労働契約の準拠法 - 労働問題・仕事の法律全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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対象:労働問題・仕事の法律

村田 英幸
村田 英幸
(弁護士)
田中 圭吾
(行政書士)

閲覧数順 2016年12月05日更新

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○労働契約の準拠法

準拠法とは、労働契約で、労使が適用される法律を選択して決めた法律をいう。

外国人労働者と日本国企業、日本人または外国人の労働者が外資系企業の労働契約の中で準拠法が決定される。

なお、外資系企業で多国籍企業の場合、複数の国に事務所があり、複数の国の法律が適用されることも予想されるため、準拠法をあらかじめ定めておくことは必要である。

準拠法については、労働契約書の中で、通常、明記されている。

日本の国際私法は「法の適用に関する通則法」である。従前の国際私法である「法例」に代えて、平成18年に立法された。

準拠法が外国法の場合の国際私法は、当該外国法での国際私法である。

したがって、準拠法が外国法の場合、「法の適用に関する通則法」はむしろ適用されないのが通例である。

ただし、労働契約について特例があり、それが「法の適用に関する通則法」第12条である。

労働契約の準拠法については、同法7条、9条、12条が最も重要性が高い。

 

法の適用に関する通則法

(当事者による準拠法の選択)

第7条  法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。

(当事者による準拠法の選択がない場合)

第8条1項  前条の規定による選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による。

(当事者による準拠法の変更)

第9条  当事者は、法律行為の成立及び効力について適用すべき法を変更することができる。ただし、第三者の権利を害することとなるときは、その変更をその第三者に対抗することができない。

(法律行為の方式)

第10条  法律行為の方式は、当該法律行為の成立について適用すべき法(当該法律行為の後に前条の規定による変更がされた場合にあっては、その変更前の法)による。

 前項の規定にかかわらず、行為地法に適合する方式は、有効とする。

 法を異にする地に在る者に対してされた意思表示については、前項の規定の適用に当たっては、その通知を発した地を行為地とみなす。

 法を異にする地に在る者の間で締結された契約の方式については、前二項の規定は、適用しない。この場合においては、第1項の規定にかかわらず、申込みの通知を発した地の法又は承諾の通知を発した地の法のいずれかに適合する契約の方式は、有効とする。

 

(労働契約の特例)

第12条 1項  労働契約の成立及び効力について第7条又は第9条の規定による選択又は変更により適用すべき法が当該労働契約に最も密接な関係がある地の法以外の法である場合であっても、労働者が当該労働契約に最も密接な関係がある地の法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を使用者に対し表示したときは、当該労働契約の成立及び効力に関しその強行規定の定める事項については、その強行規定をも適用する。

(注)第12条1項は、外国法を適用すべき場合であっても、日本の公序に反する場合には日本法を適用すべきこと(第42条)の具体的な現れと解されている。この場合、「強行規定」とは、労働者保護を目的とする日本国の労働基準法、労働者災害補償保険法、労働安全衛生法などを適用される。したがって、準拠法が外国法であっても、例えば、解雇制限(労働基準法19条)、解雇予告(労働基準法20条)などは適用される。争いのあるところではあるが、解雇権濫用禁止(労働契約法16条)についても、判例法理として発展してきた経緯や信義則(民法1条3項)の具体的発現であるから、適用されると解される。

 前項の規定の適用に当たっては、当該労働契約において労務を提供すべき地の法(その労務を提供すべき地を特定することができない場合にあっては、当該労働者を雇い入れた事業所の所在地の法。次項において同じ。)を当該労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定する。

 労働契約の成立及び効力について第7条の規定による選択がないときは、当該労働契約の成立及び効力については、第8条第2項の規定にかかわらず、当該労働契約において労務を提供すべき地の法を当該労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定する。

   第7節 補則  

(本国法)

第38条  当事者が二以上の国籍を有する場合には、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする。ただし、その国籍のうちのいずれかが日本の国籍であるときは、日本法を当事者の本国法とする。

 当事者の本国法によるべき場合において、当事者が国籍を有しないときは、その常居所地法による。ただし、第25条(第26条第1項及び第27条において準用する場合を含む。)及び第32条の規定の適用については、この限りでない。

 当事者が地域により法を異にする国の国籍を有する場合には、その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある地域の法)を当事者の本国法とする。

(常居所地法)

第39条  当事者の常居所地法によるべき場合において、その常居所が知れないときは、その居所地法による。ただし、第25条(第26条第1項及び第27条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。

(人的に法を異にする国又は地の法)

第40条  当事者が人的に法を異にする国の国籍を有する場合には、その国の規則に従い指定される法(そのような規則がない場合にあっては、当事者に最も密接な関係がある法)を当事者の本国法とする。

 前項の規定は、当事者の常居所地が人的に法を異にする場合における当事者の常居所地法で第25条(第26条第1項及び第27条において準用する場合を含む。)、第26条第2項第2号、第32条又は第38条第2項の規定により適用されるもの及び夫婦に最も密接な関係がある地が人的に法を異にする場合における夫婦に最も密接な関係がある地の法について準用する。

(反致)

第41条  当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。ただし、第25条(第26条第1項及び第27条において準用する場合を含む。)又は第32条の規定により当事者の本国法によるべき場合は、この限りでない。

(公序)

第42条  外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない。

 

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