そんな現実を数字に表したのが、総務省がこのほど発表した就業構造調査でした。わが国で雇用されている人のうち、約2043万人の人が非正規雇用者です。これは就業者全体の38.2%にも達します。この20年間の間に、非正規雇用者の比率は16.5%も上昇しています。
このように、非正規雇用者が増加している原因は、わが国の産業構造の変化に起因しています。正規雇用者の比率が高かった製造業での雇用が減って、小売りやサービス業の雇用が増えているからです。特に女性に限って言いますと、全体の57.5%が非正規雇用者で占められています。
この傾向はますます強くなっていて、過去5年間に転職した人の場合、正規雇用の人が転職しますと、40.3%の人は非正規での採用です。反対に、非正規の人が転職して場合には、正規雇用で採用される比率は24.2%です。転職するたびに、非正規雇用者増える仕組みになっています。
政府は、労働者の流動性を高めるためと言った大義名分で、会社が雇用者の解雇をしやすくする方向で検討を進めています。現状を考え併せますと、正規雇用者の首を切って、非正規雇用者に切り替える企業が増えるだけです。大企業を中心とした多くの企業は、人件費を削れるだけ削る方針です。
企業と従業員の結びつきは、従業員が会社を思うほどには会社は考えてくれません。これは、企業規模が大きくなればなるほど、経営者能力が劣れば劣るほど、この傾向が強くなります。従業員同士の人的なつながりは残りますが、退職しますとほとんど会社とのつながりは切れてしまいます。
自民党政権は、その大企業に富を集める政策を推進しています。企業に集まった富が、その後に頑張った従業員や取引先を通して社会に還元されるとよいのですが、ほとんどは内部留保として社内に留まっています。日本経済に活力が戻らないのも、景気刺激のため財政出動で企業に渡った資金が、そのまま留まっていることが問題です。
そんな会社への不信感から、副業を考えて従業員が増えています。いつ会社を辞めさせられるか判らないので、家庭のパートナーの起業を支援する方法で副業を考えたり、親しい人に経営を任せる人もいます。現実問題として、わが国の非正規雇用の増加には、個々人で対策を考えるしかないです。
【一言】
今年3月、東京・新小岩駅前に開業した清宮さん。彼の場合、惣菜店のイノベーターと言えるかも知れません。それは、東京都内ではたった一軒の春巻き専門店だからです。その彼のお店「東京はるまき」が、来週15日(月・祝日)にAMラジオのニッポン放送「ザ・ボイス」の中で午後4時50分から紹介されることになりました。わたしも3年近くアドバイスしていて、確実に成長を続けている起業家です。首都圏の方是非聞いてください。
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