偽装が続くわが国で、正直なビジネスは無理なのか? - 独立開業全般 - 専門家プロファイル

中山おさひろ
東京都
起業コンサルタント

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対象:独立開業

尾崎 友俐
尾崎 友俐
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2025年05月18日更新

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偽装が続くわが国で、正直なビジネスは無理なのか?

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 食材偽装を発表した、阪急阪神ホテルズとザ・リッツ・カールトンに、消費者庁が初めての立ち入り検査を行いました。景品表示法違反として立証されるか、どうか、大手飲食店の多くは気が気でないと思います。この食材偽装が公になったとき、わたしは以前読んだ「人を呼び込む大事な考え方と仕掛け方」と言う本を思い出しました。

 わたしの場合、速読ではなく本は読み込む方なので、週に精々2、3冊しか読めません。しかも、新刊本ばかりでなく以前の本の読み返しをしますから、読書本の数はそんなに多くないです。この本は、07年に食品偽装が大問題になったとき、集客のプロが「正直にビジネスをする方法」を書いて話題になりました。

 食材偽装が問題になっている現在も、この本の趣旨は生きていますし、大事なことです。「持てる体力以上の負担、実力をはるかに超えた背伸び、本当の姿ではない飾り立てで人を呼び込もうとすると、自らが時限爆弾を抱えるようなものです」 偽装ばかりでなく、背伸びをした店舗経営は、結局自滅へ進むことになります。

 この本の要旨は、「良好な呼び込みなくして繁栄はありえない」から始まり、人を呼び込む鉄則が書かれています。「人を呼ぶ込む感性」、「呼び込みたい顧客を絞り込む」、「価値観の一致した顧客を見つける」など、顧客作りのための鉄則を説明します。その上で、質のよい顧客とつながる方法へと展開します。

 現代は、上質客ほど呼び込みやすい時代になっているとして、正直な売り手の生き方は顧客に追いかけられるビジネスを目指します。ここから、正直にビジネスすることが、上質客を呼び込むためには重要であることを説いています。最後は、正直こそ今の時代のキーワードで、正直者がトクする時代になったと言っています。

 ちょうど、賞味期限切れ商品を販売した食品会社が続出しましたから、この本はとても注目されました。本の中には、上質客を呼び込むための正直スケールという、レーダーチャートまで用意されています。ここまで正直に拘った集客のプロをそれまで見たことがなかったので、とても記憶に残っていました。

 既存の経営者が、ここまで正直に拘ったビジネスができるのか、少し不安に思ったのも確かです。この著者にコンサルティングを受ける経営者がいるのかです。今回の食材偽装でも、この著者は注目されているだろうとネットで調べてみました。ところが、この著者自身が今度は会員制美容サロン事業を始めていました。

 ネット上の記事によりますと、毎日新聞が取り上げたようですが、全国の理美容経営者から6億円を集めて事業停止したとか、ご自身の書籍をネタに資金集めをしているとか、正直者の時代到来を見越して書籍を書いた集客プロとは思えない話ばかり。理想をビジネスにするのは、やはり無理なのでしょうか。

【一言】
 この本で最も心を惹かれたのは、「お客さんを追いかけない、追いかけられるビジネス」です。これは、起業する人にとっては、とても大事な考え方のように思います。正直なビジネスを提唱して、コンサルタントとしては成功しても、事業開業で失敗したのか。コンサルタント自体が難しかったのか、ビジネスの内容を知りたいと思います。それにしても、残念な話でした。


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