高裁平成10・12・17)
風俗営業の許可取消事由(最高裁平成12・3・21)
「食品衛生法」
食品衛生法21条違反と私法上の効力(有効、最高裁昭和35・3・18)
ただし、有毒物質が食品に混入していることを知りながら行う売買は無効である(最高裁昭和39・1・23)
「出入国管理及び難民認定法」
外国人について、外国人登録法が廃止され、外国人登録証の代わり、中長期滞在者には「在留カード」が導入された。住民基本台帳法が改正され、中長期滞在の外国人は住民基本台帳に記載される。(2012年7月施行)。日本人と同一世帯の外国人について、一元的管理ができ、行政サービス(国民健康保険、介護保険、国民年金、教育、各種手当など)ができるようになった。
出入国手続(第1章~第7章)
退去強制手続(24条)
入国警備官の違反調査
任意調査として27条が原則(28条1項ただし書)、
強制調査として31条(裁判官による臨検・捜索・欧州)
入国警備官による収容令書を発布して人身を拘束する収容(29条)、収容前置主義
(執行停止)
入国警備官から入国審査官への容疑者の引渡し(収容から48時間以内)
退去強制対象者に該当するかの審査
入国審査官の審理(47条)
特別審理官の口頭審理(48条)
異議申し出(49条)、不服理由を示す証拠資料の提示が必要である(施行規則42条)
異議申し出を受けた法務大臣の特別在留許可の裁決(50条) 「在留特別許可に係るガイドライン」
在留特別許可の申請権の有無(非申請型の義務付け訴訟、行政事件訴訟法3条6項1号)
(仮放免)
退去強制令書
本国への送還

難民認定(第7章の2)
不法入国・不法滞在であっても仮滞在許可を受けることができる(61条の2の4)
仮滞在許可を受けた者は退去強制手続が停止される(61条の2の4第2項)
仮滞在許可を受けていない社会保険についても、難民認定手続が継続している間は退去強制令書による送還の効力は停止される(61条の2の4第3項)。
特別永住者の特例
日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特別法22条1項
在留資格の更新と要件裁量
最高裁昭和53・10・4、マクリーン事件
一 外国人は、憲法上、わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されていない。
二 出入国管理令21条3項(現行は出入国管理法21条3項)に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断は「法務大臣の裁量に任されているものであり、上陸拒否事由又は退去強制事由に準ずる事由に該当しない限り更新を不許可にすることが許されないものではない。
三 裁判所は、出入国管理令21条3項に基づく法務大臣の在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断についてそれが違法となるかどうかを審査するにあたっては、右判断が法務大臣の裁量権の行使としてされたものであることを前提として、その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により右判断が全く事実の基礎を欠くかどうか、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により右判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、右判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものとして違法であるとすることができる。
四 政治活動の自由に関する憲法の保障は、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても及ぶ。
五 外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、在留の許否を決する国の裁量を拘束するまでの保障すなわち、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情として斟酌されないことまでの保障を含むものではない。
六 上告人の本件活動は、外国人の在留期間中の政治活動として直ちに憲法の保障が及ばないものであるとはいえないが、そのなかにわが国の出入国管理政策に対する非難行動あるいはわが国の基本的な外交政策を非難し日米間の友好関係に影響を及ぼすおそれがないとはいえないものが含まれており、法務大臣が右活動を斟酌して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断したとしても、裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものということはできない。
在留資格の不利益変更と信義則違反
最高裁平成8・7・2
出入国管理及び難民認定法別表第二所定の「日本人の配偶者等」の在留資格をもって本邦における在留を継続していた外国人につき、法務大臣が、右外国人と日本人である配偶者とが長期間にわたり別居していたことなどから、右外国人の本邦における活動は、日本人の配偶者の身分を有する者としての活動に該当しないと判断し、右外国人の意に反して、その在留資格を同法別表第一の三所定の「短期滞在」に変更する旨の申請ありとして取り扱い、これを許可する処分を行ったが、その後に、日本人である配偶者が提起した婚姻無効確認請求訴訟において、右婚姻関係が有効であることが判決によって確定した上、その活動は、日本人の配偶者の身分を有する者としての活動に該当するとみることができないものではないなど判示の事情の下では、右外国人がした「短期滞在」の在留資格による在留期間の更新申請に対し、これを不許可とした処分は、右外国人の在留資格が変更された経緯を考慮していない点で、法務大臣がその裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものであって、違法である。
退去強制手続と執行停止
最高裁昭和52・3・10
 外国人が退去強制令書によりその本国等に強制送還されても、日本において裁判を受ける権利(憲法32条)を否定されることにはならない
収容令書の執行停止
最高裁平成16・5・31
退去強制令書の収容部分の執行により被収容者が受ける損害は,当然には行政事件訴訟法25条2項に規定する回復の困難な損害に当たらない。
第6章 営業・事業規制法
「公衆浴場法」
職業選択の自由、条例との関係
最高裁昭和30・1・26
一 公衆浴場法(昭和25年改正後のもの)第2条第2項後段の、「公衆浴場の設置場所が配置の適正を欠くと認められる場合には、都道府県知事は公衆浴場の経営を許可しないことができる」旨の規定並びに昭和25福岡県条例3条の、公衆浴場の設置場所の配置の基準等を定めている規定は、いずれも職業選択の自由を保証する憲法第22条に違反しない。
二 同条例第3条ないし第5条の規定は、公衆浴場法第2条の範囲内で同法が例外的に不許可とする場合の細則を定めたもので、憲法第94条に違反しない。
第三者(既存の営業者)の訴えの利益
最高裁昭和37・1・19
既存の公衆浴場営業者は、第三者に対する公衆浴場営業許可処分の無効確認を求める訴の利益を有する。
競願関係
最高裁昭和47・5・19
一、 公衆浴場営業許可の申請が競願関係にある場合には、行政庁は、先願者の申請が許可の要件をみたすものであるかぎり、これに許可を与えなければならない。
二、 競願関係にある公衆浴場営業許可申請に関する先願後願の関係は、所定の申請書がこれを受け付ける権限を有する行政庁に提出された時を基準として定めるべきである。
開業阻止と国家賠償法
最高裁昭和53・3・26
個室付浴場業の開業を阻止することを主たる目的として原判示の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいてされた知事の児童遊園設置認可処分は、たとえ右児童遊園がその設置基準に適合しているものであるとしても、行政権の著しい濫用によるものとして、国家賠償法1条1項にいう公権力の違法な行使にあたる。
「旅館業法」
「宅地建物取引業法」
規制権限の不行使と国家賠償法(否定、最高裁平成1・11・24)
「道路運送法」
個人タクシー許可と公正手続(最高裁昭和46・10・28)
公聴会と行政手続の公正(最高裁昭和50・5・29)
 運賃変更の許可の裁量(最高裁平成11・7・19)
道路運送法に関する私人間の協定の効力(否定、最高裁平成1・11・24)