- 菊池 猛
- 株式会社 アイジーコンサルティング 不動産インスペクション課 課長
- 静岡県
- 中古住宅専門家
対象:住宅検査・測量
- 伊藤 裕啓
- (一級建築士)
- 伊藤 裕啓
- (一級建築士)
内部結露を発生させる断熱工法
昔の日本の家は、小さな竹を組んで土壁で仕上げていたため、壁自体に調湿性能や断熱性能がありました。
そのため、壁内で木が腐ることなく、百年、二百年と長持ちしている古民家が今でも日本中に数多く実在しているのです。
しかし、昭和40年代頃から急激に日本の住宅環境が変わってきました。
プレハブ住宅や海外から輸入されたツーバイフォー工法が普及するとともに、今までの日本の住宅になかった「断熱材」が急速に普及し始めたのです。
「隙間のない暖かくて快適な家」が日本人の心をつかみ、高気密、高断熱の家へと進化していきます。
しかし、中途半端に施工された断熱材は、壁内の通気性を防ぎ、内部結露を誘発します。その結果、壁の中が結露して柱や土台などの構造体が腐って住宅の寿命が著しく短くなってしまったのです。
内部結露
壁の中で結露が発生する現象。
結露が発生しても気づかないことが多く、構造体を腐らせ、建物の強度低下や寿命の低下につながります。
この昭和40年以降を境に、日本の建築は千年以上の永きにわたりその中の収蔵品を無事に保存している「正倉院」が長持ちした理由とは逆の方向に向かってしまったのです。
木を腐らせない正しい施工をすれば、百年、二百年は優に長持ちする家を造ることが出来るのです。
それでは、壁内の結露を防止するにはどうしたら良いのでしょう?
実は、壁内の結露が発生する原因ははっきりと解明されています。
原因が解明されているのであれば、防止するのは簡単なはずですが、ある程度のコストがかかることが理由なのか、その知識すらない業者なのか、なかなか完璧に対策している業者が少ないというのは大変残念に思います。
結局のところ、家を長持ちさせる=木を長持ちさせる「耐久性」、すなわち結露防止よりも、見た目や機能性、価格を優先してしまっているのでしょう。
それとも、わざと戦略的に長持ちさせないようにしているのかとさえ思ってしまいます。
皆さんご存知のように、日本はこれだけの技術国であり、輸出国でありながら、家は輸出されていません。
そして、サイディングや合板フローリングやドアなどの、日本の住宅にほとんど使用されている新建材も、全く輸出されていません。要するに、住宅産業分野においては、海外ではさすがの日本もまったく相手にされていないということです。
工業製品を多様に使うことで、呼吸しない家になってしまっているのです。つまり、日本の気候風土に適した素材(建材)を使用していないから、30年未満という短命になってしまったのです。
ここで、業者選びのポイントをひとつ追加させてください。
それは、『本物を追求している業者』ということです。
耐震の知識や実績のみならず、住宅の総合的な知識を持ち本質から改善提案をしてくれる、知、行ともに一致しているこだわりのある業者です。
もちろん、自分の命を守るための耐震リフォームが一番優先順位が高いのですが、その場しのぎのリフォームをすることは、将来自分の首を絞めることになるばかりか、子供や孫に「不良資産」を残すことと同じだと思います。
逆に、長持ちする家にリフォームした場合、「資産」として残せるばかりか、子供や孫の世代の家計の出費から住宅ローンをなくしてあげることも出来るのです。
耐震リフォームをきっかけに、「次世代に引き継がれる家」「資産価値のある家」に生まれ変わらせることが出来れば、本当の意味で「地球環境に優しいエコ」にもつながるのではないでしょうか?
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