
- 菅野 庸
- 医療法人菅野愛生会 こころのホスピタル・古川グリーンヒルズ
- 宮城県
- 院長・医師
対象:心の病気・カウンセリング
もちろん、法的な根拠はありませんが、経験を踏まえて常識的に考えていこうと思います。
未承認の薬を出す医療機関側として
この薬は未承認であるが海外では効果があると言って処方したいというでしょう。その上で、何かあった場合の責任に関して、医療機関側に責任が生じないような書面を、患者さんに書かせることが多いのです。
要するに、患者さんが希望して未承認の薬を服用したのであって、責任は患者さん自身にあることにしたいわけです。でも、未承認の薬を出す医療機関の責任はある程度回避できないでしょう。
というのは、少し話はズレますが、医療機関の医療行為(たとえば手術)でいかなる結果を生じても構いません…などという手術承諾書などがあって本人、家族がサインしても、この書面は何かあった場合の医療機関の責任回避の担保にはなりません。ですので、いかなる書面があっても、未承認薬を服用して何か不都合が生じれば、処方した医療機関、先生の責任となるでしょう。副作用がひどく他の医療機関を受診しなければならなくなった場合の治療費も、薬を出した先生側が負担することになっても仕方がないでしょう。
未承認の薬を出してもらう患者さん側として
現在、日本で承認されている薬よりその未承認薬の効果のほうが大きいという話を聞いて、ではそちらを処方してほしいということとなったとします。
それはたとえば、処方する先生が、出る可能性のある副作用などの説明があまりしてくれなかったとしても、あるいは値段的に高額であっても、いったん処方してほしいという意思決定をすれば、それはすべて患者さんが承諾したことになります。
ですので、もし服用して何か重大な副作用が出たとしても、自己責任ですので他の医療機関では診てくれないことも、処方した先生の所に行ってくださいなどと言われることもあるようです。
以上のことから、当院では、未承認薬の処方を強く希望される患者さんがいても、上記のことを十分時間をかけて説明し納得していただいた上で、これまで日本で承認されている薬を処方するようにしています。
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