「Aさんは、これやって!Bさんは、こっち。Cさんはあれをやって下さい!」
彼は、この秋に店長になったばかり。ランチタイムを迎えると張り切って店内の各ポジションにスタッフを配置し、きめ細かくやる事を指示していました。パート・アルバイト達も彼からの指示を受けて、そのポジションに付き、ランチタイムの忙しさをスムーズにこなしていました。
しかし、ある日、事件が起きました。その日彼は、そろそろランチタイムのポジションを決め、指示を出そうと思ったその時、電話が鳴りました。電話はお客様からのクレーム。しかも怒り心頭のご様子で、電話はなかなか終わりません。そうこうしているうちにランチタイムになりました。しかし電話は未だ終わりません。店長からの指示が無いままランチタイムに入ったお店は、もう大混乱。ようやく電話を終えた店長は急いでホールに出ましたが時既に遅し、全くリカバリーが出来ないままランチタイムは終わりました。全くと言って良いほどスムーズにまわらなかったお店は、いつもより3割も売上げを下げる結果になってしまいました。きっとお客様の印象も悪かったことでしょう。
さて、これはいったい何が原因だったのでしょうか?そして、この事態を改善するにはどうすれば良いのでしょうか?
答えはひとつです。店長が「ひとを使っていた」からです。だから、ひとは使わずに「ひとを活かせば」全てが解決するのです。
店長は、ランチタイムをスムーズにまわすために自分で何もかも決めて、それをスタッフに指示していました。しかし、いざ店長が指示できない状況になると、司令官を失ったスタッフ達はもう右往左往、たちまち店は大混乱となったのでした。
最初はいいのです。全部店長が決めて細かく指示を出せば良いのです。しかし、いつまでもそうしていたら、スタッフ達はただの指示待ち族。店長が指示しなければ何も自分達で決められないチームとなってしまいます。
この店のスタッフ達がまさしくその状態でした。店長は、スタッフ達を使っていました。スタッフ達も店をきちんとまわすだけの技術を持っています。しかし、店長のコントロールによって、その指示が無いと動けない「自分では考えない」スタッフになってしまっていたのです。
活かすとは、主体性を育てていくこと。育つとは成長すると言うことです。小さな決め事も自分達で作っていくことで、主体性はどんどん育っていきます。しかし、ひとは「使われる」ことで、その指示者のコントロールが無いと動けなくなると言う恐ろしい性質を持っています。
新人店長は、別に無責任や独裁的なリーダーであったわけではありません。ただただ、自分がそのようにコントロールした方が店はスムーズにまわると教えられ、そう信じていただけのことです。確かにその方がスムーズにまわるのかも知れません。しかし、ひとは育ちません。だって、活かされていないのですからね。
この事件があってから、この店長は、「ほんの小さな決めごと」も出来るだけスタッフで決めるようにして行きました。資材の置き場、ナプキンのたたみ方、楊枝のセットの仕方などなど・・・そして、ランチタイムのスタッフのポジショニングまでも、スタッフ同士で決めるようにして行きました。その結果、多少のドタバタはあるにせよ、そのドタバタも自分達で解決しようと活き活きと動くスタッフ達の姿がそこにありました。
ひとを使っていると、いつまでもひとは使うひとの指示を待ちます。
ひとを活かせば、ひとはどんどん成長します。
それには、「自分達で決める」と言う習慣を持たせること。
そして、あなたは黙ってみている。
ただ、それだけのことなのです。
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