今回は借地権のうち、「地上権」についてご説明します。
前々回、 「借地権には、定期借地権・(新法)普通借地権・
(旧法)借地権・地上権の4種類ある」とお話しました。
これは、わかりやすく説明するために便宜上4つに分けた訳ですが、
法律上は、借地権というのは(建物の所有を目的とする)
「賃借権」と「地上権」の2種類しかありません。
「賃借権」の中に、「定期借地権」と「普通借地権」があり、
さらに「普通借地権」のなかに 平成4年7月31日以前に「旧法」で
契約された「普通借地権」と、 8月1日以降に「新法」で契約された
「普通借地権」 があるというのが、正しい説明の仕方だと思います。
さて、「地上権」です。
前回「普通借地権」というのは 「非常に強い権利」と申し上げました。
それよりさらに強い権利が「地上権」です。
地上権は 権利者が建物などを所有する目的で、
直接かつ排他的に土地を支配することが出来る権利(物権)です。
地上権がいったん成立すると、地上権者はあたかも
所有者が利用するのと同様にその土地を利用することができます。
第三者にその土地を貸すこともできますし、
地上権そのものを(所有権者が所有権を譲渡するのと同じように)
自由に譲渡することが出来ます。
(その際、地主の承諾や承諾料支払いは必要ありません。)
登記することもできますし土地所有者が登記手続きに強力しなければ、
裁判を申し立てて登記に協力させることも出来ます。
地上権に抵当権設定もできます。(担保になるということです)
もちろん地代の支払いや地上権設定時の権利金、
契約更新料などが発生する場合があります(契約次第です)が、
それ以外はほとんど所有権と同じと思っていただいていい権利です。
皆さんは、おそらく「地上権」という言葉はご存知でも、
実際の「地上権」付物件をご覧になったことがある方は少ないと思います。
それくらい「地上権」という権利がついた物件は少ないのです。
それは、前述したように「非常に強い権利」なので、
めったに地主が地上権設定を認めないからです。
我々が扱っている物件で、敷地に建物所有を目的とした「地上権」を設定
している物件はほとんどありませんが、 それは上記のような理由からです。
(「地上権」は建物の所有を目的とする場合以外に、
その他の工作物など所有する目的でも使われます。
土地の調査を行っていると、東京電力が鉄塔や高圧線のために設定したものや
営団・都営地下鉄の線路のための地上権はたまにお目にかかります。)
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