■建築家は芸術家??
建築家ということば。
この言葉から連想されるのは何だろうか?
いわゆる芸術家のイメージを連想する。
芸術家が創り出すものは「作品」というもの。
作品は建築物にもある。
では、住宅は作品なんだろうか?
建築家が設計した住宅は自らは住まない。
だから、住み手にとってはその芸術作品に住む。
デザイン、色、形、住宅の構成要素は住み手の好みにならない場合が多い。
その点をよく理解して自分の住まいを建築家にお願いすべきだろう。
■建築家の住宅
さて、建築家が設計した住宅。
誰もがあこがれるものだ。
外観や内部のデザイン、色、形、すべてがカッコイイと…
ただ、住まい手の希望はどこまで加味されるのか?
建築家は住み手との相性が重要だ。
住み手はモダンなイメージが嫌いでも、建築家がモダンなものを好むと相性が悪い。
最悪は喧嘩になる。
最近では、この「建築家と作る家」が多くなっている。
住宅会社とタイアップしたビジネスモデルだ。
通常、建築家は住み手から設計の委託契約を結び、工事の見積までも取るのが一般的だ。
しかしながら、建築家の敷居の高さから住み手は直に建築家には頼みずらい。
そこで、考え出されたのが「建築家と作る家」と称して住宅会社が売り出すことに。
ただ、こうしたケースにはさまざまなトラブルになる可能性がある。
以前、日経ホームビルダー2010年の12月号(*)にも掲載されたが、住宅会社が協働する設計事務所との間で、設計責任の所在や範囲をあいまいにするとトラブルが多くなる。
よくあるのは、設計段階のみ設計事務所、建築家が行い、施工は住宅会社が行うという場合。
たとえば、設計段階の打合せが何らかの理由で現場に反映されない。
となると、設計と施工、それぞれの立場で責任のなすりあいが起きる。
つまり、設計事務所は監理業務まで行わないため、現場に入ればある意味、関知しない。
そのため、監理は施工者側だから責任は負わないとなる。
■建築士法の重要事項説明義務
設計業務にも不動産取引のように重要事項説明義務がある。
HMでもこれは行っている。
契約時に建築士が自らのライセンス書面をもって、この重要事項説明に当たる。
そのため、住み手は請負契約の説明、建築士法による重要事項説明を受ける。
しかも、一級建築士などが契約に同行している。
これには耐震偽装事件を契機にできたものだ。
きちんと設計士が設計しますよ、とか、設計の報酬はいくらですよ、など。
こうした説明を行わない場合には建築士法違反で業務停止処分ということもある。
設計者は住み手に設計の業務体制や責任の所在が明確になるように、説明する義務があるからだ。
*日経ホームビルダー2010年12月号P.81「クレームに学ぶ」参照
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このコラムの執筆専門家
- 寺岡 孝
- (東京都 / お金と住まいの専門家)
- アネシスプランニング株式会社 代表取締役
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