- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:労働問題・仕事の法律
○退職届け
退職届は、就業規則で書面をもって労働者が作成し使用者に提出すべき旨定められているのが通例である。
しかし、民法では退職について、書面によることを要求していないし(要式行為ではない)、労働基準法6条などの強制労働の禁止から、労働者がどうしても辞職したいと意思表示した場合、使用者としては、慰留することはできても、阻止することはできない。
最近、非常識な例として、電話や電子メール、ファックスで退職の意思表示をしてくる人がいることが指摘されている。これらの手段では、労働者本人が本気で退職したいのかさどうか(本人確認、本意かどうか)、退職の理由などが確認できないし、仕事の引き継ぎや事業場内にある私物の引き取りができない場合が多いからである。
もっとも、労働者が後で気が変わったり、「本気で退職するつもりではなかった」などと違うことを言い出した場合に備えて、使用者としては、退職届または辞表の書面の形で証拠を残しておくのが望ましい。
退職届について、法令で決まった様式はなく、何年何月何日をもって退職する旨(ここの部分はワープロ書きでもよい)、退職届の作成日付、署名、押印を労働者本人の自筆で書かせることが望ましい。退職(予定)日を記載するのは、賃金・賞与や源泉税・社会保険料の計算、年次有給休暇の消化の点などで問題となるからである。
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