単価を下げることに関して、受け入れるべきか、撥ねつけるべきか、経営者は悩んでいました。わたしの予測では、国内に同様の部品を作れる会社はあまりないはずで、撥ねつけても注文はあると踏んでいます。ただ、この経営者の会社の弱みは、現在取引している会社が3社しかないことです。しかも、この大手メーカーとの取引が6割近くを占めています。
製造業の下請けの場合、以前は取引先の親会社が1社だけと言うケースも、珍しくない時代が長かったです。あまりのリスクの高さに、親会社の方から取引先を増やすように指示するほど、金銭的にも精神的にも依存の強い時代が長かったです。その後、下請会社は何度も荒波を受け、今では取引会社を増やし、経営リスクを減らす努力をしています。
起業した人の中には、製造業ではなくても、取引先に依存している会社があります。建設の内装工事を行っているような場合、起業当初は自分で仕事をとる実績がないため、取引先から仕事を回してもらうようなことがあります。IT関連でも、HP作成や運営で、取引先の下請け仕事をあてにして、起業する人もいるほどです。
要は起業する人の考えかたですが、できることなら起業するときに苦労しても、お客さんは自分で一社でも多く、一人でも多く作るべきです。下請け仕事は麻薬のようなもので、手っ取り早く売上げを上げることができます。その代わり、いつまで経っても自立できない状態が続きます。派遣社員などと同じで、仕事が多いときの安全弁の役割です。
不況になりますと、とたんに仕事はなくなります。その時点から、お客さん作りをするのはたいへんです。大半の会社は、あっけないほど簡単に倒産することになります。起業では、単に売上げが増えればよいわけではありません。その裏づけとなる、しっかりしたお客さんを、少しでも多く作っておかなくてはなりません。
【一言】
日本は、大手企業の下請けいじめが横行しています。米国では、このような取引先に対するいじめはないのか、たいへん関心がありました。スタッフに調べてもらったら、「米国に取引先へのいじめはまったくない」の返事でした。その理由は、取引に関してはそのたびに契約書を交わすため、契約にないことを要求すると、裁判沙汰になるようです。日本でも、国が取引に関する契約書の作成を義務付ける必要がありそうです。
このコラムに類似したコラム
統計のマジックに騙されないビジネスの勧め 中山おさひろ - 起業コンサルタント(2014/02/27 20:23)
森元首相にみる、恥をかくことがなくなった中高年は要注意 中山おさひろ - 起業コンサルタント(2014/02/26 20:24)
森元首相にみる、恥をかくことがなくなった中高年は要注意 中山おさひろ - 起業コンサルタント(2014/02/26 20:24)
カネからヒトに流れが変わったことで 中山おさひろ - 起業コンサルタント(2014/02/24 20:28)
カネからヒトに流れが変わったことで 中山おさひろ - 起業コンサルタント(2014/02/24 20:28)