労働契約法の平成24年改正(有期労働契約の雇止め) - リストラ・不当解雇 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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対象:労働問題・仕事の法律

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労働契約法の平成24年改正(有期労働契約の雇止め)

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労働契約法の平成24年改正

施行期日:下記2については平成24年8月10日(公布日)。
下記1については平成25年4月1日。

「労働契約法の一部を改正する法律」が平成24年8月10日に公布された。今回の改正では、有期労働契約について、下記のルールを規定していう。
有期労働契約とは、1年契約、6か月契約など期間の定めのある労働契約のことをいう。パートタイマー、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託など職場での呼称にかかわらず、有期労働契約で働く人であれば、新しいルールの対象となった。
有期労働契約は、いわゆる正社員以外の労働形態に多く見られる労働契約の形式である。有期労働契約で働く人は全国で約1,200万人と推計される。
有期労働契約で働く人の約3割が、通算5年を超えて有期労働契約を反復更新している実態にあり、その下で生じる雇止めの不安の解消が課題となっていう。また、有期労働契約であることを理由として不合理な労働条件が定められることのないようにしていく必要もある。
労働契約法の改正は、こうした問題に対処し、働く人が安心して働き続けることができる社会を実現するためのものである。
(なお、派遣社員は、派遣元(派遣会社)と締結される労働契約が対象となった。)

1 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(労働契約法18条)
同一の使用者との間で、有期労働契約が通算して5年を超えて反復更新された場合(※1)は、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)(※2)に転換させる仕組みを導入する。
(※1) 原則として、6か月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の契約期間を通算しない。
(※2) 別段の定めがない限り、申込時点の有期労働契約と同一の労働条件。
※ 通算契約期間のカウントは、平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象である。平成25年3月31日以前に開始した有期労働契約は通算契約期間に含めない。


①申込み…平成25年4月1日以後に開始した有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合、
その契約期間の初日から末日までの間に、無期転換の申込みをすることができる。
すなわち、有期労働契約の無期転換は、平成30年4月1日以降、問題となる。
②転換…無期転換の申込み(①)をすると、使用者が申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約(③)がその時点で成立する。無期に転換されるのは、申込み時の有期労働契約が終了する翌日からである。
①の申込みがなされると③の無期労働契約が成立するので、②時点で使用者が雇用を終了させようとする場合は、無期労働契約を解約(解雇)する必要があるが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」には、解雇は権利濫用に該当するものとして無効となった。

③無期労働契約…無期労働契約の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一となった。別段の定めをすることにより、変更可能である。
「別段の定め」とは 、労働協約、就業規則、個々の労働契約(無期転換に当たり労働条件を変更することについての労働者と使用者との個別の合意)が該当する。
なお、無期転換に当たり、職務の内容などが変更されないにもかかわらず、無期転換後の労働条件を低下させることは、無期転換を円滑に進める観点から望ましいものではない。

④更新…無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、あらかじめ労働者に無期転換申込権を放棄させることはできない。法の趣旨から、そのような意思表示は無効と解される。

⑤空白期間…有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間が6か月以上ある場合は、その「空白期間」より前の有期労働契約は通算契約期間に含めない。これをクーリングという。
通算対象の契約期間が1年未満の場合は、その2分の1以上の空白期間があれば、それ以前の有期労働契約は通算契約期間に含めない(詳細は厚生労働省令で定められている)。

【参考】改正後の労働契約法(平成19年法律第128号)の条文
(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
第18条  同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が5年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結していう有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結していう有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
2 当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が6月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。

2 有期労働契約の更新等(「雇止め法理」の法定化)(19条)
有期労働契約は、使用者が更新を拒否したときは、契約期間の満了により雇用が終了する。これを「雇止め」という。 雇止めについては、労働者保護の観点から、過去の最高裁の判例法理により、一定の場合にこれを無効とする判例上のルール(雇止め法理)が確立している。
今回の法改正は、雇止め法理の内容や適用範囲を変更することなく、労働契約法に条文化した。

[対象となる有期労働契約]
次の①、②のいずれかに該当する有期労働契約が対象になった。
① 過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの(19条1号)
★最高裁第一小法廷昭和49年7月22日判決(東芝柳町工場事件)の要件を規定したもの
② 労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由(※)があると認められるもの(19条2号)
★最高裁第一小法廷昭和61年12月4日判決(日立メディコ事件)の要件を規定したもの
(※)
1.合理的な理由の有無については、最初の有期労働契約の締結時から雇止めされた有期労働契約の満了時までの間におけるあらゆる事情が総合的に勘案される。
2.いったん、労働者が雇用継続への合理的な期待を抱いていたにもかかわらず、契約期間の満了前に使用者が更新年数や更新回数の上限などを一方的に宣言したとしても、そのことのみ/をもって直ちに合理的な理由の存在が否定されることにはならないと解される。
[要件と効果]
上記の①、②のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められず、従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新される。
[必要な手続]
条文化されたルールが適用されるためには、労働者からの有期労働契約の更新の申込みが必要である。(契約期間満了後でも遅滞なく申込みをすれば条文化されたルールの対象となった)。
ただし、こうした申込みは、使用者による雇止めの意思表示に対して、「嫌だ、困る」と言うなど、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもかまわないと解される。

【参考】改正後の労働契約法の条文
(有期労働契約の更新等)
第19条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結していう労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

 

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