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松島 康生
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(危機管理/BCP/防災計画コンサルタント)
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閲覧数順 2024年04月19日更新

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富士山の噴火に備える(静岡県の準備)~SBSラジオ出演時の内容

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2013年8月28日(木)のSBS静岡放送ラジオ、朝の情報番組「朝だす!」に生出演しました。防災の日特集と言うことで、1週間防災特集を組んでおり、4日目木曜日の枠として、富士山の噴火を担当させていただきました。その際にお話をした内容をご紹介します。

一番心配なのは、「いつ噴火するのか。」という事。現在、どのように言われている?

富士山が噴火をしてきた歴史を振り返りますと、短い場合は数十年おきに、長い場合でも100年から200年の周期で、富士山は噴火を繰り返しています。しかし、1707年の宝永大噴火以降、今日まで、300年以上も富士山が噴火をしていないため、富士山の噴火が近いのではないかと考えられています。

特に、3.11いわゆる東日本大震災と、その直後に富士山の直下で発生した静岡東部地震以降、例えば富士宮での大量のわき水ですとか、箱根での群発地震ですとか、河口湖の水位低下など、噴火の兆候とも見られる現象が多く観測されているため、向こう数年以内とか、遅くとも10年以内とか、様々な表現で富士山の噴火が心配されています。


いろんな情報をネットなどで簡単に入手できるので、ますます不安になる・・・

インターネットでは情報を多くの方に広めたり、特定の集団で情報を共有したりすることが行いやすいため、特定のニュースが繰り返し注目されやすくなっています。富士山が危ないというニュースが流れた瞬間に、さまざまなwebサイトで同じニュースを見続けることになりますので、不安をあおられることになりやすいです。先日の桜島大噴火なども、もしかして富士山も危ないのか?という想像を働かせる材料になっていますね。

富士山は生きている火山ですから、いつか噴火することは間違いありません。ただ、いつ噴火するのかというのは、噴火の直前、または実際に噴火が始まるまで分かりません。大切なのは、富士山が危ないという情報にいちいち振り回されるのではなく、先手を打って富士山の噴火に対する備えを行い、準備万端の姿勢でゆったりと待ち受けることです。

地震に対する準備は一般的だが、噴火に対する備えとは?

災害に対して準備を行う際には、自分や家族がどのような災害に襲われるかを知り、どうすれば被害を出さずに済むかという視点で物事を考えます。富士山の場合は、おおよそ富士山から30キロ圏内、静岡県内では東部全域と、それより遠くの地域で対応が変わります。

富士山から半径30キロ圏内、東部地域では、噴火の規模や、噴火口の位置によって、あらゆる影響を受ける可能性があります。具体的には、火山ガスの放出、火山弾などの噴石、大規模な火砕流、雪どけによる土石流、噴火の衝撃による空振・窓ガラスなどが割れる現象、マグマによる溶岩流、富士山の山体そのものが崩れる山体崩壊、そして火山灰の降灰です。もちろん全ての現象が生じるのではなく、可能性があるという言い方ですが、備えるべき対象としては考慮する必要があります。

一方、富士山から半径30キロより外側、静岡県西部、中部、伊豆は、影響の多くが火山灰の降灰に集中すると考えられます。噴火当日の季節、天気、風向きによって、影響をうける地域と被害の大きさが変わりますが、被害が大きい状態を想定して、準備ができればよいですね。

富士山が噴火した際、どこで何が起こるかという想定は、富士山ハザードマップにまとめられているのですが、注意があります。ハザードマップには、どこに、どんな現象が生じるかは書いてありますが、それによってどんな被害が生じるかは記載がありません。例えば火山灰が降ったとして、同じ地域であれば降り積もる灰の量は同じですが、自宅が新しいか古いか、木造か鉄骨か、家族は大人だけなのか子供や高齢者がいるか、そうした状況によって、どんな被害が出るかは大きく変わります。

富士山が噴火した際、自分の家がどのような影響を受けるのかを事前に知っておき、その結果、自分と家族がどのような被害を受けるのかを個別に考え、準備をする必要があります。

 

具体的にどんな事をすればよい?

静岡県内全域において共通する準備としては、火山灰の降灰によって、道路や鉄道などの流通網がマヒすることによって生じる、物資不足にそなえることです。先日の桜島大噴火でも、鹿児島市などで交通網に影響が出たことがラジオやテレビでも報じられていましたが、富士山噴火ではより広範囲に大量の火山灰が降り積もると想定されますから、食料や日用品のストックが必要です。

また、富士山が噴火する際、同時に大きな地震が生じる可能性が高いと考えられていますから、富士山の噴火に対する準備を行う際には、大地震への備えも会わせて行うことが重要です。食料や日用品のストックも、わざわざ富士山の噴火対策として準備をするのではなくて、地震対策を兼ねることで負担を減らせます。さらに言えば、普段からレトルト食品や缶詰、また消耗品を多めに購入しておき、使った分だけ補充するという方法をとっていれば、特に意識せずに物資のストックを増やすことができますので、オススメです。

静岡県東部地域においては、火山灰の降灰に加えて、噴火の直接的な影響を考慮した準備が必要です。細かく言えば、水や食料、日用品のストックはもちろん、灰を片付けるためのスコップ、屋外で活動するためのレインコート、マスク、ゴーグル、火山灰を取り除くためのブラシ、目薬、綿棒、また精密機械を密封するためのラッピング資材や、自動車を保護するための自動車カバーなどさまざまに考えられますが、一番重要な準備は、すぐ逃げられるような用意を常にしておくことです。

火山の噴火は、運が良ければ事前に警報がでますが、不意打ちで突然噴火が始まる可能性も大いにあり得ます。特に小山町、御殿場、富士宮などの富士山隣接地域では、大規模な火砕流、雪どけによる土石流、山体崩壊などが生じた場合、一分一秒の避難が生死を分ける可能性があります。

裾野、三島、長泉、清水、富士といった周辺地域においても、大量の溶岩流や火山灰の降灰が生じた場合、避難をするしか助かる手段がなくなる自体も考えられます。基本的に大規模な自然災害に対しては、危険から逃げ出すことが最良の対応策となりますので、富士山の噴火、また大地震による津波や火災から避難するための準備をかねて、すぐ自宅を飛び出せるように、避難グッズと持ち出し品をまとめて、リビングや玄関などに置いておくことが大変重要です。

 

以上

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(静岡県 / 備え・防災アドバイザー)
ソナエルワークス 代表

備え・防災は、日本のライフスタイル。

「自分と家族が死なないための防災対策」と「経営改善にもつながる緊急時に役立つBCP」のポイントを解説するフリーの専門家。自然災害から原発事故、企業の危機管理まで分かりやすく実践的なアドバイスに定評があり、テレビや各メディア媒体への出演多数。

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