米国:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?3(4) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?3(4)

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米国特許判例紹介:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(3)(第4回) 
〜組み合わせ自明に関する教科書的事例〜

   Agrizap, Inc.,
   Plaintiff-Cross Appellant,
     v.
   Woodstream Corp.,
   Defendant-Appellant.


河野特許事務所 執筆者 弁理士 河野英仁 2008年6月9日


4.CAFCの判断
予期できる効果以上のものでない限り、公知の方法に関連するありふれた要素の組み合わせは、自明である。
 先行技術1と636特許とは、高電圧発生器を起動するためのスイッチの形式が相違するにすぎない。636特許は、先行技術1に採用された機械的な圧力スイッチを単に電気的なスイッチに置き換えたものである。

 Dye特許及びMadsen特許に記載されているように、高電圧発生器を動作させるためのスイッチとして動物の体を使用することは公知の技術である。

 また、636特許と同じく、Dye特許及びMadsen特許中には、機械的スイッチが埃及び湿気等により誤作動する問題があることから、電気的なスイッチを採用するとの記載もあった。

 原告は本件特許に係る駆除装置の商業的成功、及び、当該駆除装置分野における長期間未解決であった必要性(long felt need)等の2次的考察に係る証拠を提出した。

 しかしながら、CAFCはこれらの2次的考察に係る証拠を考慮したとしても、先行技術1及びDye特許等の存在、及び、636特許が先行技術に対して予期せぬ効果を奏するともいえないことから、強力な一応の自明性(prima facie case of obviousness)を覆すことはできないと判示した。


5.結論
 CAFCは、自明であるとの被告側主張を否定した地裁の判決を取り消した。 (第5回につづく)