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対象:特許・商標・著作権
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北京市高級人民法院特許権侵害判定指南の解説(第2回)
2013年12月20日
執筆者 河野特許事務所
弁理士 河野英仁
5.均等論
均等侵害については司法解釈によりその定義が明確化されている。
司法解釈[2001]第21号第17条
専利法第56条第1項にいう「発明特許権又は実用新型特許権の技術的範囲は、その権利請求の内容を基準とし、説明書及び図面は権利請求の解釈に使うことができる」とは、権利の技術的範囲は、権利請求書の中に明記された必須技術特徴により確定される範囲を基準とすることを指し、それには当該必須技術特徴と均等の特徴により確定される範囲も含むものとする。
均等な特徴とは、記載された技術的特徴と基本的に同一の手段により、基本的に同一の機能を実現し、基本的に同一の効果をもたらし、且つ当該領域の普通の技術者が創造的な労働を経なくても連想できる特徴を指す。
指南では当該司法解釈の詳細について以下のとおり言及している。
(1)同一の手段
侵害行為時以前に置換可能であり動作原理が基本的に同一である場合、基本的に同一の手段と判断される。また出願後に出現した動作原理が異なる構成でも、侵害行為時に当業者が容易に連想できる場合は、基本的に同一の手段と認定される(指南第44条)。
44.基本的に同一な手段とは、一般に訴えられた権利侵害行為の発生日より前に、特許が属する技術分野で常に入れ替えられる構成要件及び動作原理が基本的に同一な構成要件を指す。 出願日後に出現する、動作原理が特許の構成要件と異なる構成要件は、訴えられた権利侵害行為の発生日に当業者が容易に連想できる代替的な特徴に属する場合、基本的に同一な手段と認定することができる。 |
(2)同一の機能
同一の機能とは請求項に対応する構成要件に基づく作用と、代替手段により起こる作用とが基本的に同一であることとされている(指南第45条)。
45.基本的に同一な機能とは、権利侵害で訴えられた技術方案中の代替的な手段によって起こる作用が請求項の対応する構成要件の特許技術方案の中で起きる作用と基本的に同一であることを指す。 |
(3)同一の効果
同一の効果については両者の技術的効果に実質的相違が無いことをいう(指南第46条)。従って、代替手段により奏される技術的効果が、明らかに向上、または、低下している場合は、実質的相違があると判断される。また代替的手段により予想外の技術的効果を生じる場合も均等侵害と認定されない(指南第53条)。
46.基本的に同一な効果とは、一般に権利侵害で訴えられた技術方案中の代替的な手段によって達成される効果と、請求項の対応する構成要件の技術的効果とに実質的相違がないことを指す。 権利侵害で訴えられた技術方案中の代替的な手段について、請求項の対応する構成要件と比べて、技術的効果の面で明らかな向上又は低下に該当しない場合は、実質的相違がないものと認めなければならない。 53.請求項と権利侵害で訴えられた技術方案に多くの均等な特徴が存在し、それらの多くの均等な特徴が重なることで、権利侵害で訴えられた技術方案について、請求項の技術的構想とは異なる技術方案が形成された、又は権利侵害で訴えられた技術方案が予想外の技術的効果を獲得した場合、一般に均等侵害を構成すると認定することは望ましくない。 |
(4)創造的な労働を経なくても連想
創造的な労働を経なくても連想できるとは、特許の構成要件を代替的手段に置き換えることが当業者にとって明らかに分かる程度であれば足り、創造性(進歩性)があることまでは要求していない(指南第47条)。
47.創造的な労働を経なくても連想できるとは、すなわち、当業者が権利侵害で訴えられた技術方案中の代替的な手段と請求項の対応する構成要件とを相互に入れ替え可能であることが明らかに分かることをいう。 |
(5)均等の判断時期
均等か否かの判断は侵害行為時である(指南第52条)。
52.権利侵害で訴えられた技術方案の構成要件と請求項の構成要件が均等であるか否かを判定する時間点は、訴えられた権利侵害行為の発生日を境界としなければならない。 |
(6)機能的クレームの均等判断と判断時期
機能的クレームの場合、代替品が同一の機能を発揮し、かつ、実施例に記載された構造、ステップと均等である場合、均等侵害と判断される。なお、当該判断の基準は特許出願日となる(指南第54条)。
54.機能的特徴を含む請求項について、権利侵害で訴えられた技術方案の相応する構成要件が同一の機能を実現するだけでなく、該機能を実現する上での構造、ステップが特許明細書に記載された具体的な実施方式で確定された構造、ステップと均等である場合、均等な特徴を構成すると認定しなければならない。 上述の均等の判断の時間点は特許出願日とするものとする。 |
(7)パラメータ特許と均等侵害
パラメータ特許に関し、イ号製品の数値が請求項の数値と相違する場合、原則として均等侵害は成立しない。ただし、技術的効果に実質的相違が無いことを特許権者が立証した場合、均等侵害が認められる(指南第55条)。
55.数値範囲を含む特許技術方案について、権利侵害で訴えられた技術方案が使用する数値が請求項に記載された相応する数値と異なる場合、均等を構成すると認定すべきではない。 但し、権利侵害で訴えられた技術方案が使用する数値に、技術的効果において、請求項に記載された数値と実質的相違がないことを特許権者が証明し得る場合は、均等を構成すると認定しなければならない。 |
→第3回へ続く
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