- 西田 淑子
- サクセスインサイド・コミュニケーション 代表・コミュニケーショントレーナー
- 大阪府
- ビジネスコーチ
対象:仕事・職場
- 須貝 光一郎
- (ビジネスコーチ、経営者コーチ)
- 阿江 忠司
- (ビジネスコーチ)
ホテルや旅館の食品虚偽表示は、阪急阪神ホテルズで明らかになり、近鉄ホテルシステムズ、近鉄旅館システムズ、でも明らかになりました。
それから、そこだけにとどまらず、高島屋、オークラ、帝国ホテル大阪、JALホテルズ、大丸松坂屋、丸井グループ、などでも明らかになっています。
かつてとあるホテルマンに聞いたことですが、お節料理の材料表に表示した、フレンチキャビアが、お客さんから「キャビアではない」と苦情がきたことがあったそうです。フレンチキャビアというは、マスの卵、日本では、イクラ、と言われているものです。が、当時は、どころか、今でもフレンチキャビア、という名称は一般的ではありません。
キャビアと付けば、チョウザメの黒い卵だし、オレンジ色の真珠ほどの大きさの魚卵はイクラです。だから、キャビアに、フレンチ、という名称が付いていても、それが、イクラのことだと認識できる人が、どれほどいるのでしょうか。
結局、「キャビアではない」と言ってきたお節料理の購入者は、割合にすればわずかな人数だったにも関わらず、そのお節料理を購入したお客さん全員に、チョウザメのキャビアと菓子か何かを持って、お詫びに自宅まで行ったそうです。余計な費用がずいぶん掛かったものです。
そのホテルは、最初から、イクラ、と表示すれば、無用なトラブルや誤解を起こさなかったのに、なぜわざわざ、イクラ、を馴染のないフレンチキャビア、と表示したのか、と尋ねてみると、「料理長がそう表示するように指示したから」という事でした。当時の料理長の意図で、私が聞いて覚えている内容は「キャビアはフランスでは魚卵の総称で、イクラもタラコもキャビアという。イクラは、フランス料理ではフレンチ・キャビアと言うから、正しいのだ」という説明でした。随分前の事ですし、あくまでも、私の記憶です。
それにしても、お客さんの理解を得ることよりも、フランス料理での正しさのほうが大事だと感じさせる内容でした。
私が話を聞いたとあるホテルマンは、料理長ではなく、レストランの責任者でした。その彼が、料理長に、「フレンチキャビアでは、お客さんが誤解をする可能性があるので、イクラと表示してはどうか」と提案することもできたはずです。いえ、もしかしたら「フレンチキャビア(イクラ)」と表示してあったのかもしれません。しかし、結果として間違いなく誤解をしたお客さんがいた、というのは事実です。
レストランの責任者の彼は、「料理長には逆らえない、料理長が決めたことは絶対なんだ」とも言っていました。かつてのホテル業界には形骸化した上下関係が、つい最近まで残ってたことが、今回の食品虚偽表示を招いた要因の一つではないかとも思います。
(次回に続く)
このコラムに類似したコラム
ホテルや旅館の食品虚偽表示 2 西田 淑子 - ビジネスコーチ(2013/11/24 16:38)
ホテルのメニュー誤表記、偽装について 西田 淑子 - ビジネスコーチ(2013/11/03 15:56)
成果は自分、責任は他者・・・ 須貝 光一郎 - ビジネスコーチ、経営者コーチ(2012/01/19 22:49)