H君のこと①（カンナを咲かせることは子どもたちが自分の花を咲かせること）

５年生　H君のこと


２０１３年夏

滋賀県大津市でH君に出会った

H君は５年生　

いつも先生に呼び出されるという「ちょっとやんちゃ」な男の子

出逢ってすぐ一緒にお昼ご飯を食べた

カンナの話になる

来年は広島に修学旅行に行くということから

興味津々で聞いてくれた

「俺な　学校にもな　カンナ咲かせるわ」

滋賀の優しいイントネーションの中に「やる気」を感じた

「俺な　校長と知り合いやし」

みんなで大笑いした

しかし本人はおおまじめだった


「もしやるなら全面的に協力するね　なんでも質問に答えるね」　と私

いつもは集中力のまるでないH君（お母さん談）

「カンナちゃん作りも途中で投げ出すはずや」とお母さん


ところが誰よりも早く２時間で仕上げてしまったのだった

H君と出来たばかりのカンナちゃん


確かに　途中何度か投げ出しそうな危機はあった

しかし　私の話をよく聞きながら頑張った

H君のカンナちゃん

それどころか　後日　２つ目のカンナちゃんを作ってしまったのだ

H君のカンナちゃんの妹

翌翌日

H君たちが案内してくれた滋賀県

延暦寺にも行きました

絵馬を見て

「これ　なに？」と

「絵馬と言うの　願いことをかくのよ」

「俺　書きたい！」

「じゃあ　　プレゼントするから書いてね」

何のためらいもなく書いた

「世界中にカンナの花がたくさん咲きますように！H」

自分のことではない　もっと大きな心で書いたH君

なんてすばらしいのでしょう！

大きな志だと感じた

私の話を短い時間の会話の中

でちゃんと捉えてくれていたのだ

実は翌日　校長先生にプレゼンすることになっていたのだ

普通の人なら明日のプレゼンの成功の願いを書くだろう


私は感動した


絵馬なので　写真を撮るのはさすがに控えたが

思い切りいい字でバランスよく書かれた絵馬はH君の心だった


案内してくれたH君とY君

暑い暑い一日だった

汗で着ているものは　びっしょりだった

そんな中

ひとつ年下のY君の面倒もよく見ていた

心根のやさしいH君だった

「俺な　明日のプレゼンの言葉考えて書いたんや　見て！見て！大丈夫やろか・・・」

短い言葉だったが　カンナのポイントはよくつかんでいた

「いいよ！すばらしい！　　暗記しても　読んでもいいからね　H君の気持ち伝わるよ」

そう伝えながら

『明日のプレゼンが成功しますように』

私は心の中で　祈った


つづく