「私は、飲食業界は経験が長いです。〇〇にも勤務していました。少し時間を頂ければすぐに全部まかせて頂いても大丈夫ですよ。」
新人店長にとって、パート・アルバイトの新規採用は極めて重要な意味を持っています。しかし、多くの新人店長は、即戦力の業界経験者を採用しがちです。あなたが、着任したこのお店を短い期間で自分の店にしたいのならば、ベテランの経験者を採用してはなりません。
人材が不足し、右腕が欲しいあなたは、ベテランの経験者が欲しくてたまらないでしょう。しかし、その人はあなたの右腕にはなってくれません。むしろ、あなたのいないところで、あなたの邪魔をする可能性が高いのです。悲しいけれど、それが現実です・・・世の中、そんなに都合良く、ベテランの経験者があなたの頼りになる右腕にはなってくれませんよ。その人に、本当に力があるのならば、前の店を辞める必要は無かったでしょ?
以前、ある新人店長が採用したのが、冒頭のベテラン経験者でした。その人は確かに業界が長いこともあって、その店の仕組みを理解すると、テキパキと仕事をこなしていきました。スタッフ不足だったその店にとってはとてもありがたく、既存のスタッフからも一目置かれる存在となって行きました。
しかし、ある時期から徐々に、雲行きが怪しくなってきたのです。店長がこだわっている接客時の丁寧な挨拶やお客様への細かいケアーをめんどくさがってやらなくなったのです。「忙しいときにそんなことやってたら、店が廻りませんよ~ピーク時はさばいてナンボじゃあ無いですか。」と、聴く耳を持ちません。店長の想いやこだわりを守っていたスタッフ達も徐々に、そのベテラン経験者に感化され、作業が雑になって行ったのです。
お店が、そんな状態になって行ったとき、ある常連のお客様から店長は叱られました。「最近みんな雑になってるわね。この店は、いくら忙しくてもみんな笑顔で丁寧に応対してくれるから気に入ってるのよ。今のような雑なサービスをするのならもう来ないわよ!」
採用したベテラン経験者のお陰で、シフトが埋まり、ピークタイムも店が廻るようになっていました。しかし、こだわりを持ってやってきた丁寧なサービスは、消えてしまっていたのです。店長はわかってはいましたが、彼にへそを曲げられるとまずいと感じ、つい妥協をしてしまったのです。
自分の弱さを反省した店長は、彼と話し合いを持ちました。しかし、納得しなかった彼は、結局店を去って行きました。彼は辞め際に「こんな効率の悪いことをしていたら、いずれ店はつぶれますよ!」と吐き捨てるように言いました。でも、店長は「これで良かったんだ。もう一度サービスの根本からやり直そう!」と決心したのでした。
新人店長であるあなたは、今いるスタッフを育てて行きながら、未経験の真っ白な新人を採用し、あなたの考えを毎日毎日伝授していくのです。最初は時間が掛かるでしょう。しかし、あなたがゼロから手塩にかければ、その新人はあなたがこの仕事での手本です。そして、その内にあなたの右腕になります。
あのベテラン経験者も、もしかしたらそうやって育てられてきたのかも知れません。しかし、この店の店長の考えとは違いました。彼は自分に合う店を探さない限り、行く店行く店で店長との軋轢を生んでしまうことでしょう。
ベテランの経験者を雇うことは、決して近道ではありません。
同様に、ずぶの素人を雇うことは、決して遠回りでも無いのです。
急がば回れ・・・・なのです。
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