第4章 裁判官はなぜ怒ったのか(14) - 刑事事件・犯罪全般 - 専門家プロファイル

羽柴 駿
番町法律事務所 
東京都
弁護士

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対象:刑事事件・犯罪

閲覧数順 2024年04月23日更新

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第4章 裁判官はなぜ怒ったのか(14)

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(第14回)                

 これまで頑固に弁護人の立ち会いを拒んできた検察官も、裁判官の指示には逆らえず、ようやく私の立ち会いを認め、実況見分が実施されることになりました。
 この実況見分は、これまでの捜査では不十分だったところの、運転席からの見通し状況を詳細に確認する作業が中心でした。警察が準備してきたK子ちゃんとほぼ同じ身長のダミー人形を推測されるK子ちゃんの足跡にそって移動させ、ダンプカーに乗ったY運転手の肉眼あるいはサイドミラー、アンダーミラーでどこまで見えるか、見えないかを各地点ごとに推定、確認していったのです。公判が開始されてからこのような再度の実況見分を行うのは異例の事で、そのこと自体、起訴前の捜査が不十分だったことを物語っていました。
 
図5は事故直前にダンプカーが後進右折して停止した際の車体と関係者の位置関係です。車体右後ろのアの地点にK子ちゃんがいたのを甲地点のCさんが見ています。その時の母親の位置はA地点で、車体に邪魔されてK子ちゃんの位置から母親は見えません。

K子ちゃんが飛び出したとBさんが証言した位置(イ地点)はア地点から直線距離で11.85メートルあります。ア地点からイ地点方向へダミーを図5のようにA、B、C、Dと順次移動させて運転席右側サイドミラーでの見通しを確認してみると、A、B、Cまではダミーは見えますが、D地点まで来るとほとんど見えません。又ダミーをC地点で塀よりにずらすとほとんど見えなくなります。又ダンプカーが停止した位置から3.5メートル前進させた地点では、運転席から肉眼でイ地点のダミーはピラーの陰で見えにくくなります。同じく停止した車体から4メートル前進させた地点では、運転席から肉眼でイ地点のダミーの胸から上が見えます。この場合、イからダミーを衝突地点(図5の×地点)へ移動させると68センチメートル移動したところで死角に入り見えなくなります。
                         
                                    (次回へ続く)